工場や工務店が並ぶエリアを歩いていると、ふと外にたくさんの植木が並び、その横に細く小さな扉のあるお店が目に留まりました。外が良い天気でとても明るかったので、ドアの中は真っ暗。最初はお店とは思わなかったのですが、よく見ると花屋さんのようです。まるで映画に出てきそうなその扉の中は、素敵な店主が営む花屋さんでした。
この素敵な笑顔の写真の女性は、この小さな花屋さんBlomsterateljén(ブロンムステラテリエン)のオーナーLena(レナ)さん。彼女は花を心から愛しているフラワーコーディ
ネーターです。2019年にここをオープンしたそう。
こちらが筆者がお店とは気付かずに通り過ぎそうになった店構え。右の白い扉は工務店。彼女の店はその横の細い扉の向こう側。花屋の看板も出ておらず、扉に小さな文字で”Blomsterateljén”と書いてあるだけ。でも狭い花で溢れた素敵な店内には数名のお客さんがいました。
ちなみにこの写真、店の前のテーブルと椅子にバッグとコートが置いてありますが、これは中でお買い物をしているお客さんのもの。場所にもよりますが、安全なところも多いスウェーデンです。以前空港でPCを充電しながらPCをそのままにしてどこかへ行ってしまった人を見て驚いたほどです。
ドアの向こう側はこんな感じです。写真だから中が少し見えていますが、外の明かりが強かったので肉眼では中が真っ暗!ちょっと入るのにドキドキしましたが、一歩踏み込むと中には新鮮な花の香りと素敵なインテリアの店内が広がっていました。
扉の左側の窓の周りが沢山のミモザのドライフラワーで囲まれていてとても素敵です。
彼女はフラワーデザイナー兼デコレーターで、35年のキャリアを積んだ後に自分の夢を実現するためにここで働いているそう。彼女は「もう働かない!」と思った事もあったそうですが、今彼女はこうやって花と人との出会いという「最高の仕事」をしていると自負しています。
花を扱う仕事はお客さんと喜びも悲しみも、洗礼から墓場までを共にすること。それはこの仕事の特権だと彼女は言います。
所狭しと並ぶ他の花屋ではあまりお目にかからないような花も置いています。
レナさんは、この街に辿り着くまでにピンクのバンで世界一周をしたこともあるそう。そのバスには彼女の前夫であるピーターさんも一緒でした。半年間の世界一周旅行を終えて帰国した時、当時住んでいたストックホルムから電車に乗ってたどり着いたのがこの場所なんだそう。
世界一周した店主が営む小さな秘密基地のような花屋さん、素敵ではありませんか?
店内の雰囲気はとても落ち着いていますが、所狭しと並ぶ植物と花で目に映る景色は大変賑やかです。
松ぼっくりのシンプルな置物も。
レナさんは、母が30年前に自分の店を持っていたので、「自分の店を持ちたい」という憧れはずっとどこかにあったそうです。花以外の仕事はしたことがないので、この店をオープンした時がついに訪れたそのタイミングだったとのこと。彼女は「これで自分のクリエイティビティをまったく新しい形で開花させることができた!」と言っていました。
こちらはお店の外の窓周りに飾られていたミモザ。ハッとする黄色い色が春の訪れを感じさせます。
もうすぐイースターなので、イースターに因んだ卵のキャンドルも置いていました。飾り方ひとつひとつとっても素敵なんです。
プレゼントする花に添えるカードも購入できます。置いているカードのデザイン1つをとっても、彼女のセンスとテイストが垣間見えます。
スウェーデンでは、ちょっとした時に花をよく贈るので、花屋さん以外でもスーパーでも沢山の花束とメッセージカードが置いてあります。気軽に花を贈り合える関係、良いですね。
花束にどの花を選ぶか迷ってしまいますが、フラワーコーディネーター歴35年のレナさんに任せれば、間違いありません。
イースターが近いので、イースターにちなんだスイセンの植木鉢も外に並んでいます。
こちらの方向から歩いてきて、ここが筆者がお店とはわからず通り過ぎそうになった場所です。こんな風に、扉の内側にほんの小さく店名が入っているだけなんです。工場のエリアにありますし、知る人ぞ知る、といったところでしょうか。
今回足を運んだのは春先でしたが、是非クリスマスの頃内装がどんな風に素敵になっているのか是非また行ってみたいと思いました。素敵な店主の小さな夢の花屋、Blomsterateljén、ストックホルムから電車で1時間程の街にあります。ぜひレナさんに会いに行ってみて下さい。