目次
展覧会「バンクシーって誰?展」が2021年12月19日(日)〜2022年3月27日(日)の期間中、グローバルゲート3Fガレージ名古屋&1Fアトリウムにて開催中です。
世界一有名な覆面アーティスト「BANKSY(バンクシー)」。社会情勢や貧困問題を取り上げる作品は、世界中の多くのファンの心を掴んでいます。
「バンクシーって誰?展」では、そんなバンクシーの謎に包まれた活動の軌跡をたどります。バンクシーのグラフィティを街並みごとリアルサイズで再現した展示、プライベート・コレクター秘蔵のオリジナル作品の展示など、約60作品が楽しめるボリューム満点の展覧会です。
「バンクシーって誰?展」名古屋会場
会場は、ささしまライブの複合施設「グローバルゲート」の3Fガレージ名古屋&1Fアトリウム。
まずは受付のある3Fガレージ名古屋へ!
音声ガイドで展覧会をさらに楽しもう!
音声ガイドを担当するのは、公式アンバサダーの中村倫也さん。
世界で最も注目を集める時代の先駆者とされるバンクシーの魅力を、展覧会の音声ガイドを通じてわかりやすく楽しめます。
音声ガイドは自身のスマートフォンを使用するので、イヤホンまたはヘッドホンをお忘れなく!(音声ガイドは入場券とは別に購入が必要です)
所要時間:約30分
価格:600円(税込)※お一人様につき。
ガイド制作:(株)アコースティガイド・ジャパン
「バンクシーって誰?展」レポート
バンクシーのストリート・アートを、リアルサイズに再現!
世界各都市を巡回し人気を博した「ジ・アート・オブ・バンクシー展」の傑作群を、日本オリジナルの切り口で紹介する「バンクシーって誰?展」。
本展の魅力は、テレビ局の美術チームが、バンクシーの活動の舞台であるストリートを会場空間でリアルサイズに再現していること。
街の中に描かれたグラフィティはどんな名作も、上書きされたり、壁自体が撤去されてしまったり、さまざまな理由で失われることが少なくありません。バンクシーの作品も残っていないものが大半です。
本展ではそんなバンクシーのグラフィティを再現展示を通して、現地で作品を見るようなリアルな擬似体験ができるんです。
会場入ってすぐの場所に再現展示されているのは、2014年にイギリス・チェルトナム市に出現した《Spy Booth》。実物は建物の工事中になくなってしまい、未だ詳細は不明なのだとか。
道端の植物やタバコの吸い殻まで、リアルに再現されています。街中の音もBGMで流れており、まるで本当にイギリスへ行ったかのような感覚に。
続いて現れたのは、展示会場とは思えないほどリアルなトンネル。
2008年にウォータールー駅近くのトンネル内で行った「The Cans Festival」で描いた作品が再現されています。
本作は展示用として合法的に描かれたものでしたが、誰かに消されてしまったのだとか。グラフィティの儚さが感じられますね。
こちらは、廃墟と化したガザ地区北部(パレスチナ)に描かれた《Giant Kitten》の再現展示。バンクシーの作風とは似ても似つかぬ、かわいらしい子猫が描かれています。
「SNSではガザの悲惨な現実より、もっぱら子猫の写真ばかりが見られている」
世間の注目を集めるために描かれた作品。廃墟の中にこの絵を描くと、国際的な支援団体がこの地区の人々の援助に名乗りをあげました。
再現展示だけでなく、バンクシーのさまざまなプリント作品も展示されています。
バンクシーはなぜ”ネズミ”を描くのか
バンクシーの活動初期から現在至るまで、自身の署名または自画像のようにさまざまな作品に登場しているのが「ネズミ(ラット)」。
都市に寄生して生き抜く厄介者は、社会的弱者の象徴でもあります。
バンクシーは『Wall and Piece』(2005年)で次のように説明しています。
「彼らは許可なしに存在する。彼らは社会から嫌われ、追い回され、迫害される。ゴミにまみれて絶望のうちに粛々と生きているが、彼らはすべての文明を破滅させる可能性を秘めている。もし君が、誰からも愛されず、汚くて、取るに足らない人間だとしたら、ネズミは究極のお手本だ。」
本展でも、さまざまなネズミに出会えますよ。
スマホ画面を観ながら体感!「Better Out Than In」
2013年10月1日に突如としてはじまった、バンクシーの野外展覧会「Better Out Than In」。NY滞在中のバンクシーが、毎日ひとつ、街角に投下(ボム)した作品を、自身の公式Instagramに投稿するというもの。
会場ではバンクシーの公式アカウントも紹介されているので、ぜひ実際のスマホ画面を見ながら体感してみてくださいね。
プライベート・コレクター秘蔵のオリジナル作品が初お目見え!
本展では、ストリートや美術館でも通常は見ることのできない「プライベート・コレクター秘蔵のオリジナル作品」も展示。
その中でも特に注目なのが、イギリスのファッション・デザイナーで、バンクシー好きで知られる、ポール・スミス氏蔵の希少な油彩画《コンジェスチョン・チャージ》。
《コンジェスチョン・チャージ》は、既存の作品に描きたすことで意味を変えてしまう「デトーナメント(転用)」の手法を使ったシリーズの一つ。
こちらの作品は、蚤の市で販売されている無名の画家が描いた田園風景に「C」の標識が描き加えられています。
この「C」マークは、ロンドン市内への車の乗り入れを料金の徴収によって制限して渋滞の解消をめざす「コンジェンスチョン・チャージ」の対象となる区域を示すもの。
バンクシーの代表作もずらり!
本展のメインビジュアルやポスターなどにも起用されている、火炎瓶ではなく花束を投げる男の絵。実は、さまざまなバリエーションがあるのをご存知ですか?
本展では、パレスチナのベツレヘム郊外のガソリンスタンドに描かれた現存するグラフィティ《Flower Thrower》を再現。イスラエルとパレスチナを隔てる分離壁建設を受けて制作された厚紙に描かれたスプレーペイントの《Flower Chucker (with stars)》、キャンバス地に描かれたスプレーペイント《Love Is In The Air》が展示されています。
赤い風船と少女が描かれた《Girl with Balloon》。
オークションでの高額落札が決まったとたん、シュレッダーが作動して切り刻まれてしまったことでも話題となった作品です。
この《Girl with Balloon》は再現展示として見られるほか、プリントのオリジナル作品、キャンバスへのスプレーペイントも展示されています。
バンクシーの作品がある街並みと記念撮影をしてみよう!
最後は、第二会場の1Fアトリウムへ。
ここでは2020年10月に発表された《Aachoo!!》が再現展示されています。Aachoo!!とは日本語で「ハクション!」という意味。コロナ禍に描かれたことから、マスクをつけずに飛沫やウイルスを拡散することへの警鐘とも考えられる作品です。
会場内は一部を除き撮影OKなので、バンクシーの作品がある街並みと記念撮影を楽しんでくださいね!
“それはまるで映画のセットのような美術展”と称される「バンクシーって誰?展」。
グラフィティが描かれたストリートの再現は、驚くほどリアルでした。実物は消されてしまい残っていないものも多いグラフィティを、現地で見るようにリアルサイズ体感できる貴重な展覧会です。
ぜひあなたも、バンクシーの作品の世界をたっぷりと堪能してみてくださいね!