“日本一ハーブにこだわるスーパー銭湯”「恵みの湯」が、ハーブ栽培から製品作りまで一貫して行える施設「湯癒草々GARDEN&FACTORY」をオープン!
目次
「湯癒草々GARDEN&FACTORY」に潜入!
自社の畑で栽培をはじめるなど常に「ハーブ」と向き合い、独自のアイデンティティを築いてきた「恵みの湯」。2022年10月には敷地内に「湯癒草々GARDEN&FACTORY」がオープンしました。
建物の内部には一部のイベントやワークショップ開催時を除いて入ることができないため、どのような施設なのか疑問に思っている人も多いはず。
この施設は、「ハーブの栽培から製品化までを一貫して行い、ハーブとお風呂の魅力を探究し発信していく他に類をみない施設」と言えます。
入浴剤は化粧品の分類であり、さまざまな法規があります。新規参入にはさまざまなハードルがあったことと推測しますが、それらを乗り越えこれほど大規模な施設を造ったことに「ハーブ」への愛と本気度がうかがえます。
ハーブを栽培している温室を特別に見学させていただきました。長良川や木曽川で採取した土が使われ、この地域の砂は保水力が高いという特長があります。
高床式栽培になっているため、腰を曲げずにハーブの収穫やお世話ができます。2023年春ごろにはボランティアを募って、地域の高齢者コミュニティの場にするという計画もあり、車いすの方も通れるよう、通路の幅を広くするという配慮も見られます。
「コミュニティのなかでハーブのお世話をして、お風呂に入って帰っていただくことで、関わってくださる方々がどんどん健康になっていくことを目指しています」と並河さんは語ります。
温室で育ったゼラニウム。葉を少しだけこすってみると、さわやかな香りがたちまち広がります。こうやってハーブに直接触れる機会はこれまで少なかったのですが、ハーブの美しさや力強さを感じることができました。
「FACTORY 01」では、温室で収穫したハーブの乾燥・粉砕などの加工を行っています。ハーブを乾燥・粉砕させることで、入浴剤としてより成分が出やすくなるそう。
また、植物からアロマオイルを作る小型の蒸留器(写真手前・左)も配置。オリジナルのアロマオイルを作るなど、ワークショップなどに活用していきたいとのこと。
ガラス張りの一室のなかにはシャワーと浴槽があります。一般の家庭にあるサイズの浴槽を用いて、入浴剤の香りや色をチェックしています。
「将来は医師と連携して、入浴剤の効能に関するエビデンスを取れる体制を目指しています」と並河さん。
「FACTORY01」では、ハーブやアロマに関するさまざまなワークショップやイベントを開催しています。また、床暖房も完備していることから、地域の防災拠点としての役割も果たしていく考えです。
「FACTORY 02」には、大きな充填機がありました。こちらではハーブを使った入浴剤の製造を行うほか、大きな冷蔵庫でハーブの保管もしています。その冷蔵庫から入浴剤の入った袋を持ってきてくれた並河さん。
「テントサウナ向けの商品も開発中なんです。フレッシュなカモミールを使うと、青リンゴのような爽やかな香りがテント内に充満して癒し効果抜群です。ただ、ロウリュウすると爽やかな香りが損なわれてしまって…。商品開発は試行錯誤の繰り返しですね」と話してくれました。
「香り」とは「科学」であり一筋縄ではいかないようですが、より良いものを世に送り出したいという並河さんのポジティブな姿勢が印象的でした。
また、入浴剤を「恵みの湯」で使用したり、個人向けに販売するだけにとどまらず、OEMなどで販路を拡大することも視野に入れているそうです。
「例えば『京都の竹を使って入浴剤を作りたい』というご要望があれば、加工して製品化することも可能です。他の温浴施設さんや企業さんとコラボした商品の開発も加速させたいですね」と並河さんは続けます。
地元の素材で作った入浴剤やアロマ水を楽しめる、地域色豊かな温浴施設やサウナ施設が誕生するのは筆者としてもよろこばしいことです!「湯癒草々GARDEN&FACTORY」がそんなムーブメントの発信地になることを願っています
「湯癒草々GARDEN&FACTORY」
そして「恵みの湯」の今後
この日の取材にアテンドしていただいた、松浦由莉恵さんは2022年2月に入社したばかりとのこと。訊けばもともとは広島県出身で、前職はJR西日本の車掌さんだったそうです。
「恵みの湯」の入浴剤を通信販売で購入して以来ファンになり、実際に各務原まで足を運んだそう。「恵みの湯」の施設やスタッフのあたたかさに触れることでますます魅了され、転職を決めたのだとか。
松浦さん:「こちらの入浴剤を宿舎や自宅でよく使っていました。お風呂の時間が最高の癒しになっていました」
なるほど、車掌という大変なお仕事を影で支えたのが「恵みの湯」の入浴剤だったわけですね。それにしても、広島と岐阜を結ぶ不思議な縁を感じます。
並河さんにも改めてお話をうかがいました。「湯癒草々GARDEN&FACTORY」の運営をはじめたきっかけは、やはりコロナ禍の影響が大きかったそうです。
並河さん:「本来なら多くのお客様にご利用いただくゴールデンウィークに、休業を余儀なくされるという事態も経験した一方で、家庭でも銭湯の気分を楽しめる入浴剤の需要が高まり、通信販売の売上が上がりました。しかし、需要が増えても他の業者さんに製造委託している状態では、生産や在庫の管理が難しく……。『そういったリスクに備え、またよりハーブについてこだわった施設にするためにも、自分たちで一から入浴剤を製造する体制を整えよう』と決意したことがきっかけです」
「恵みの湯」の物販コーナーには「YUNIHA(ゆには)」や「L’HEUREUX DEMAIN(ルウルディマン)」など、オリジナルブランドの入浴剤が多く販売されています。これからは「湯癒草々GARDEN&FACTORY」で一から自社製造した入浴剤を、徐々に増やしていきたいと考えているそうです。
もともと「恵みの湯」の入浴剤のファンであった松浦さんに、特別に入浴剤をセレクトしていただきました。さまざまな香りやタイプの入浴剤が販売されているので、気分によって使い分けるのがおすすめです。香りのサンプルも用意されているので、選ぶのについつい夢中になってしまいます。
商品の購入だけもできるので、大切な方へのプレゼント選びに訪れるのもおすすめです。
遠方でなかなか買いに行けない方は、オンラインショップをぜひ利用してください。
「温室でハーブを栽培できるようになってからは、冬でもフレッシュなハーブをお風呂やサウナに使えるようになりました」と並河さん。
「湯癒草々GARDEN&FACTORY」の誕生はオリジナル入浴剤の製造に限らず、「恵みの湯」の魅力向上にもさっそく繋がっています。