岐阜県各務原市にある「恵みの湯」。自社で育てたハーブをお風呂やサウナ、食事処で使用するなど、「ハーブ」に対する並々ならぬこだわりを持つスーパー銭湯として多くの人々に愛されています。
2022年10月には敷地内に「湯癒草々GARDEN&FACTORY」がオープン。新施設オープンにこめられた想いについても取材してきました。
目次
ハーブの香りが漂う
「眠り湯」でリラックス
1996年に創業した「恵みの湯」は、江戸時代に皇女和宮が美味と讃えた各務原の天然水「御前水」の恩恵を受けています。
この天然水はミネラル豊富な黒墨土壌に染みこんだ天水と御嶽山伏流水からなり、身体を温める性質があると言われています。浴室内は天井が高くとられ、内湯はとても開放的です。
以前から伊吹山山麓で採れたハーブを風呂に浮かべた「薬草風呂」が不定期に登場し、好評だったそう。2018年には自社でハーブの栽培をはじめ、常時薬草風呂を楽しめるようになりました。この頃から「ハーブ」は本格的に「恵みの湯」のアイデンティティとなります。
「昔から利用している地域の方々も大切にしつつ、『幅広い層の方々にも広く利用してもらいたい』と考えリブランディングした結果、『ハーブ』に辿り着きました」と本部長の並河征之さんは語ります。
もっともハーブの癒し効果を感じられるのは、露天風呂エリアにある「眠り湯」です。
薬草袋は、頭側に置かれているのでより香りを感じることができます。この日使用されていたのは「よもぎ」。湯温はぬるめなので、リラックスして入浴を楽しめます。
サウナ好き目線から「恵みの湯」を愛でる
サウナの広さは男女とも県内最大級で、8時30分から21時30分の間、毎時30分のオートロウリュウでは、熱々の蒸気とアロマ水の香りを楽しめます。
さらに、サウナブームも相まって特に注目を集めているのが、水曜日と土日祝に行われる「生ハーブロウリュウ」です。畑や自社の“GREEN HOUSE”で採取した生のハーブを投入し、サウナ室内がフレッシュな香りに包まれます。
この日使われていたハーブは「アプリコットゼラニウム」。血流をよくする効果などが期待でき、むくみの解消や冷え性にもよいとされています。
サウナストーンに水がかかると、「ジュワッ」という心地よい音が響き、蒸気とハーブのほのかな香りが立ち上り、とても穏やかな気持ちになります。その日使われるハーブは玄関横の冷蔵庫と浴室前の生ハーブ保管庫にディスプレイされており、入浴前に「生ハーブロウリュウ」への期待を高めてくれます。
ハーブによるリラックス効果を得られるばかりでなく、サウナ室がしっかりと熱いのもポイント。1時間ごとのオートロウリュウだけでなく、10分に1回ほど少量の水を自動的にストーンにかけ、温度と湿度のバランスを調整しています。(これを「間欠ロウリュ」と呼んでいるそうです)
やはりサウナでは、たくさん汗をかいてスッキリしたいですよね?多くのサウナーに支持される理由がよくわかります。
前述の通り、各務原の良質な天然水「御前水」を使用している水風呂も、もちろん最高でした。
入った瞬間に質の良さを感じる、まろやかな肌触り。16℃前後の井戸水が湛えられており、どれだけでも入っていられます。天然地下水をかけ流しにしており、かけ水で十分に汗を洗い流した後であれば、頭から潜ることもできます(男性のみ)。
サウナから水風呂後の休憩スペースとして筆者の個人的なおすすめは、さきほど紹介した「眠り湯」がある屋根下のスペース。
「眠り湯」はハーブの香りを閉じ込めるような構造となっているため、椅子が置かれている場所でもしっかり香りを堪能できます。
ほどよく吹き込む風と、ハーブの香りが最高の“ととのい”へと誘ってくれるのです。
湯上がりは館内にある、カフェのような雰囲気の「めぐみの食堂」へ。
おすすめはなんといってもチキンカレー(880円~)!6種類ほどのスパイスを使用している本格派で、入浴で温まった体をさらに内部からやさしく温めてくれます。
季節の野菜カレー(1,050円)には、旬の野菜が使われています。冬期はさつまいも、じゃがいも、れんこん、ブロッコリーなどがトッピングされていました。
カレーに付くサラダには、“GREEN HOUSE”で栽培されたベビーリーフやディルなどが使われることもあるそう。
「恵みの湯」では「カレーを味わうまでがサ活※の一環」と言えるでしょう。
※「サウナ活動」の略