染物の魅力に触れる。ローカルストーリーを伝える衣料品店「渦〜UZU〜」|愛知・西尾

2019.5.16
渦〜UZU〜

愛知県西尾市一色町にある「渦〜UZU」。三河エリアの良質な綿織物を植物染料で染色した生地を使用し、アパレル・雑貨・小物などの”ものづくり”をしているお店です。

 

今回はオーナー自らが改装したという店舗にお邪魔し、誕生ストーリーから染色のこだわりについてお話を伺ってきました。

 

渦〜UZU〜場所は、名鉄西尾線「吉良吉田」駅から車で5分ほど。

 

店内

 

 

 


お店は、工房兼ギャラリーになっており、染色や縫製の作業を見学させてもらうことも可能です。染め体験も開催し、製作の楽しさを発信しています。

 

 

「渦〜uzu〜」の誕生ストーリー

 

オーナーの青木淳さん
オーナーの青木淳さん

 

お店が誕生したのは、2016年10月のこと。まずは、オーナーの青木さんにお店の誕生ストーリーを教えていただきました。

 

青木さん:「妻はもともと公立中学校で理科の教師をしていました。第一子を授かり、育児休暇中に趣味でものづくりをはじめました。最初は古着を切り合わせてつくっていたのですが、それがけっこう友人たちからも好評で、だんだんと注文が入るようになったんです。これが、渦をはじめた最初のきっかけですね。」

 

 

築70年の古民家の改装をスタート

 

改装前の建物

 

改装前の建物改装前の建物


最初は趣味として、スタートさせたお二人。どのように店舗ができたのでしょうか。

 

青木さん:「ここはもともと僕の祖母の家だったんですよ。祖母が亡くなってから、約10年間空き家でした。子どもができたこともあり、空き家にしているのももったいないということで、西尾市一色町へ移住することに決めました。当初は住居にする予定で、一室を小物を並べるギャラリーにしようと考えていました。この頃は、自分たちの手でコツコツ改装をしながら、週末にはマルシェやイベントで小物の手売りをする日々でしたね。」

 

DIYのアルバム

 

DIYのアルバムお店に飾られていた、DIYの様子のアルバム

 

建物の設計図壁には、建物の設計図が貼られていました。

 

 

染色の師匠との出会い

 

 

染めの師匠である江本眞弓さん
染めの師匠である江本眞弓さん


青木さん:「僕たちが染色をはじめたきっかけは、同じ市内で植物染料を使って手染めをしている、「ANAM CARA」の江本眞弓さんとの出会いです。「この生地すごい!」と、植物染料での染めに衝撃を受け、自分たちも染色をはじめることにしたんです。植物染料による染色は「化学反応」によるものなので、もともと理科の教師だった妻は、どハマりしました。

 

染色をはじめたと同時に、妻は教師を辞め、デザイナーとして活動しスタートさせました。僕もこのタイミングで開業を決意し、もともと住居用に改装していたここを全部店舗にして、お店をオープンしたんです。」

 

 

「渦〜UZU〜」のものづくり

 

 

ここからは、「渦〜UZU〜」のものづくりへのこだわりについてご紹介していきます。

 

 

こだわり① 三河エリアの生地を使ったものづくり

 

渦〜UZU〜

 

三河エリアは、古くから綿織物業が盛んでした。そんな土地柄を生かし、「渦〜UZU〜」では、三河木綿、知多木綿の織元をメインに、自分たちで生地を触り、選定しています。

 

青木さん:「僕はここ一色町の出身なのですが、昔は糸屋さんとかもたくさんあって、布のロールを積んだ車がよく通っていました。最盛期には、西尾市内だけでも300件以上の機屋さんがあったそうです。最近見ないな〜と思い探してみたところ、現在でも30件ほどの機屋さんで綿生地が織られていました。

 

近郊にある機屋さんを見つけては飛び込みで訪問し、生地を触らせてもらいました。そして、だんだんと地元の綿素材の良さに惹かれていったんです。現場でお話を聞くうちに、綿生地の歴史や、機屋さんが減少した背景なども教えてもらいました。

 

「このままではいけない。三河の魅力を発信しよう」と決心しました。そこから、少しずつ素材やデザインを変更し、今はできるだけ三河エリアの生地を使用して、ものづくりをしています。」

 

刺し子織り生地を使用した帽子

 

刺し子織り生地を使用した帽子


こちらは三河木綿の刺し子織り生地を使用した帽子。

 

刺し子織りは、柔道着や剣道着、消防用のハッピなどに使われている丈夫な生地です。なんと70年前の織り機で織られているのだそう。現代の織り機と比較してスピードがゆっくりなため、目が詰まりすぎず縫製がしやすいのも特徴。和の雰囲気もあるので「渦〜UZU〜」のデザインと相性バツグンです。

 

和紙の靴下


「渦〜UZU〜」のご近所さんの、西尾市吉良町にある「石川メリヤス」で編まれた靴下を染色した、和紙の靴下。サラッとした独特の肌触りで、綿以上の速乾性が特徴です。和紙の糸は、これまで耐久性に問題があったとされていましたが、近年の加工技術の向上と、難しい編み工程をクリアして和紙の靴下ができ上がったそうです。近くに製造元があるからこそ、直接話を聞いて、こうしてストーリーが受け継がれていきます。

 

 

こだわり② 手間ひまかけた「植物染め」

 

植物染め

 

渦では、天然染料をメインに染められています。「藍染」「草木染め」「ベンガラ染め」などがあります。どの染め方も、やさしい色味に染め上がります。


青木さん:「うちのアイテムは、植物染料で染めています。手染めによる染色は、短いモノで2〜3日ほど、長いもので1カ月ほどかけて行います。染めて干してを何度も繰り返し、染め重ねることで色味をつくっていくんです。

 

植物染料は、経年変化により薄くなったり、色味が変化します。長くご愛用いただくために、無料で染め直しもしていますよ。」

 

藍染

 

藍染

 

藍染

 

藍染


藍染は「沈殿藍(インド藍)」と「すくも灰汁発酵建て(たで藍)」の2種類があります。

 

・沈殿藍(インド藍)
 インドに自生しているマメ科の植物で、インディゴ色素の含有量が高く、染料として世界 的に使用されています。色素を沈殿させ、乾燥し顆粒状にしたものを渦では使用していま す。

・すくも灰汁発酵建て(たで藍)
 貴重なすくもを原料にし、自然素材のみで行う本格的な発酵建ての藍染。深みのあるやさ しい青が特徴です。毎日少しずつ灰汁を加えながら管理していくので、とても手間と時間 がかかる染料。 

 


草木染め

 

草木染め

 

「玉ねぎ」や「あかね」などの植物をグツグツと煮出して染める「草木染め」。渦では、収穫後に捨てられてしまう、大量の玉ねぎの茶色い皮を、地元の農家さんから引き取り染料にしています。玉ねぎの皮は、やさしい黄色やオレンジ色に染まります。

 

 

ベンガラ染め

 

ベンガラ染め

 

ベンガラとは、土中の酸化鉄を原料とした天然顔料のこと。本当に土で染めたもの?と驚くほど、きれいな色彩に染まります。


渦では、こうした植物染料での「染め体験」もできますよ!


<渦の選べる 染め体験>
https://read.uzu-japan.com/workshop-page/

 

渦〜UZU〜

 

最後に今後の展望をお聞きしました。

 

青木さん:「一番の課題は、機屋さんの高齢化ですね。もうすぐ60歳の方が最年少という機屋さんもあるくらいです。僕たちにできることは、できるだけ地域色を大切に製作し、三河の綿織物の魅力や歴史を伝えることだと思っています。渦をきっかけに、生産者の想いを知っていただけたらうれしいです。」

 

渦〜UZU〜

 

今回の取材を通して、三河エリアが綿織物業の一大産地ということを知りました。こうした歴史あるものづくりは、守り続けていきたいモノです。渦では、そんな三河エリアの綿素材の魅力や、染色の楽しさに触れることができます。ぜひ訪れてみてくださいね。

 

【渦〜UZU〜】
住所   :愛知県西尾市一色町松木島榎31
電話番号 :0563-75-1208
営業時間 :10:00〜18:00
定休日  :木曜・金曜
駐車場  :有

https://read.uzu-japan.com/