愛知県西区中小田井に、野菜を使ったお菓子とお茶が味わえるカフェ「茶菓 瑞の便り」が2023年11月にオープン。店主が1人でお菓子作りから接客までおこなっているカフェです。
身体に優しいお菓子は、お子様にも大人気。どこか懐かしい雰囲気の店内は、心まで癒してくれます。今回は、店主のこだわりがたくさん詰まった「茶菓 瑞の便り」の魅力をたっぷりとご紹介します。
※情報は取材時のものです。
ご利用の際には、各施設・各店舗の最新情報をご確認ください。
目次
柔らかい日差しが差し込み、
落ち着いた雰囲気の店内
「茶菓 瑞の便り」は、名鉄犬山線「中小田井駅」から南西へ歩いて約5分の場所にあります。白色の外観に、可愛らしい丸い看板と、ダイヤモンド型の窓が目印。
店内は、温かみが感じられる落ち着いた雰囲気。テーブル席には、大きな窓から柔らかい日の光が差し込んできます。窓を背にした3人掛けのカウンター席はなんと、もともとは学校の図工室で使われていた机と椅子だったそう。机には当時の落書きが見られ、なんとも懐かしい気持ちにさせてくれます。
レジカウンターには、テイクアウト用の焼き菓子とお茶の葉が並べられています。さらに、レジ奥にある窓からは、焼き上がったばかりのお菓子が並んでいるのが見えることも。温かみのある店内と、心地良いBGMによって、穏やかな時間が流れていきます。
間借り営業とイベント出店を経て独立へ
今回は、ふんわりと柔らかい雰囲気が魅力的な店主の柴垣さんに、お店オープンの経緯からお菓子とお茶のこだわりまで、たっぷりとお話を伺いました。
– お店をオープンされるまでの経緯を教えてください。
柴垣さん:「初めは月に1回の間借り営業でお菓子とお茶を提供したり、イベントでのお菓子の販売をおこなったりしていました。そこからマルシェ出店や他店舗さんへの間借り営業など、だんだんと活動の幅が広がっていきました。そのようなタイミングで、こちらの店舗に空きがでたよと知人から教えてもらい、独立を決めたのです。」
– 柴垣さんは管理栄養士の資格を所有されているのですね。学生の頃からカフェ経営を目指していたのでしょうか?
柴垣さん:「高校生のときに、東京で有名だった野菜スイーツを提供しているお店で食べて感動したのが、野菜を使ったお菓子との出会いです。そのときから、野菜スイーツをつくることを仕事にしたいと思っていました。
そのためには、野菜や健康に携わることをしっかりと勉強する必要があると思ったので、製菓の専門学校への進学も選択肢としてありましたが、食物栄養学が学べる大学進学を決意しました。そこで管理栄養士の資格を取得しました。」
– 店名「瑞の便り」に込められた想いについてお聞かせください。
柴垣さん:「水分をたっぷりと含んでいる意味で”瑞々しい”という言葉をよくお見かけすると思います。そのほかにも”瑞”は、”宝物”という意味も持ち合わせています。農家さんが大切に育てられた野菜を表すのにぴったりの言葉だと思いました。
その野菜を使ったお菓子で、農家さんの想いや旬の美味しさを皆さんに届けたい思いから”瑞の便り”と名付けました。」
身体に優しくて楽しい時間を提供したい
– お菓子のこだわりを教えてください。
柴垣さん:「なるべく旬のもので、農薬が使用されていない、安心して食べられる野菜を使ってお菓子作りをしています。
仕入れ先の農家さんは、同業の方々から、知り合いの農家さんをご紹介していただきました。ご紹介いただいた農家さんの中には、直接畑にまで向かい、お手伝いをさせていただくこともありました。信頼できる農家さんから仕入れた野菜を使って、お菓子を作っています。」
– お茶のこだわりを教えてください。
柴垣さん:「お茶のハードルを低くして、幅広い年齢層の方に楽しんでもらいたいと思っています。愛知県にはお茶屋さんが少ないのが現状です。しかし今、若い方々がお茶を広めようと積極的に参入している分野でもあります。私とお茶に対する想いが重なるお茶屋さん「美濃加茂茶舗」さんと「mirume深緑茶房」さんから仕入れています。」
– ドリンクにお茶を選ばれた理由はどのようなものだったのでしょうか?
柴垣さん:「野菜の味わいはとても繊細です。ですから、野菜に合わせる飲み物も、同じように繊細なもののほうが互いの良さを打ち消すことなく、高めあえると思ったからです。また、お茶はもともと薬として始まり、次第に嗜好品として広まった歴史から見ても、野菜のお菓子のコンセプト「一番に楽しくあること、そして気づけば身体にも優しくあれること」と重なると思い、お茶を提供させていただいています。」
「茶菓 瑞の便り」のおすすめメニュー
店主・柴垣さんにおすすめのお菓子と、そのお菓子に合うお茶を紹介していただきました。「茶菓 瑞の便り」では、ほうじ茶・煎茶・和紅茶の3種類のお茶をベースに提供されています。
瑞の便り(旬野菜のわらびもち)・ほうじ茶
“旬の野菜をわらびもちにとじこめる”をコンセプトにしたメニュー。わらびもちの生地自体に、野菜の風味がとじこめられています。また、野菜の天然の色を大切に、宝石のような佇まいをイメージして作られています。毎朝炊いているため、出来立ての柔らかいお餅が楽しめますよ。アクセントになる素材を付けたりかけたりして、いただきます。
現在は、人参のわらびもちを提供中。人参のピューレが生地に練り込まれており、人参本来の甘さが味わえます。仕上げに、きな粉と練乳をかけていただきます。人参は、時期によっては、愛知県美浜町にある出口農園さんから仕入れることができます。無農薬で安心・安全の野菜作りをされている農家さんであり、コンテストの受賞歴がある人参です。
ペアリングのお茶は、ほうじ茶がおすすめ。香ばしいほうじ茶は、練乳がかったミルキーなわらびもちとの相性がぴったりです。
キャロットケーキ・和紅茶
こちらは「茶菓 瑞の便り」のレギュラーメニュー。米粉と人参を使用したケーキ。具材やフレーバーを季節によって少しづつ変えていく予定だそうです。定番のフレーバー「クラシック」だと、くるみとアプリコットがゴロゴロとたくさん入り、シナモンが効いています。
人参とアプリコットには、お肌を元気に保ってくれる栄養素であるカロテンが豊富に含まれているのだそうです。栄養面も考慮されたケーキです。
ペアリングのお茶は、和紅茶がおすすめ。和紅茶は、外国産の紅茶と比べると、葉の品種に違いがあり、渋みが少なく甘味があるのが特徴。人参の甘さとの相性がぴったりの、少し洋風なペアリングです。
お米のグラノーラ・深蒸し煎茶
お米は愛媛のポン菓子専門店「ひなのや」さんから仕入れ、お店で香ばしく焼き上げて抹茶きな粉味に仕上げられています。そのポン菓子に、くるみ・しぼり黒豆・さつまいもチップスの3つの具材を混ぜ込んだ贅沢なグラノーラ。しぼり黒豆は京都丹波にある「小田垣商店」さん、さつまいもチップスは愛知県のさつまいも農家「風と土」さんが作っているものを使用しています。食べ応えのあるお菓子ですよ。
ペアリングのお茶は、深蒸し煎茶がおすすめ。蒸す時間が長いため、渋みが少なく甘味・旨味がしっかり感じられるのが特徴です。和の素材がたくさん入ったグラノーラとの相性ぴったりです。
野菜とお茶の美味しさと楽しさを
より多くの人へ伝えたい
高校生で野菜スイーツに出会い、大学では管理栄養士の資格を取得。間借り営業からカフェオープンまで夢に向かって真っ直ぐ突き進んできた柴垣さん。今後の展望を伺ってみました。
柴垣さん:「農家さんとの繋がりを強化して、お取引先を増やしていきたいです。そして、お店に農家さんをお招きして、農家さんとお客様が繋がるイベントを企画したいです。また、より多くの方にお茶を楽しんでいただきたいと思っています。お茶に関する商品やツールを強化していきたいですね。」
「茶菓 瑞の便り」はお子様も大歓迎!ぜひ足を運んでみてくださいね。