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日本有数の窯業地域として知られている愛知県瀬戸市。ここには、やきものの町ならではのミュージアム「愛知県陶磁美術館」があります。国内最大規模のコレクションは、なんと7,000点以上。日本やアジアをはじめとする、世界各国のやきものについて学ぶことができる美術館です。
さらに、やきもの作りや絵付けの体験ができる「陶芸館」や、やきものでお抹茶が楽しめる茶室「陶翠庵」など、やきものを学んで、つくって、使える体験型の美術館なんです。今回は、家族連れにもおすすめな「愛知県陶磁美術館」の魅力をたっぷりとご紹介します。
愛知県は、良質な陶土が採れることから、日本有数の窯業地域として知られています。5~14世紀まで県中部に存在した猿投窯や、12~13世紀まで渥美半島の先端で栄えた渥美窯など、古くからからやきものの生産が盛んに行われてきました。特に10世紀の窯跡が発掘された瀬戸焼、12世紀頃から始まったとされる常滑焼は、どちらも「日本六古窯」のひとつです。
日本では陶磁器の代名詞である「せともの」の由来となった瀬戸市の瀬戸焼をはじめ、急須から衛生陶器まで幅広い製品を生産する常滑焼、名古屋市周辺でつくられる洋食器ほかファインセラミックス、七宝焼、高浜市周辺の三州瓦など、さまざまな窯業製品が県内各所で生産されています。また、陶芸家による作品制作も活発な地域です。
愛知県陶磁美術館は、そんな日本における最大級の窯業地である愛知県瀬戸市に、愛知県政100年記念事業として1978(昭和53)年6月1日に開館し、平成30年度で開館40周年を迎えました。
国内最大級の陶磁器コレクション
建物は建築家・谷口吉郎設計。7つの展示室にて、企画展および常設展を開催しています。
まずは敷地中央にある本館へ。本館では、常設展と年間5本開催される企画展を行う展示室があります。
常設展では、縄文時代から現代に至るまでの日本のやきものの歴史や、外国陶磁、現代陶芸、全国の古窯陶磁資料等が紹介されています。7,000点を超えるという展示数だけでなく、展示されている陶磁器はレプリカではなく、すべて本物という点もポイントです。
愛知県陶磁美術館はやきものの町・瀬戸市に所在するだけあって、瀬戸の陶磁器資料も豊富に展示されています。瀬戸のやきものの原点とされる5世紀頃の猿投窯の陶器から、桃山時代の黄瀬戸・瀬戸黒・志野・織部といった茶道とともに発展した名品も鑑賞できます。
常設展では、日本だけでなく世界各地の陶磁器も展示。中国や韓国の古代から現代までの陶磁器をはじめ、ヨーロッパ、南米、東南アジア、中央アジア、など世界各地の陶磁器を鑑賞できます。陶磁器でも、国や場所によってデザインや色使いに特色があり、とても興味深かったです。
白地藍彩芙蓉手花鳥文盤(イラン / クチバ) 17世紀後半
染付芙蓉手花籠文大皿(有田 / 日本)17世紀後半
例えば、上記の絵皿は「染付」という技法で仕上げられています。同じ技法を使っていても、絵柄が異なるだけで雰囲気が全然違いますよね。国による特徴を考えながら、鑑賞するのも楽しみのひとつです。