一度食べたら忘れられない、どこか懐かしい異国の味。 本場南ベトナム料理「ダラットマリムラ」

一度食べたら忘れられない、どこか懐かしい異国の味。 本場南ベトナム料理「ダラットマリムラ」

瑞穂区下坂町、名鉄「堀田」駅から少し東に入った住宅街。赤に黄色い星のベトナム国旗が揺れるお店が「ダラットマリムラ」です。

ダラットマリムラ

白い壁に、ナチュラルな木目が映える店内。そこに籐のカゴや、現地の新聞、壁飾りなどベトナムのテイストが不思議と溶け込んで、異国のお友達の家訪問、といった感じ。コロナでなかなか海外に行けない今、ちょっとしたプチ旅行気分です。

ダラットマリムラ

ベトナムのお正月飾り

赤に金糸のおめでたい感じ。ベトナムのお正月飾り。

ベトナムの食材が並ぶ棚は、ちいさな市場みたい。

ベトナムエースコックのインスタントラーメン「ハオハオ」

ベトナムの新聞を壁紙のアクセントに。

ダラットマリムラのオーナー、高月タオさん。

オーナーの高月タオさんは、ベトナムのダラット出身。ダラットはホーチミンから300キロほどの高原地帯。タオさんによると、イメージは長野に近い、避暑地のような場所なのだとか。

ベトナム料理はタイ料理と比較されることが多く、魚醤(ベトナム料理では「ヌクマム」と呼ぶ)や、香草を多く使うことが共通していますが、タイ料理ほど辛味が強くなく、優しくまろやかな味わい。エスニックの辛すぎるのが苦手という人にもおすすめだそう。また野菜をふんだんに使うので、とてもヘルシーな料理です。

またベトナムは北部と南部で味の違いがあり、味が濃い目の北部に比べて、タオさんが生まれ育ったダラットがある南部はあっさりした酸味と甘みが特徴。

ダラットマリムラは、このベトナム南部の本場の味が楽しめるお店です。

さっそく人気のメニューをいくつかご紹介します。

米粉を使った麺や春巻きなどが選べるランチ、
地元で愛されるおやつも。

まずは一番人気のランチセットから。

ベトナムといえば、現在タイを抜いてインドに次ぐ世界第2位のお米の輸出国。日本人にとっては「ごはん」のイメージのお米も、ベトナムでは砕いて粉にしたものを麺やビーフン、クレープや春巻きの皮にしたりと、いろいろなアレンジがあります。

ダラットマリムラのランチは、そんなお米のいろんな「顔」が楽しめます。お米がベースだからグルテンフリーで、アレルギーのある人にも安心。

メインは、

フォー(米粉の平麺)
ブンティッドヌン(汁なしの混ぜ麺)
バインミー(フランスパンのサンドイッチ)
バインセオ(米粉クレープに具をはさんだもの)
バインクォン(蒸し春巻き)
バインホイ(米粉のビーフン)
チキンおこわ

の中から選べて、それぞれに生春巻きか、揚げ春巻きのどちらかとサラダがつきます。

種類がいろいろありすぎて迷ってしまいますが、今回はブンティッドヌンのセット(1,150円)をセレクト。

甘辛いタレで焼いた豚肉がのった米粉のビーフン。野菜とライムの風味が効いたヌクマム(魚醤)ベースの甘酸っぱいタレ(写真中央)を混ぜて。ナッツの香ばしさがアクセントとなって、どれだけでも食べられそう。

バインクォン 単品800円 ランチセット1,100円

ベトナムの春巻きには、生、揚げ、そしてこの蒸し春巻き(バインクォン)があります。ちょっと弾力のある食感が楽しい。こちらも甘酸っぱいタレのうま味で食が進みます。

辛いもの好きは、左のチリソースを加えて。甘さ、酸味、スパイシーな辛味がこれまたおいしい。

米粉が素材のフォーや、ビーフン、ライスペーパーなども販売しています。

焼きライスペーパー

焼きライスペーパー 550円

ダラット発祥、ベトナムで人気の屋台おやつ、焼きライスペーパー(バン・チャン・ヌン)。米粉の生地を薄くのばしたものに、たまご、チーズ、ネギ、肉、マヨネーズ、チリソースをトッピング、焼きたてアツアツをいただきます。

クリスピーピザよりさらに軽いカリカリ食感に、お好み焼きのような懐かしい味がたまらないです。ビールのおつまみにもぴったりです。すでにお腹いっぱいのはずが、あっという間に完食。

チェ 単品450円 ランチセット 200円

ベトナムスイーツの代表格といえば、「チェ」。甘く煮た豆や芋、寒天や果物などの具材を合わせて食べます。夏バージョンのチェはクラッシュアイスとシロップをかけて、さくさくかき氷のような味わい。冬は暖かいぜんざいのようなアレンジになります。

ベトナムコーヒー 450円

ベトナムコーヒーは、「カフェ・フィン」という独自のフィルターでいれた苦味の強いコーヒーに、コンデンスミルクをいれて飲みます。ほろ苦さと甘みを楽しむデザート感覚のコーヒーです。

そのほか、モーニングセットもあって、ドリンクにプラス200円でバインミーがつきます。(ハーフサイズは+100円)

バインミーで使用するパンは内側の食感がふわふわ。偶然近くにあるパン工場で、タオさんのイメージ通りのものが見つかりました。

今回ダラットマリムラの料理を味わって感じたのが、ただおいしいだけでなく、「また食べたいな」と、後からもはっきりとその味わいが思い出せる、記憶と印象に残る味だということ。

「ベトナム料理は、日本人の味覚に合う」という話はよく聞きますが、ダラットマリムラのお客さんは9割が日本人。それもクチコミで広がったリピーターが多いのが特徴というのもうなづけます。

店名にこめられた、ベトナムと日本のDNA。

ダラットマリムラというちょっと不思議な響きの名前。

これは、タオさんのふるさとであるダラット、そしてタオさんのご主人のお母さんが営業されていた「摩里邑​(マリムラ)」という喫茶店の名前を合わせてつけたもの。

タオさん:「もともとは日本の企業に研修生として来ていて、主人と出会って名古屋に来ました。はじめは子育てで忙しくて、仕事をすることは考えていなかったのですが、『摩里邑』​の雰囲気が大好きで。店に小窓があって、そこでバインミーを販売したいなと考えていました。そうしたらおかあさんが店をやめることになり、そこで自分がお店をやってみようと」

大通りに面しているような目立つ立地ではなかったので、当初はお客さんはそんなに来ないだろうと思っていたところ、ご近所の人や友達、ネットのクチコミなどでどんどんお客さんが広がり、気がつけば大忙しに。

ところが、今年はじめ、建物の老朽化により退去しなくてはいけなくなりました。

タオさん:「慌てて新しい場所を探していたところ、すぐ近くにあるお気に入りのカフェが引っ越すということで、オーナーが声をかけてくれたんです。すごくいいタイミングでした」

ベトナムと日本のDNAが入った店名はそのままに、2月に現在の場所でリニューアルオープンしました。

大好きだったカフェの内装を生かしながら、インテリアはすべてタオさんが手作りしました。お店のあちこちにあるドライフラワーは、移転オープンのときにお客さんからもらったたくさんの花束を大切に保存したもの。

飾り棚には、コースターとベトナムコーヒーのフィルター、リースをあしらって。

いろいろなデザインのかごを並べてタペストリー風に。

思わず微笑んでしまう、ミニチュアが飾られた空間。

ふるさとベトナムとここ日本をつなぐ、さまざまな縁が繋がり、広がってきたお店。「この味を家でも味わいたい」と、お客さんのリクエストではじめた料理教室(月・木開催、要予約)も大人気です。

「おいしい料理を食べて、お客さんにゆったりくつろいでもらえたらうれしい」と語るタオさん。「また来たいな」とたくさんのお客さんをとりこにしているヒミツは、料理のおいしさだけでなく、こうしたタオさんの思いと、お店に流れる優しい空気にもあるような気がします。

スポット詳細

【ダラットマリムラ】
住所   :名古屋市瑞穂区下坂町4-15 スターリア1C
電話番号 :090-3250-2091
営業時間 :9:00-18:00/土9:00-21:00
定休日  :水曜・第1木曜(月曜・木曜は料理教室)
Instagram:https://www.instagram.com/dalat_marimura/

ライター歴25年、出版社→広告プロダクション→広告代理店→印刷会社と渡り歩いた後、現在はフリーライターとして企業の機関誌、広報誌などを中心にお仕事しています。また過去にTwinkle Booksというオトナのためのちびっこ古本屋を運営、絵本ナビゲーターとして商業誌に寄稿していました。

またジャズヴォーカリスト・音楽講師としても活動していて、新聞系カルチャーセンター、名古屋市・豊田市・常滑市など自治体主催の講座も行っています。愛犬はジャックラッセルテリア。最近気になるものは灯台とダムとウィッチクラフト。

ライター仕事のサイト:http://sugarcube-d.com
音楽仕事のサイト:http://www.vocalhoney.net
note:https://note.com/maricojazz

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