【アーティスト対談】既製品にあたらしい命を吹き込む。現代美術作家「荒木由香里」

愛知
掲載日:2019.12.17

個展や過去の作品について

[ショコラトリータカスの展示風景]左から 「Red」「Silver」「Black」「Gold」(2019)

[ショコラトリータカスの展示風景]左から 「Red」「Silver」「Black」「Gold」(2019)

−個展や過去の作品についてもお伺いしました。

伊藤さん:「今回の個展の作品はショコラトリータカスさんからも、ものを提供してもらったの?」

荒木さん:「今回の作品はお店のイメージでやっていて、飲み終えたワインボトルやお店では使えなくなったものを提供していただいて作品にしてる。ここでの個展は2回目だけど、以前からお店の大ファンだったから最初にお話をいただいたときは本当にうれしかったな。」

REGAL「ウィングチップシューズ」を題材に国内外のアーティストが制作する「アート オブ リーガル」(2018年) 

REGAL「ウィングチップシューズ」を題材に国内外のアーティストが制作する「アート オブ リーガル」(2018年)

伊藤さん:「REGALさんの作品が去年だった?」

荒木さん:「うん!あれもめちゃくちゃ楽しかった。ギャラリーでの展示が多いから、企業コラボはとても新鮮で、国内外のアーティストやクリエイターが、REGALの「ウィングチップシューズ」を提供していただいて、それを題材に絵を描いてもいいし、私みたいに実物を使ってもいいしで、好きにつくっていいっていう企画なんだけど、REGALの歴史や職人さんの想いを繋いで、未来に向かっていくようなイメージで制作させていただきました。」

伊藤さん:「この作品はとてもかっこよかった!」

[豊穣なるもの 現代美術 in 豊川]「粗品」(2015年)旧豊川信用金庫いなり支店

[豊穣なるもの 現代美術 in 豊川]「粗品」(2015年)旧豊川信用金庫いなり支店

伊藤さん:「あと、私は豊川信用金庫の作品もとても印象に残ってるんだよね。光が綺麗な部屋でとてもすてきだったな。」

荒木さん:「トリエンナーレの地域展開事業として参加させていただいたのが、2015年のときかな?下見に行ったときは、どこを使えるのかな?って希望をふくらませてたんだけど、「じゃあ荒木さんここで」って言われたのが、ダンボールが山積みされた応接間でね。それも何十年も掃除されていない部屋だったから、まずは掃除からスタート。

カーペットを外して、窓も掃除して奇麗にしていくうちに、定期預金したらもらえる粗品がたくさんでて、それもガラスや陶器のお皿とかすごくいいものばかり。だから、ガラスだけを使うことに決めたの。

お皿やコップにお水を満たして光が反射するようにして、銀行ってこの先の将来ためや、子どもを想って貯金する親心っていうのかな?そういう想いも表現したなって思って制作しました。」

伊藤さん:「どんな空間であっても、それをすばらしいものに変えらるのは、空間に合わせてつくることのできる荒木だからこそできることだよね。」

「WABI SABI SHIMA」(2015年)Fondation Thalieのインスタグラムより引用

「WABI SABI SHIMA」(2015年)Fondation Thalieのインスタグラムより引用

荒木由香里

伊藤さん:「フランスでの展示はどんな経緯からだったの?」

荒木さん:「これはね本当に偶然。そのときちょうど京都のギャラリーにお世話になっていて、そこのスタッフさんが銭湯に行ったら外国人の方がいたから話しかけたらしいの。

「観光ですか?」と。そしたら日本の若手作家を探しに来たんですって。僕ギャラリーのスタッフだよ。うちにいい作家いるよってことになって、プレゼンをして選ばれたのが私ともう1人。」

伊藤さん:「スタッフさんすごいね!」

荒木さん:「本当にそう。それに、何があるかわからないよね。そうやって偶然がつながって、どこかで何かが起こるのって不思議で、とってもワクワクするなって。」

伊藤里佳

最後にお二人にお互いの尊敬しているところをお伺いしました。

伊藤さん:「荒木は本当に、ふわっとしてるんですよ。今日は真面目にはなしてくれたけど、普段はもっとふわっとしていて、あははって感じで(笑)普段はまったく作品づくりに対して大変な素振りとか見せないんです。でもめちゃくちゃ真剣に作品に取り組んでる。人生をかけてやってるのに、遊んでるときはそれを一切見せないところが好きだな。

学生のときもそうだったけど、つくってることに対して、いつも楽しそうで、疲れたとか、愚痴が一切ないよね。それに私は大学時代だいたいインクで汚れてたりボロボロで汚なかったんだけど、荒木は常に軽やか(笑)。いつも楽しくつくってるの!それがすてきだなって魅力的だなって思いますね。」

荒木さん

荒木さん:「それこそ、里佳ちゃんも大変とか言わなくて、愚痴とかないよね。そういうところが好きだし、ポジティブで、周りの人が明るくなる人。いろいろな人のいいところを話してるうちに引き出すみたいな。すごいそれが上手だから、尊敬もしてる。」

伊藤さん:「え!うれしい笑」

荒木さん:「そんなこと言い合う機会ないもんね。作品も一見シャーって描いてるように見えるんだよね。だけどこれまでに描いてる数が違うから。ただ簡単に描いてある風に見えるけど、違うよなっていうのがわかる。」

伊藤里佳

伊藤里佳「理想の彼方”yellow flower”」/モノプリント/255×204mm/2019

伊藤里佳

伊藤さん:「うれしいいい!かけそうだねって言われたりする。」

荒木さん:「わかる!私も組み合わせるだけでしょ。って言われるけど、できないぞって思うもん(笑)」

伊藤さん:「わかる!本当できないんですよ。やってみてください。実は荒木の植木鉢のドローイングも、できるかな?って思って材料集めてやってみたけど、おや?ってなったですよ。

やりたいこともあるし、夢もあるからこれからもずっとお互い作品をつくり続けていきたいね。今日はありがとうございました。応援してます。荒木のこと!」

伊藤さん荒木さん

荒木さん、伊藤さんありがとうございました。東海エリアにはまだまだすてきなアーティストさんが活躍されています。

ライフデザインズでは今後もそんなアーティストさんたちの素顔に迫っていきたいと思います。荒木さんの個展は12/27まで久屋大通「ショコラトリータカス」さんで開催されています。

ぜひこの機会に足を運んで荒木さんの作品を間近でみてみてくださいね!

Photography by Kanae Hori(作品写真の除く)

スポット詳細

【荒木由香里(YUKARI ARAKI)】
ものや空間と対話するように立体やインスタレーションの作品を制作。愛知を拠点に国内外で活動する現代美術作家。
http://yukariaraki.com/

https://www.instagram.com/yukariaraki_artwork/

【伊藤里佳(ito licca)】
愛知県在住。版画制作を中心に、イラスト、デザイン、講師等精力的に活動中。
https://www.instagram.com/ito_licca/?hl=ja

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