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愛知県日進市にある「レトロでんしゃ館」は、名古屋市の市電・地下鉄保存館です。名古屋を走っていた歴史ある電車車両を展示しています。
かつて活躍していた3種類の市電や1種類の地下鉄が展示されており、実際に車両に入って見学できるのはもちろん、運転席ではハンドルなどの機械にも触れることができるんですよ。
発進・停車操作ができる鉄道模型ジオラマや、地下鉄運転ゲームと地下鉄車両がデザインできるペーパークラフトゲームを楽しめるプレーコーナーなどはお子さんたちにも大人気。
ブレーキ装置の搭載されている連結台車や、電車にまつわるなつかしのグッズもたくさん展示されていて、電車ファンにはたまらなく、当時利用をされていた年代の方々にとってはなつかしい。
小さなお子さんからおじいちゃんおばあちゃんの世代まで、幅広い層のお客さんに愛されているレトロでんしゃ館を、じっくりとご紹介していきます。
レトロでんしゃ館へのアクセスは?
レトロでんしゃ館は、名古屋市交通局・日進工場の敷地内にあって、地下鉄鶴舞線「赤池」駅2番出入口からは徒歩約7分。駐車場もありますが、台数には限りがあります。
レトロでんしゃ館のみどころを徹底レポート!
館内に入ると、大きな屋根の下にはレトロな電車が並んでいます。雨の日でも関係なく楽しめますね。入口に一番近い車両から見て行きましょう。
(2022年3月現在は、新型コロナウイルス感染症対策として、完全予約制、入館の際には入口にて手続きが必要です。)
博覧会にふさわしい世界一の電車「市電1400型」
市電1400型は、名古屋市電の標準的な車両。グリーンとオフホワイトのボディに赤のラインが印象的です。
昭和12年に開催された「汎太平洋平和博覧会」の乗客を輸送するために製造されたもので、市電の廃止となった昭和49年まで長きにわたり活躍しました。
ワンマンカーで、入口と出口が決められています。実際に入れるのはうれしいですね、早速中に入ってみましょう!
1400型の車内は、床とソファや窓の枠が木製。シックでレトロ、とってもおしゃれです。
運転席の装置は機械製で、かっこいい。実際に触れたり、ハンドルを回したりできるんですよ。お子さんたちにも大人気!
車内のポスターやお知らせにも注目してみてください。当時に思いを馳せ、まるで昭和にタイムスリップをしたような気分ですね。
大量輸送の連接車両「市電3000型」
第二次世界大戦下、名古屋市は軍需生産地域として、重要な役割を果たしていたそうです。軍需工場通勤者を大量に短時間で輸送できるようにと、昭和19年に製造された連接車両。
戦時下で資材が不足している中でも、特別に資材の割り当てを受け、製造された連結車なのだとか。
連接部分はこのような台車になっており、最近の連接部分とは随分と作りが違うようです。
中に入ってみましょう!こちらも床などはレトロな木製。
車内連結部は見通しがよくて、広々としています。
注意書きは手書き!現代ではあまり考えられませんが、運転席と客席の間には壁がなかったんですね。
「出発、進行〜!」と、気分は車掌さん。
(左)路面電車が走っていた当時の街の様子、すぐ真横を走る車も写っています。(右)戦後の昭和23年の写真、こちらの3003号車には英語表記も残っていました。
しのび足の電車「市電2000型」
車輪にゴムを挿入して振動や騒音を少なくした電車でとても静か、無音電車と呼ばれていました。しのび足で走る路面電車は危ないので、市民からは警笛を大きくせよ!と批判もあったそうですよ。
床が木製ではなくなり、近代的なイメージの客室です。
運転席の機械も進化していましたが、まだ客席との間には壁はありませんでした。
鮮やかな花電車は、当時の皆さんの目をずいぶんと楽しませていたことでしょう。2000型は、名古屋まつりでも大活躍だったそう。
昭和40年代後半、マイカーでこれほど渋滞する中を、路面電車が走っていたのにはおどろきです。
地下を明るく走り抜ける「地下鉄100型」
昭和32年の名古屋市営地下鉄開業時に、名古屋〜(当時の)栄町を走った車両。ボディの色は、暗い地下をナタネ色で明るく走り抜けるようにと、画家の杉本健吉氏によって選定されました。
安全で迅速に、そして静かにを基本方針に、名古屋市営地下鉄の最初の電車として製造されたのがこの100型です。
昭和32年の開業以来、少しずつ路線を延ばしていき、100型は昭和60年まで活躍しました。
こちらの107号車は引退セレモニーで実際に使用された車両です。
地下鉄東山線100型のATS。ATSとは、自動列車停止装置のことですが、実物を見ながら説明を読むとわかりやすいですよ。機械の仕組みがわかるとおもしろい!信号も色が変わります。
運転席には、パーテーションが設置されるようになりました。
ワイパーを動かしてみたり、ボタンを押してみたり、ぜひ車掌気分を味わってみてください。
100型の台車。車輪やブレーキ装置、モーターなどが取り付けられていて、この上に車両本体を乗せて走ります。
名古屋の街を電車が走る「鉄道模型ジオラマ」
名古屋城など、主要スポットの模型が配置されており、その中を鉄道車両模型が走行します。
操作して遊ぶことができるのが魅力。子どもたちに大人気のジオラマです。
ゲームも無料で楽しめる「プレーコーナー」
地下鉄運転ゲームと、ペーパークラフトが作れるデザインゲーム、どちらも楽しめるプレーコーナー。デザインゲームの印刷は小学生までとなっていますが、今回は特別に筆者も体験させていただきました。
ジャーン!こちらが筆者がデザインしたもの。迷わず選んだのは、春らしくピンクの車体にお花の窓。他にもたくさんの選択肢がありましたよ。
まだまだレトロでんしゃ館を楽しもう!
153号線からは大きなモニュメントが見えますが、何だかわかりますか?
裏側がこちら。このモニュメントは、地下鉄トンネルを掘るためのシールドマシンの一部なのです。
館内にあるシールド工事体験学習模型で、トンネル工事の仕組みをぜひ体験してみてくださいね。ブロックのように積み上げるのがたのしかったです。
ミニジオラマは、運転時間に合わせて見に行くのがおすすめ。
製作者から寄贈された手作り模型。
ここでしか買えないカプセルトイグッズ。1回200円。何が出るかはお楽しみに!
レトロなアイテムは、鉄道ファンや当時を懐かしむ世代の方々に人気。
今回の取材では、かつて整備士としてご活躍された、レトロでんしゃ館スタッフの村井さんにお話をお聞きしました。取材中も村井さんは、鉄道ファンや懐かしむ世代のお客さまから声をかけられていました。
気になることがあったら、(ご対応いただけるかは状況次第ではありますが、)お気軽に事務所のスタッフに声をかけてくださいとおっしゃっていました。きっと、更に充実した見学になることと思います。
事務所では、オリジナルグッズの販売もあるので、お帰りの前にぜひチェックしてみてくださいね。
当時の技術がつまった歴史ある電車の展示、実際に入って、見て、触れることができるのは貴重な体験です。子どもから大人までそれぞれの視点で楽しめる、お天気にも左右されずに過ごすことができる「レトロでんしゃ館」。次のお出かけに、ぜひ行かれてみてはいかがでしょうか。