三重県津市にある、三重県総合博物館 「MieMu(みえむ)」。館内は圧倒的な展示の数々に加え、無料で書籍が読めるスペースや体を動かして学べるコーナーもあり、大人も子どもも大満足の博物館です。
※情報は取材時のものです。
ご利用の際には、各施設・各店舗の最新情報をご確認ください。
目次
MieMuへのアクセスは名古屋から車で約1時間、電車の場合は津駅(近鉄、JR)からバスで約5分。
重厚感かつアクセントカラーのオレンジが映えた建物が目印です。「MieMu(みえむ)」の由来は「三重のミュージアム」と「三重の夢」を意味しています。愛着が感じられて可愛らしいネーミングが魅力的!
今回は、MieMuの館内レポートと基本展示をご紹介します。
受付は2階にあり、展示エリアは3階です。展示の内容は三重県の「自然」「くらし」「歴史」「文化」が中心。これらが分かりやすく丁寧にまとめられていたり、体験コーナーがあったりなど、一体型の展示が特徴です。
さらに一部の展示物は、含浸(がんしん)※という特殊な技術を用いてリアルに再現されている点も注目です!MieMuを訪れれば、三重県のすべてが理解できますよ。
※含浸(がんしん):対象物を特殊な薬剤に浸し硬化させる技術
新しい発見ばかり!
三重県の多彩な魅力が知れる圧倒的な展示の数々
足を踏み入れると、太古の時代!
入り口へ進むと、三重県の大地の成り立ちがわかるパネルや動画が目に飛び込んできます。
例えば、三重県の中央部に位置する断層「中央構造線」。身近な場所に断層があるとわかり、目が釘付け!日々、気にも留めなかったことが理解できるため大きな学びになります。
館内にある数々の貝や恐竜の化石も見逃せません。写真右下のアケボノゾウは、ミエゾウ(※)が進化して小型化したと推定されており、いなべ市や四日市市で化石が見つかっています。
※ミエゾウ:全長7.6m・体高3.6m。日本国内で発見された陸上哺乳類では史上最大の生き物。1918年に津市芸濃町で発見されています。(MieMuの展示より抜粋)
本物かな!?と目が錯覚するほど精巧な展示
ここからは、三重の「自然」「くらし」「歴史」「文化」に触れられる入り口です。三重県を左回りに進むイメージで展示されていますよ。
まずは、大台・東紀州に生息する植物が出迎えてくれます。
シイ・カシ・ブナなど標高や場所ごとに森の姿が変わる様が理解できる展示です。ちなみに、展示されている木は実物!さらに展示の背景写真は、解像度が荒くならないようにかなり細かく分割して撮影した写真です。それらを何枚もつなげてコラージュしており、まるで森の中にいるような感覚に!
特に東紀州は三重県内でも雨が多い地域。なんとなく感覚で知っているとはいえ、具体的にどのくらい降っているのか展示を見れば一目瞭然です。
詳細を知りたい場合は、タッチパネルで解説してくれます。知りたいことが深掘りできるツールがあるので、時間を忘れてしまいそう!
雪が降る鈴鹿山脈にいる動物・植物たち
森を抜けると、鈴鹿山脈の雪景色を望める展示が目に入ります。積雪に適応した動植物に関してだけでなく、鈴鹿山脈に雪が降る理由や洞窟の成り立ちなど見るポイントがたくさん!
筆者が印象的だったのは植物の精巧さです。色彩やみずみずしい様子がはっきり分かるので、まるで本物の花のよう。
秘密をMieMuの学芸員である北村さんに伺うと、このコーナーにあるいくつかの植物は含浸で作られていると教えていただきました。花の後ろの産毛までしっかり再現されている技術に驚きを隠せません。
潮の満ち引きが理解できる、圧巻の巨大スクリーン!
同じ場所に長時間立っていないとわからない潮の満ち干は、こちらの巨大スクリーンを見ると一目瞭然です。干満の様子が10分刻みの映像で流れるため、思わず食い入るように見てしまいます。
さらに、同じ場所の干潮と満潮の海の中がリアルに表現されている展示も!時間をかけてゆっくり見ると、普段何気なく眺めている干潟の印象が変わります。
三重県沿岸はウミガメの産卵スポットで有名です。MieMuでもまさに今ウミガメが産卵している展示を発見しました!
北村さんによると、ウミガメの産卵を見てもらいたいからあえてお尻をこちら側に向けて展示したのだとか。卵を産み落とす穴の深さや大きさが間近で見られますよ。ちなみに、実はこちらのウミガメも含浸が施されている実物のウミガメです!
磯のくらしと海の生きものが凝縮された展示
三重県の南東に位置する伊勢・志摩地域。MieMuの展示では、海女さんのくらしや海の生きものが中心です。海女さんの生活や貝を獲る方法が、展示・道具・映像を通して理解できます。
熊野灘の生きものの展示は、インパクトと繊細さが特徴的。特に驚いたのはリアルすぎるマンボウです。筆者の見てきたマンボウの展示といえば、ツルッとした形状で少し青みを帯びた剥製やレプリカでした。しかし、MieMuに展示されているマンボウはシワのザラつきに加えてしっとりした質感。さらに、色味はグレーで口元は白色……。「これが本物のマンボウなんだな」とため息が漏れました。こちらのコーナーに展示されている魚のいくつかは、含浸とのこと。ぜひ見てもらいたいポイントです!
三重を代表する文化「お伊勢参り」の立役者!
三重の代表的な文化といえば「お伊勢参り」をイメージする方も多いのではないでしょうか。
江戸時代、日本人なら誰もが「せめて一生に一度でいいから、伊勢参りがしたい!」と望み、大勢の人が押し寄せたそうです。当時は、現代でいうお伊勢参りのツアーコンダクター「御師(おんし)」がおり、参拝客をおもてなしするお屋敷がありました。
筆者も御師にコーディネートしてもらったところ、約47万円という高額なプランになりました……!オプションには「迎えにきてもらう場所」「交通手段(馬や籠など)」「座布団の厚さ」「神楽の種類」など。きっと当時お伊勢参りする人も「一生に一度だから!」と奮発したに違いません。(笑)
入場無料!見て・触って・遊べる
「こども体験展示室」
基本展示室の入口前には「こども体験展示室」があります。室内はまさに基本展示室の子ども版といえる空間!海・山・川・町などそれぞれのモチーフが手に届く場所にあり、遊びながら楽しめる体験型展示室です。
2023年8月現在の利用時間は7枠(45分交代)に分かれており、当日受付制です。小学生以下(保護者を含めて)なら無料で誰でも入室できます。取材中、保護者同伴で2歳のお子さまが学べる道具で遊んでいたり幼稚園児たちは声を上げて笑っていたりなど、思い思いに楽しんでいました!
閲覧無料!
多様性を感じられる三重の本が豊富に
MieMuには展示エリアの隣に「交流創造エリア」があります。三重県の自然と歴史・文化に関する「知りたい」「学びたい」「調べたい」のニーズに合わせて書籍や資料が並んでおり、落ち着いた空間です。
小中学生たちが思い思いに本を広げて談笑する姿や大人が職員の方と打ち合わせする様子が見受けられ、明るく開放的な雰囲気が印象的でした。
MieMuは大人も子どもも夢中になれる博物館!
MieMuは三重県の自然と歴史・文化に関する情報が余すことなく展示されている博物館です。一般的に、博物館といえば館内は静かで大きな声で話してはいけないイメージがありますが、MieMuは想像以上に賑やか!明るく気軽に過ごせるスペースが広がります。大人は好奇心をそそられて、子どもは遊びながら楽しめる雰囲気です。
三重県内の方なら日頃の疑問が解消して新たな知識が身につく場であり、県外の方だと多様性がある三重県の魅力を深掘りできる場でもあります。
三重県を知るにはMieMuへ!新しい発見の連続で、充実した1日が過ごせますよ!