【読書好きスタッフが選ぶ、5月に読みたい1冊】今月のテーマは、”韓国文学”

掲載日:2021.05.27
【読書好きスタッフが選ぶ、5月に読みたい1冊】今月のテーマは、”韓国文学”

みなさんこんにちは。ライフデザインズ編集部が独自の目線でおすすめしたい「本」をピックアップしてご紹介するこのコーナー。今月は”韓国文学”をテーマに選書しました。

ここ1年、2年で、韓国の作家さんによる小説を目にする機会が増えました。『私は私のままで生きることにした』や『死にたいけど、トッポギ食べたい』など、タイトルのストレートさに引かれ、手にした方もいるのではないでしょうか?。その特徴は、日常の中に社会問題がうまく落とし込まれていること。そんな韓国文学の勢いはまだまだ続きそうです。

10代から60代まで反響の声ぞくぞく
『82年生まれ、キム・ジヨン』


はじめにご紹介するのは、韓国文学の火付け役となった一冊『82年生まれ、キム・ジヨン』。韓国で136万部突破、映画化され社会現象を巻き起こした大ベストセラー小説です。

キム・ジヨンという名前は、韓国で最も一般的な名字のひとつ「キム」と、1982年に生まれた女子の名前として最も多い「ジヨン」を組み合わせたもの。そんなキムジヨンという1人の女性を通じて、韓国社会に根深く組み込まれた性差別を突きつけています。

女性としての生きづらさを初めて知る少女時代、必死に勉強して入った大学から就職への壁。結婚・出産で会社を辞め、社会から切り離されていくような気持ちを抱える日々、そして再就職への困難な道――。

この本は、女性なら誰しもが一度は感じことのある女性を取り巻く環境や理不尽さ、何世代にもわたって女性たちが心に閉じ込めてきた声そのものです。女性たちが今まで抱えてきた感情がすへでこの本に詰まっています。ぜひ、手に取って読んでいただきたい一冊です。

老若男女問わず共感を集めた詩集
『花を見るように君を見る』


韓国の詩人ナ・テジュが過去に出版した35冊の詩集の中で、インターネットのブログやツイッターで主に紹介されている詩だけを集めたのが『花を見るように君を見る』。ドラマの重要シーンで使用され、発売から再び大ブームを巻き起こし、老若男女問わず共感を集めています。

この詩集は、毎日読む度に心が揺さぶられるものが変わります。そして、一つひとつの詩の中で小さな幸せとは何かを教えてくれる心に染み入る一冊です。繊細なタッチの花々の挿し絵もまた、詩集に合っていて心があたたまります。
枕元において、少しずつ読むのがおすすめです。

2年連続で年間ベストセラー!
話題のイラストエッセイ
『私は私のままで生きることにした』


人と比べて、何になる?
誰かと比べて生きるなんて、もうやめたらいいよ。

韓国の若者を中心に大反響を巻き起こした作品『私は私のままで生きることにした』。世界にたった一人しかいない“自分”を大切にして生きていくために、忘れないでほしい70のことが書かれています。

✓自分からみじめになってはいけない
✓誰かの期待に応えようとしてはいけない
✓自分以外の何者かになろうとしない
✓自分が輝ける場所で生きていく
✓通りすがりの人に傷つけられてはいけない
✓すべての人に理解されようとしなくていい etc.

この本を読むと、等身大の自分。ありのままの自分らしく生きるためのヒントがもらえます。自分のことがすきになれない人、生きづらさを感じてる人には特に、読んでいただきたい一冊です。

若い世代に共感を呼んだ
『死にたいけどトッポッキは食べたい』

この本に描かれているのは、気分変調症(軽度のうつ症状がずっと続く状態)に悩む著者と精神科医との対話の記録。社会の枠組みの中で何となく生きづらさを覚え、不安定になってしまう繊細な心が、ありのまま描きだされています。 漠然とした不安を言葉にすることで心に寄り添い、読んでいる側も一緒にカウンセリングを受けているような気持ちにさせてくれます。

正直、好き嫌いが分かれる一冊です。タイトルに惹かれて購入した人は、おもしろくないと感じる人も多いかもしれません。しかし、医者と患者の会話が続く中で、自分自身がウンセリングを受けているような気持ちになります。刺さる人には激しく刺さる一冊ですので、自己肯定感の低さに悩んでいる人やもっと気楽に、自分を愛したい人には、共感することが多いはずです。

一緒にカウンセリンングを受ける気持ちでぜひ読んでみてくださいね。

シングルでも結婚でもない、
女2猫4の愉快な生活
『女ふたり、暮らしています。』


似てるけどまったく違う二人と猫四匹がつくる新しい家族の形。ポッドキャストの司会として人気のコピーライター、キム・ハナとファッション誌『W Korea』の編集長を長く務めたファン・ソヌによる女ふたりの共同生活記です。

ふたりの関係は単なるルームメイトでも、 恋人同士でもない。長い間、一人暮らしを続ける中で楽しさや喜びよりも孤独や不安を強く感じはじめたふたりは、尊敬できて信頼できて、気の合う相手をこれからの人生の「パートナー」として選びます。そして、マンションを共同購入。家父長制の下で我慢を強いられる結婚はまっぴらごめん。 「結婚=幸せ」という限定的な考え方から解放された現代女性たちに贈る、新しい生き方です。

作中では2人の様子がユーモア満点に描かれており、こんな生き方もいいよね!と新しい世界を見た気がしました。結婚だけに捉われず、心地のいい相手と生きていくのも、現代の新しいあり方なのかもしれません。

今回は韓国文学をご紹介しました。どの本にも共通しているのは、自分の気持ちに素直であること。そして日常生活を通じて、自分らしい生き方を模索している姿に共感を感じます。気になる本をぜひ手にとってみてくださいね。

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