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奈良県で40年の歴史を持つ「フジエダ珈琲」。奈良県内では誰もが知っている喫茶店の運営をはじめ、喫茶店やカフェにコーヒー豆を提供してきた老舗珈琲焙煎所です。
そんなフジエダ珈琲が2015年より家庭向けの商品として展開しているブランドが「奈良藤枝珈琲焙煎所」です。絵本から飛びでたような鹿の絵がなんともかわいらしく、発売以来大変人気を集めています。
今回は、奈良県の本社へ伺い、コーヒーのこだわり、開発エピソードなど、じっくりとお話をお聞きしてきました。
フジエダ珈琲があるのは奈良県の北部、奈良県大和郡山市。本社の横には、喫茶店も併設されており、創業以来市民の憩いの場として愛されています。
奈良県の喫茶文化の広がりとともに
今回お話をお伺いした、代表取締役社長・藤枝一典さん。
フジエダ珈琲では、喫茶店を奈良県内で5店舗運営しているのに加え、喫茶店やカフェにコーヒー豆を提供する卸売事業を長年展開されています。
−まずはフジエダ珈琲の歴史からお聞きしました。
藤枝代表:「フジエダ珈琲という名前で会社を設立したのが1975年です。創業者である、叔父が大阪でコーヒーローストの修行を積んだ後に、奈良県で事業をスタートさせたのが最初のきっかけです。
奈良県は、1980〜90年代にかけて急激に喫茶店やカフェが増えていきました。僕らは、そんな喫茶文化が広がる前からお店を運営していたこともあり、喫茶文化の広がりとともに、県内の方々には広く認知していただけるようになりました。」
家庭でも楽しんでいただけるコーヒーを
藤枝代表:「コーヒーでよく聞く、サードウェーブって言葉があると思うんですが、喫茶文化はファーストウェーブだと僕は思うんですよね。喫茶文化は、世界中を探しても日本独自のカルチャーです。ところが、年々喫茶店は町中から減ってきてしまっているのが、現状です。僕らのお客様も高齢化や継承していける人がいないので、閉めてしまう店舗がとても増えているんです。
そんな中で、僕らが長年培ってきた焙煎技術を活かし、新たなノウハウを持って家庭向け商品を何かつくれないだろうか。そんな想いから動きだしたのが、「奈良藤枝珈琲焙煎所」のはじまりです。」
中川政七商店との出会いによって
藤枝代表:「ただ、僕らは長年卸売として商材を扱っていたので、家庭向け商品をつくるノウハウを持っていなかったんです。そんなときに「中川政七商店」さんと奈良県が、”ものづくりをお手伝いします。”と募集をされていたんですね。
そこに僕らは想いをしっかりと書いてエントリーをしたところ、採択していただけることになったんです。こうして、中川政七商店さんに、商品のコンサルをしていただくことになりました。それまでは、長年と経験と勘だけで、ものづくりをしていたところがあったんですが、コンサルを通じて、ものづくりに対するプロセスを、しっかりとレクチャーいただきました。
コンサルをしていただく中で、「既存のブランドで、家庭用商品をつくるのには限界がある。これに合わせてブランドもつくりましょう。」と提案いただき、新ブランドが立ち上がることになったんです。ブランドをつくるにあたり、フジエダ珈琲の強みって何だろうねっていうところから、原点を振り返り、話し合いを何度も重ねていきました。」