1300年以上の陶器の歴史を持ち、施釉磁器モザイクタイル発祥の地でもある多治見市。そんな多治見市にある本町オリベストリートの一角に、ヴィンテージ陶器やガラス製品を取り扱っている「三角屋」があります。
店主の山本さんは、レトロ雑貨が注目される以前から、多治見で廃棄される陶器やガラス製品を集めていました。そのため、リーズナブルな価格で提供されているのが嬉しいポイント。手にとりやすい価格としても話題のお店です。
今回は、多治見市の本町オリベストリートにある「三角屋」の魅力をたっぷりとお伝えします。
※情報は取材時のものです。
ご利用の際には、各施設・各店舗の最新情報をご確認ください。
目次
大正時代の喫茶店を活用したお店
JR中央線多治見駅から東へ徒歩約15分の場所にある本町オリベストリート。風情のある建物が並ぶ、全長400mある本町オリベストリートを東へ進んでいくと見えてくるのが「三角屋」です。
歴史を感じる木造の建物に、レトロな青色のタイルがアクセントになっています。お店の入口には、店名である「三角屋」と書かれた味のある文字。
店内は、ガラス食器や花瓶、陶器などが所狭しと並べられています。レトロで可愛いアイテムばかりで、目移りしてしまうほどです。
もったいない精神から始まった「三角屋」
今回は、明るくてお話上手な「三角屋」の店主である山本さんにお話を伺いました。
– レトロな建物が魅力的な「三角屋」のオープンまでの経緯をお聞かせください。
山本さん:「もともと瀬戸で骨董品屋を営んでいましたが、多治見の土地柄にはずっと惹かれていました。また、「三角屋」が入るこちらの建物は、もともとは友人がお店を営んでいたのですが、お店を畳むことになったのです。
大正時代の喫茶店だったこちらの建物をとても気に入っていたこと、多治見に移りたいと思っていたことから、こちらのお店への移転を決めました。」
– 骨董品からヴィンテージ・レトロ雑貨を扱うようになったきっかけは何だったのでしょうか。
山本さん:「20年くらい前は、おもに江戸〜明治時代の骨董品を扱っていました。しかし当時の多治見では、海外輸出向けの陶器が作られていたのですが、廃棄されることも多くて。その廃棄になる陶器がもったいないと思い、買い取っていたのです。当時はSDGsという言葉もない時代でしたが、いつか売れると思っていましたね。
そして時代とともに、骨董品よりも昭和時代のビンテージ・レトロ雑貨の需要が高まり、私が当時買い取っていたものが売れるようになっていったのです。もともと廃棄になるものを買い取って集め続けていたので、商品のストックが豊富です。そのため、リーズナブルな値段で提供できているのが三角屋の特徴です。
骨董品やレトロ雑貨を集めることは、趣味であり好きなことです。しかしそれよりも、棄てられる物に息を吹き返して売りたい思いのほうが強いですね。」
1960〜1970年代のヴィンテージアイテムが豊富
– 山本さんが集められた雑貨アイテムの特徴を教えてください。
山本さん:「多治見では、1960〜1970年代頃に、海外輸出向けの陶器が作られていました。当時の特徴は、世界に受け入れられやすい、シンプルで使いやすいもの。したがって、白い陶器が多いのが当店の特徴です。
さらに当時、海外輸出向けのガラス食器を作っていた業者さんとのご縁もできたので、カラフルな花瓶やガラス食器も増えましたね。」
– 現在も買い取りはされているのでしょうか?
山本さん:「はい。当店のことを知った窯業の方から、買取依頼を直接いただくことがほとんどですね。また、個人からの買取依頼もいただくこともあります。」
– 訪れるお客さまは、どのような方が多いのでしょうか?
山本さん:「男女比は、女性 8割・男性 2割ですね。20〜80歳代くらいの幅広い年齢層の方が訪れてくれています。とくに料理をされる30〜40代の女性が多い印象です。また、飲食店関係の方も多いです。可愛いお皿にケーキを乗せて、SNSで発信している若い方もいらっしゃいますね。
インスタグラムでもお店のアイテムを紹介しています。インスタグラム経由でお買い物をしてくれる方もいらっしゃいますよ。」
レトロで使いやすい!
「三角屋」のおすすめアイテムをご紹介
「三角屋」では、実生活で使いやすいうえに、手に取りやすい価格のアイテムが取り揃えられているのが特徴です。価格はなんと200円〜1,500円!シールの色で価格が表示されています。店主の山本さんに、おすすめアイテムをご紹介いただきました。
タイル
1960〜1970年代に多治見で作られたタイル。東京・大阪などの遠方から買いに来られる方もいらっしゃるほどの人気のアイテムです。最近は、ワークショップで使われることも多いそうです。鍋敷きにリメイクするのもおすすめ!
レトロフラワーベース
20年ほど前に多治見のガラス・陶器を扱う企業によって作られていたフラワーベース。カラフルな一輪挿しは、お部屋に一つ飾るだけで明るい雰囲気に。レトロな色とデザインで人気のアイテム。色違い・形違いで飾っても◎
白磁
「三角屋」でレトロ雑貨を扱うようになったときから、長く親しまれ続けている定番アイテム。シンプルなデザインの食器は、どんなお料理とも相性抜群!
海外輸出用に作られた1960〜1970年代の白磁と、昭和初期に作られた白磁が揃っています。昭和初期に作られた白磁は、当時の技術が感じられる味わい深いアイテム。昭和初期の白磁が、デットストック品として残っているのは奇跡に近いとのこと。ぜひ、実際に手に取って、当時の技術を感じてみてほしいアイテムです。
マグカップ
1960〜1980年代に作られたマグカップ・カップ&ソーサーが取り揃えられています。特にカラフルなマグカップは、若い世代にも人気のアイテム。お気に入りのカップで好きなドリンクを飲むと気分も上がります。
ガラスコップ
「三角屋」では陶器だけでなく、レトロで可愛いガラス食器のアイテムも豊富に取り揃えられています。その中でもおすすめのアイテムは、こちらのレトロなガラスカップ&ソーサー。耐熱ガラスなのが嬉しいポイント。冬の寒い日でも可愛いガラスカップでホットドリンクが楽しめますよ。
「三角屋」の今後の展望
廃棄される予定の陶器やガラス製品に、息を吹き返したい思いから始まった「三角屋」。レトロ雑貨の人気の高まりとともに、遠方からの来客も絶えません。そんな「三角屋」の店主である山本さんに、今後の展望を伺いました。
– 今後の展望をお聞かせください。
山本さん:「次は、喫茶店をオープンする予定です。築60年を超える建物をリノベーションして使います。三角屋で扱っている器を使って、ドリンクやフードを提供する予定ですよ。」
「三角屋」の今後の発展に目が離せません!ぜひお店を訪れてみて、当時に作られた貴重なアイテムを手に取ってみてくださいね。