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今回ご紹介する「こんどう珈琲」があるのは、愛知県東郷町の田んぼが広がるのどかな住宅地。自家焙煎豆で淹れるこだわりのコーヒーと、ゆったりとした空間で癒しの時間を味わうことができます。
自家焙煎コーヒーのこだわりや魅力について、オーナーの近藤浩樹さんにお話を伺いました。
場所は、東郷町諸輪の名鉄「米野木」駅から徒歩15分ほど。遠くからでもすぐわかる三角屋根と煙突が目印の一軒家カフェです。
駐車場が完備されているので、車でも来店していただけますよ。
季節を感じる開放的な店内
店内は天井が高く、広々としており、開放的な空間。幅広いシーンに利用いただけるようカウンター席とテーブル席が設けられています。
大きな窓が印象的。緑豊かな庭園と、その先には田園風景が広がり、心が癒されます。
もともとこの場所は、近藤さんのご実家の田んぼだったところを農地転用し、建てたお店です。この風景を楽しんでもらいたいとの思いで、窓側には柱を見せないよう空間づくりをしたそうです。
適度に仕切られているので、一人で読書をしたり、友達同士で楽しんだりと、時間を忘れてゆったり過ごせますよ。
コーヒーを淹れる過程を間近に眺めることができるカウンター席。
中央のカウンター席はコンセントが設置されています。コーヒーを楽しみながらPC作業やスマホの充電ができるのはうれしいですね。
気候のいい時期におすすめなのが、こちらのテラス席。広い空と緑に囲まれて、贅沢な時間を過ごせそう。
取材に伺った9月はじめは、稲刈りが終わった時期でした。春~夏は季節の花々が咲き、秋~冬は田んぼが黄金色へ染まり、木々が色づいていく。そんな季節ごとに違った風景を眺めることができます。
気軽に本格的なコーヒーを風景とともに
こんどう珈琲のオープンは2014年。近藤さんはこのお店をオープンする前は、別の場所でお店を営んでいましたが、地元でよりよいものを提供したいとの思いで、焙煎の技術を学び、現在の場所で自家焙煎をスタートしました。
– この場所でオープンしようと思ったきっかけやコンセプトを教えてください。
近藤さん:「以前のお店では自家焙煎はなく珈琲屋から豆を仕入れて、当時もハンドドリップでコーヒーを提供していたんですね。お店が手狭になったこともありますが、新鮮な豆を地域の人たちへお届したいと考え自家焙煎珈琲店としてオープンしました。
自家焙煎珈琲店というと、ひと昔前ですとなかなか踏み込めなかったり、コーヒーに詳しくない人には敷居が高いと思われがちなんですね。そこでもっと気軽にコーヒーを楽しんでほしい、コーヒーに詳しくない人にも本格的なものを味わってもらいたいという思いがあります。」
オープン当初は、ご近所のお客さんがほとんどだったとか。年々おいしいコーヒーを求め、遠くから車を走らせてくるお客さんも増えているそうです。
自家焙煎のこだわりは丁寧な手作業
コーヒー豆は常時8~10種類。お店の出入口付近にある焙煎機で、毎日丁寧に焙煎されています。豆の鮮度にこだわり、1週間以内に使いきれる量を毎日焙煎しているから、いつでもフレッシュなコーヒーを味わうことができます。
それだけではありません。焙煎のこだわりは、欠点豆を取り除く「ハンドピック」という作業にもあります。
– ハンドピックはどのタイミングで行うのでしょうか?
近藤さん:「まず生豆を焼く前に、あきらかに割れていたり、虫が食っていたりするのは外します。焙煎前は軽く外しますが、焼いてから初めてわかることもあるので、焙煎が終わってから、一粒ずつチェックしています。」
こちらが実際に取り除いた豆です。色が入っていなかったり、割れていたり、薄皮は渋みの原因になってしまうそうです。
近藤さん:「良くない豆は一粒入っただけでも、風味を害するのでコーヒーの味が台無しになってしまいます。針で穴を刺したような豆は虫が入った跡なんです。これは必ずとらないと、ひどい香りがするので、混ざっていないか表と裏をすべて見ています。」
– それがおいしさのポイントなんですね。
近藤さん:「ハンドピックは慣れていないと時間がかかる作業なんです。豆の産地にもよりますが約1時間、多い豆だと2時間かかることも。けっこう大変な作業ですが、これがおいしさに繋がるから重要ですね。当店はより丁寧にやるようにしています。」
– 焙煎機からつながる煙突がとても高くて印象的です。街中ではなかなか見かけませんね。
近藤さん:「焙煎中に生じる煙をすみやかに排出するためです。長ければ長いほど、煙を引っ張る力が強くなるから、5m程の高さのある煙突を設置しました。焙煎を繰り返すと煙突の中に煤が蓄積されていくので、煙突の掃除も欠かせません。」
近藤さん:「最初は試行錯誤でしたが、今は豆の特徴を捉え、わかってきているので、最初の頃より豆の種類を増やしています。常に考えながら焙煎していますが、正解がないですね。スタートと仕上りの火加減によっても風味が変わるので、豆にとって何が最適なのか。また季節が変わると、温度や湿度も変わりますので、そういうのも考慮しています。」
おすすめコーヒーをご紹介!
コーヒーはオーダー後に豆を挽き、丁寧にハンドドリップしていきます。コーヒー豆の種類は、ブレンドからストレートまで12~14種類ほど用意。
おすすめのコーヒーについて伺いました。
近藤さん:「4種類あるブレンド中でも1番人気は「こんどうブレンド」です。柔らかな酸味とコクが特徴で、飲みやすく万人受けする味わいになっています。」
おすすめの「こんどうブレンド」をいただきました。ノリタケの素敵なカップ&ソーサーで淹れてくれます。カップの口の大きさと厚さによって、風味が変わるそうです。口当たりと舌の感触を感じ取ってみましょう。
近藤さんがおっしゃる通り、ほどよい酸味とコクを感じ、毎日飲みたくなる味わい。コーヒーの酸味が苦手な方にも味わってほしい一杯です。
豊富なコーヒーメニューの中でも、世界各地より厳選したスペシャリティコーヒー豆を使ったストレートコーヒーは8~10種類。スペシャリティは流通全体の約5%といわれ、生産量が少なく、人気のある豆です。そのため、その年の栽培・収穫状況によって扱う銘柄は変わります。
「個人的におすすめしたいのはストレートコーヒーです。違いがわかりやすい、特徴的なものを並べるようにしています。今ですと、「グアテマラ産オリエンテナチュラル」と「エチオピア産イルガチェフェ・ゲルシ」が好まれています。風味がとても豊かですよ。」
右が「グアテマラ産オリエンテナチュラル」。ベリー系のフルーツを思わせる華やかな香り。左のブレンドコーヒー豆と比べると、香り高く、その香りの違いは歴然でした!
飲み比べしたくなります。そんな人のために、2杯目以降は200円引きで提供してくれるうれしいサービスも。
近藤さんにコーヒーのことを聞くと、精製方法(ナチュラル・ハニープロセス)の違い、コーヒー業界のトレンドなども丁寧に教えてくださいました。こんなに奥が深いとは!認識を新たにしました。
モーニングからカフェタイムまで楽しめる
こんどう珈琲では、モーニングからカフェタイムまで、さまざまなシーンで利用することができます。
オープン~11:00まで、モーニングがいただけます。ドリンク代だけでトーストが付いてくるモーニングのほか、+250円で新鮮なサラダやトーストがワンプレートに盛られたモーニングセットが2種類から選べます。
こちらは「スクランブルエッグ・ベーコン・サラダ&ミニトースト」。さっくり焼かれたデニッシュとレーズンのトースト2種に、添えられるサラダと具材の栄養バランスが◎
11:00~15:00のランチタイムでは、オムライスとパスタがいただけます。
オムライスはシンプルなケチャップライス。幅広い年代に飽きずに食べていただけるよう、あえてシンプルな味わいに仕上げているそうです。
パスタの具材は季節によって変わり、取材日は「オクラとしめじとシラスのオイルパスタ」でした。お料理に使われる野菜の一部は、近藤さんの実家で栽培されているもの。新鮮な素材をつかったフードメニューも自慢です。
コーヒーのお供にぴったりなスイーツは、「ガトーショコラ」「シフォンケーキ」「コーヒーゼリー」の3種類。もちろんどれもお店で手作りされています。今回いただいた「シフォンケーキ」は、ふわふわでやさしい甘さが、コーヒーとの相性抜群でした。
取材中も、さまざまな年代の方がゆったりとコーヒータイムを楽しまれていました。コーヒー初心者も誰でも、本格的なコーヒーを楽しむことができます。ぜひ足を運んでみてくださいね。