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三重県いなべ市に、2020年10月にオープンした「nord(ノール)」。無農薬の野菜や地元でつくられた食材をメインに、カジュアルなフレンチ料理を楽しめるレストランです。
「nord(ノール)」を手掛けるのは、自然派農法で無農薬の野菜を栽培する「八風農園」や休日には行列ができる人気店「上木食堂」など、さまざまな事業を展開する「松風カンパニー」。地元の人を中心に、多くの人々から注目を集めています。
今回は、「nord(ノール)」の店長・西山さんにお話を伺いました。
場所は、三重県いなべ市「阿下喜駅」から徒歩約10分のところに位置します。
名古屋からは、車で1時間ほど。お店の横には、広々とした駐車場が完備されているので、お車でお越しの際も駐車に困ることなく来店できますよ。
ウッド調のおしゃれな外観。ところどころに飾られた植物やインテリアが、ナチュラルな雰囲気を演出しています。お店の大きな窓ガラスからは、店内の様子を伺うこともできますね。
「nord(ノール)」という店名は、フランス語で「北」を意味します。
この店名の由来は、お店の場所が「北」にゆかりあるからなのだとか。三重県いなべ市の”北勢町”にあり、さらには阿下喜の中の”北町”に位置しており、”北勢スーパー”の跡地に建てられたこともあって、「北」に対してすごく縁を感じているそう。そこから、フレンチレストランということもあり、フランス語で「nord(ノール)」と名付けられました。
地元の人が訪れやすい、気楽に楽しめる空間づくり。
店内は、”北”にちなんで北欧をイメージ。木のぬくもりを感じる、あたたかくてやさしい空間です。
フレンチと聞くと敷居が高い印象を抱く人も少なくないと思いますが、「nord(ノール)」の良いところは誰でも気軽にフレンチを楽しめるところ。例えば、地元のおじいちゃんやおばあちゃんがランチを食べにきたり、作業着を着た人がふらっと飲みに来る……。そんなカジュアルなスタイルでフランス料理の楽しさを伝えたいという店長・西山さんの想いが、料理にはもちろんお店の空間づくりにも込められています。
天井を見上げると、むき出しになった木造の骨組みが。自然の心地よさを感じることができる素敵な内装です。西山さんは、お店の設計から携わりこだわりをとことん追求。
テーブル席とカウンター席が用意されています。
お店の奥には、可愛らしいクッションが並んでおり、ゆっくりくつろげるテーブル席。手前には、大きなテーブルを囲みながら食事を楽しめる席も。お子さん連れのご家族でも、ゆったりと座ることができますよ。
カウンター席では、調理風景を見ることができるのも魅力。店員さんや他のお客さんとのたわいのない会話は、カウンター席ならではの醍醐味です。
自然豊かな地元・三重の魅力を伝えていきたい
もともとは、名古屋の人気店で働いていた西山さん。なぜ「nord(ノール)」をはじめることになったのか、経緯についてお伺いしました。
西山さん:「名古屋の調理師学校を出て、名古屋にあるグランメゾンといわれる高級料理店で約3年ほど修行をしました。その後は、レストラン・ビストロと計3店舗を経験し、地元の三重へ帰ってきました。ゆくゆくは自分のお店を持ちたいと思っており、自分の強みになる部分は何だろうと考えたとき、自然の豊さを伝えていきたいなと思ったんです。そこで、野菜を覚るために繋がりのあった有機農家さんのもとで約1年間、野菜づくりをしていました。」
豊かな自然に囲まれた地元・三重の魅力を料理を通して伝える。そのためにも、野菜づくりを一から学ぶ、その西山さんの姿勢に熱い想いを感じました。
有機農家で野菜の勉強をしている中、出会ったのが「上木食堂」。昼は畑、夜は上木食堂でアルバイトとして働くことに……。
– そこから、どのようにして「松風カンパニー」の仲間入りを果たしたのでしょうか。
西山さん:「実は、実家もフレンチのレストランをやっていまして。桑名にある『えびす亭』というお店なのですが、そこへ帰ってこい!と父親から言われて、約1年間働いていた畑と上木食堂を辞め、実家に戻りました。
それから10ヶ月くらいが経ったころ、上木食堂の店主である松本さんから急に連絡をもらったんです。その内容が『やっぱり一緒に仕事がしたい。こういうお店をやらないかという話がきていて、任せられるのはお前しかいない。』というものでした。」
後継という立場や家族のことを考え、最初はこの話をお断りしたのだとか。しかし、自分の強みになると思ってはじめた畑や上木食堂の楽しさが忘れられず……。家族にその想いを伝えて、新しいお店をはじめる道へと進みました。
地産地消にこだわった、
旬な野菜や食材を堪能できるフレンチレストラン
そうして誕生したのが、フレンチレストラン「nord(ノール)」。”自分のお店を持つ”という西山さんの夢が実現することに。
お店のコンセプトやこだわりについて、詳しく教えていただきました。
西山さん:「自社農園である八風農園で採れた野菜を使い、お肉・魚も地元のものを仕入れて、地産地消のようなかたちでひとつのレストランを完成させる。そして、地元の人が訪れやすい、わかりやすく食べてもらえるフランス料理にしています。」
「nord(ノール)」で提供する料理には、旬な野菜がたくさん使われています。その野菜はすべて自社農園である「八風農園」でつくられたもの。無農薬・無化学肥料で栽培された新鮮な野菜を活かしたフレンチ料理をいただくことができます。
料理とあわせて食べるパンは、八風農園で栽培された小麦やライ麦を使用したドイツパンのお店「フライベッカーサヤ」のもの。同じ三重県いなべ市でお店を構える、人気のベーカリーで「nord(ノール)」の姉妹店でもあります。
みんながワクワクしながら楽しんでつくったものが「nord(ノール)」に集まり、それをお客さんに伝えていくことが自分たちの仕事だ、と語る西山さん。
ゼロからすべてを自社でつくりあげている「松風カンパニー」の一体感、おいしさやたのしさを伝えていきたいという西山さんの想いが、「nord(ノール)」の魅力へと繋がっています。
– メニューについてのこだわりを教えてください。
西山さん:「作り置きはあまりしたくないんです。先に火を入れてただ盛るだけだったら、ちょっと良いスーパーで買うのとあまり変わらないんじゃないかなと。わざわざお店に食べにくる意味って、”できたてを食べたい” ”素材の香りを楽しみたい”とかだと思うんですよね。野菜に火を入れたときの香りは、その瞬間でしか味わえないもの。なので、その香りを伝えたいなと思っています。」
「nord(ノール)」のメニューは、ほとんどが日替わり。その理由は、その日その時によって収穫できる野菜や旬な食材が変わるからです。その日にしか食べることができないメニューもあるので、何度訪れても新しい料理に出会うことができますよ。
旬な野菜たっぷりのランチメニューをご紹介
野菜がたっぷり入ったサラダが魅力のランチメニュー。今回は、お肉がメインのAランチをいただきました。Aランチは肉or魚がメインで、Bランチは誰でも食べやすいようパスタランチを用意しています。
「nord(ノール)」のランチのコンセプトは、「八風農園の現状を伝える」ということ。畑から採れた野菜にはできるだけ手を加えず、きれいに処理しただけの状態で提供することを心がけています。
この日のサラダがこちら。5種類の野菜とピクルス、ビーツのポテトサラダに桜ポークのスモークハムとパンがついた豪華で彩り豊かなサラダは、見た目の美しさも◎。
5種の野菜は、トレビス・グリーンレタス・サニーレタス・新玉ねぎ・黄色いズッキーニ。フライベッカーサヤのガーリッククルトンがアクセントに入っています。そこに、赤玉ねぎでつくった甘酸っぱいドレッシングをかけていただきます。
まず一口食べて驚いたのが、野菜のみずみずしさ!シャキシャキ感はもちろん、野菜たちがイキイキしているのがわかります。噛めば噛むほどに甘みを感じ、野菜の栄養をたっぷりと味わうことができます。
新じゃがいものビシソワーズは、暑い時期にぴったり!新じゃがいもの旨みが詰まった、サラサラしていて飲みやすい冷製スープです。
こちらがメインのお肉料理。三重県産鶏もも肉のバロティーヌとソテーしたつるむらさき・インゲン豆・甘長とうがらしに、ブルーチーズのソースがかかっています。
鶏もも肉の旨みがギュッと詰まったバロティーヌにブルーチーズのソースがほどよいアクセントとなって、贅沢な味わい。個性の異なる3種類の野菜と合わせて食べると、いろいろな味で楽しめます。
何種類ものおいしい野菜を気軽に堪能できる「nord(ノール)」のランチ。素材そのままの味を生かしたフランス料理は、そのときどきの旬が詰まった特別感を味わえますよ。
おうちで「nord(ノール)」を楽しめる、
テイクアウトメニュー
「nord(ノール)」では、テイクアウトメニューも充実しています。
おすすめのメニューは、1箱で「nord(ノール)」が一人分楽しめるデリカテッセン。少しずついろんなものが入っているので、食べ終わったときの満足度もバッチリです。「nord(ノール)」の魅力が1箱にギュッと詰まった、おいしさ・楽しさを味わえるメニューです。
そのほかにも、オムライスやハヤシライスなどさまざまなテイクアウトメニューを取り揃えています。ディナー向けのテイクアウトには、ワインに合うレバーペーストやテリーヌなどもおすすめ!おうちごはんが豪華になること間違いなし。
テイクアウトする際は、予約をおすすめします。お店のInstagramでは、本日のメニューなどお店の情報を配信しているので、ぜひチェックしてみてくださいね。
最後に、今後の展望についてお話をお伺いしました。
西山さん:「上木食堂の松本さんとも話をしていたのですが、ここらへんの人たちってどんどん都会の方へ出て行ってしまうんですよね。今ここに住んでいる子どもたちが、この町ってすごいんだよ!と、もっと魅力的に思えるようなところにしていきたいね、と話しています。
まずはこのお店を、三重にはじまり東海各地から注目される存在にしていきたいです。そしてゆくゆくは、世界的にも注目される、そんなお店にしていきたいと思っています。」
「nord(ノール)」は、フランス料理の新たな楽しさを教えてくれる、素敵なレストランです。県外からでもわざわざ足を運びたくなる、そんな魅力が詰まっています。おいしい野菜と地元の食材でつくるフレンチを堪能しに、「nord(ノール)」へ訪れてみてはかがでしょうか?