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名古屋市天白区、地下鉄鶴舞線「塩釜口」駅から徒歩5分の場所にある「spice & cafe imairo.(スパイス&カフェ イマイロ)」。駅から飯田街道に沿って南東に歩き、植田川にかかる橋の手前にお店があります。
他ではあまり見かけない「南インド料理」と「フランス菓子」という、ちょっと珍しい組み合わせのお店です。
今回は、お店をはじめられた経緯や、本場の味を追及するこだわりなどをご紹介します。
白を基調とした清潔感あふれる「イマイロ」
セルフサービスのお水。ウォーターサーバーとコップは、インド現地のものです。
イマイロでは自然派ワインも取りそろえています。空き瓶は店内のオブジェに。
「南インド料理」と「フランス菓子」の
お店をはじめた経緯
南インド料理とフランス菓子のお店をはじめた理由について、店長の近藤さんは「僕がどちらも単純に好きだったから」と語ります。もともとお菓子作りが好きだった近藤さん。友人と一緒に東京でお菓子屋さん巡りをしているときに、たまたま南インド料理に出会い、それから南インド料理の世界にハマッていきました。
近藤さん:「いろんなお店を食べ歩くうちに『現地の味はどんなものだろう』と気になり、インドまで行きました。そこで覚えた味を、日本に帰ってから再現しようと試行錯誤していったんです。」
南インドまで足を運び「現地の味を再現する」ことにこだわっていた近藤さん。「いつかは自分の店を持ちたい」と思っていたところ、以前同じ場所にあった南インド料理屋さんで南インド料理を出す機会がありました。
たった1日の間借り営業でしたが、お客さんの間で反響に。数か月後、その南インド料理屋さんが撤退するのでお店をやらないかと声をかけられ「イマイロ」をはじめました。
本場の味・素材にこだわり
南インド料理もフランス菓子も、本場の味を求めて現地まで足を運び、日本で「本場の味」を再現することにこだわっています。そのために、なるべく現地と同じ原料を使うそうです。
近藤さん:「本場の味を再現しようと思うと、自然と現地のものを使うことになるんです。やっぱり日本の素材で作ると、全然違うものになってしまうんですよ。もちろんすべての食材が手に入るわけではないですが、手に入るものはできる限り現地の食材を使うようにしています。」
たとえば、南インド料理のスパイスはほとんどインドのもので、お米も近藤さんが訪れた南インド・タミルナドゥ州でよく食べられている「ポンニライス」を使用しています。日本のインド料理店では、細長く香りが高い「バスマティライス」を使う場合が多く、「ポンニライス」は東海エリアではほとんど見かけません。
近藤さん:「タミルナドゥ州で、ミールスにはほとんどこのポンニライスを使っていたんですよ。また、ミールスは味のバランスがとても大事だと僕は思っていて、バスマティライスだと香りが強すぎるので、香りの少ないポンニライスの方が合うと思っています。」
ポンニライスはバスマティライスより丸みがあり、香りも少なめ。食べてみると、確かに他の料理の邪魔をせず、自然に馴染むような感じがありました。
南インド料理「ミールス」
ミールスは1つのプレートに、数種類のおかずが並んだ南インドで一般的な定食のようなもの。イマイロでは、その日によって違う野菜を使ったミールスを提供しています。
左から順番に、
・サンバル 豆と野菜にタマリンドの酸味がきいたもの
・ラッサム タマリンドの酸味がきいたスープ
・クートゥ 豆と野菜とココナッツのカレー
・カーラコランブ スパイシーなカレー
・ポリヤル キャベツといんげんの炒め物
・カード(ヨーグルト)
・ウールガイ 南インドの酸っぱ辛い漬物
ポンニライスの上にダル(豆)カレー、さらにその上には「アパラム」というパリパリのせんべいのようなものが乗っています。
近藤さん流のミールスの食べ方を伺いました。
近藤さん:「最初に、まず真ん中のダル(豆)カレーを一口食べます。次にサンバルを半分くらいかけて食べる。その後、一つずつのおかずを食べていって、後半に酸味のきいたスープ・ラッサムをかけて食べます。」
サンバルはミールスの中でも特に重要なもの。豆と野菜にタマリンドの酸味をきかせたサラサラのカレーです。サンバル作りは奥が深く、毎回微妙に違う味になるそう。
そして、おかずを一つずつ食べていくなかでポイントになるのが、辛味がありパンチのきいたカレー「カーラコランブ」。
一番強めの味なので途中にカーラコランブを挟むと、よいアクセントになり、ますます食欲がそそられます。
フランス菓子とドリンク
近藤さんはフランスにも足を運び、本場フランスの味にこだわったお菓子を提供しています。
アーモンドとラム酒の香り高い「ガトーナンテ」
フランスのロワール地方の街・ナントの名物菓子。小麦粉とマルコナアーモンドの生地に、ラム酒のコーティングがしてあります。複雑な香りのあるルゴル社のラム酒を使用していて、口に入れた瞬間、ふわっとラム酒の香りが広がります。
控えめな甘さとラム酒の香りで、大人な味わいのお菓子です。
チョコレートの豊かな風味が口いっぱいに広がる「ショコラショー」
高品質のPACARI社・エクアドル産のチョコレートを使用したホットドリンク。チョコレートと牛乳のみというシンプルなものですが、チョコレートのうまみをダイレクトに感じられる一品です。
チョコレートの香りが高いため、甘ったるい感じがせず、本当においしい!フランスで飲んだ質感と濃度を大事にしているそうです。チョコレートが好きな方は、ぜひ一度味わってほしいですね。
こだわりの浅煎りコーヒー
東京都神保町に本店を構え、コーヒー豆の個性を活かした焙煎をしている「GLITCH COFFEE & ROASTERS」の豆を使用。イマイロのお菓子はすべて「香り」を大事にしています。「お菓子の香りに合うように」と、浅煎りのすっきりしたコーヒーを提供しています。
コーヒーは深煎り派の私でも、イマイロの香り高いフランス菓子とすっきりした浅煎りコーヒーのコンビネーションに、グッと心を掴まれたほど。近藤さんの「現地の味」へのこだわりが、私の先入観も超えて響きました。
近藤さん:「うちは南インド料理とフランス菓子を出す変な店だと思うんですが、それがいい影響を与えている部分もあると思っています。インド料理目当てで来た人が、試しにフランス菓子を食べて好きになってくれたり、その逆もあったりします。そういう反応をいただくと、うちがこの2つの種類を出している存在意義を感じますね。イマイロをきっかけに、新しい料理に出会ってもらえたらうれしいです。」
「本場の味」を再現することに徹底的にこだわる近藤さん。「海外の食文化を、日本人の好みで変に変えたくはない」と言います。こだわり抜いた本物の味を、ぜひ体験しに行ってみてください。