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※情報は取材時のものです。
ご利用の際には、各施設・各店舗の最新情報をご確認ください。
愛知県春日井市桃山地区は、サボテン生産が盛んな街ということをみなさん知っていますか?その中でも、サボテン栽培で特に難しいとされる実生栽培(種から育てる栽培方法)の生産量で全国No.1の生産量を誇ってるんです!
今回はサボテン栽培が盛んな桃山地区で40年以上に渡りサボテン栽培をされている「後藤サボテン」にて、サボテンの魅力について伺ってきました。後半では、サボテンの寄せ植え体験もさせていただいたので、合わせてレポートしていきます!
後藤サボテンがあるのは、愛知県春日井市桃山町。国道155号沿いに看板があり、坂を上って右側の広場が駐車スペースです。
基本的には卸売が専門ですが、月曜日または木曜~土曜日(不定休)には小売販売もされています。
春日井市とサボテン
まずは春日井市におけるサボテン栽培の歴史についてご説明します。
サボテンというと、砂漠など乾燥地帯で生息しているイメージがありますが、実際には、乾燥地域でなければ生育できないわけではありません。その中でも日本一の生産量を誇っているのが、愛知県春日井市です。
愛知県では大正初期から徐々にサボテン栽培がスタートしましたが、本格化したのは昭和に入ってからのこと。大規模な台風による大災害で打撃を受けた果樹栽培農家は、新たな産業としてサボテンに注目しました。以降、サボテン栽培への努力を重ねていき全国でもトップレベルの技術を持った生産者が集まる地域として評価されています。
サボテン農家の2代目として
後藤サボテンでは、「サボテンを楽しむ。」ことを大切に、「楽しさ」が感じられる商品を提案されています。最初に経歴をお聞きしました。
後藤さん:「後藤サボテンは父が創業して僕の代で2代目です。春日井で、サボテン栽培が盛んになったのは昭和30年後半のことです。当時サボテンブームの影響で農家が一気に増えたことで仕事としても確立されていったという経緯があります。
最盛期には、このあたりだけでも50軒以上の農家がありましたが、高齢化にともない今残っているのは6、7軒です。春日井のサボテンは市でも力を入れて頑張っているので、若い農家さんが増えてくれるとうれしいんですが、特殊な世界でもあるので敷居が高いと感じる方が多いようなんです。」
手間をかけて育てていく
サボテン栽培にはかなりの時間はかかり、手のひらサイズになるまでに2年ほど時間がかかるのだとか。
後藤さん:「サボテン栽培にはとても時間がかかります。しかし、春日井では分業体制で生産をしていたことで生産地として大きく栄えていきました。
種をまき苗をつくる第1次生産農家、その苗を育てる第2次生産農家、サボテンを鉢植えにして市場へ出荷する第3次生産農家に分けて生産をすることで、より多くのサボテンを栽培することが可能になります。
この中で僕らのメインは第3次生産農家です。サボテンの出荷や加工品をつくって販売しています。ただ最近では、農家さんの数が減ってしまったため、ほとんどの方が自分で管理できる量をつくって栽培するようになりました。」
サボテンはスーパーフード!食用サボテン「ノパル」
後藤サボテンでは、食用のサボテン「ノパル」の栽培もされています。サボテンって食べられるの?と最初は驚きましたが、実はとってもおいしいんです。
後藤さん:「食用サボテンの栽培をはじめたのは今から10年くらい前です。2011年には専用のハウス「春日井ノパル生産農場」を建設して、生産体制を整えています。
サボテンは大きく分けて コノハサボテン・ウチワサボテン・ハシラサボテン・タマサボテンの4種類。その中でもひらぺったい、うちわみたいな形をしたものが、食用になる「ウチワサボテン」です。
強い生命力を持ったサボテンは豊富な栄養素を持っており、スーパーフードとしても注目されるようになりました。春日井を代表する野菜として、ノパルをもっと広めていきたいですね。」
サボテンを食べる文化は古くからあるのでしょうか。
後藤さん:「日本だと、注目されはじめたのは最近ですが、メキシコでは古代アステカ時代から親しまれてきたそうなんです。メキシコに行くと、スーパーでも普通に売っていますよ。僕の好きな食べ方は大根とサボテンを一緒におろして、もずくやじゃこを入れて食べる調理方法です。さっぱりとしていて、ごはんにかけてもおいしいので、おすすめですよ。」
ノパルは豊富な栄養素から近年大注目されている野菜です。食物繊維が多く含まれているため、整腸作用もあるのだとか。女性にとってはうれしいダイエット効果も高いそうなので、ぜひ一度トライしてみてくださいね。
ノパルには抵抗がある方はまずは、後藤サボテンさんオリジナル茶「仙人掌(サボテン)茶(1,000円)」からはじめてみるのはいかがでしょうか。ノパルを天日干しで乾燥させたものを、豊田の高香園にてオリジナルブレンドで配合したほうじ茶ベースお茶です。
実際にいただきましたが、想像以上に飲みやすく、とってもおいしかったです!
後藤サボテンでは、小売も可能。春日井市松本町にあるファーマーズマーケット「ぐぅぴぃひろば」では月曜日と金曜日に出荷されています。
オンラインでも購入可能です。
https://item.rakuten.co.jp/saboten-s/food001/
次世代につなげていくこと
後藤さん:「春日井のサボテン農家が減ってしまっている中で、どうしたら次世代につなげていけるかが今後の課題だと思っています。僕らは卸売りがメインなので一般の方との接点が多い訳ではありません。だからこそ間口を広げるという意味でも、小売の販売もしています。
また、20年以上前から地元小学校の校外学習の受け入れをしているんです。子どもたちに春日井の産業を知ってもらうことは、次世代へ伝えるとても重要な活動だと思っています。こうして、サボテンに触れた子どもたちが、大人になったときに興味を持ってくれるとうれしいですね。この活動は今後も続けていくつもりです。」
ここからは後藤さんに案内していただきながら、人気のサボテンから個性的な多肉植物までみていきましょう。
魅惑のサボテンの世界へ
敷地内には、多肉も含めると4〜500種の栽培をされています。中に入るとその数の多さに圧倒されます。
園内は小物を使ってセンス良くアレンジされており、後藤さんのセンスの良さが光ります!
使わなくなった靴をこんな風にしてもかわいいですよね。アーミーや恐竜もとってもいい感じです!子どもたちの反応もいいのだとか。
こちらは「リトープス」という品種のもの。「生ける宝石」とも呼ばれ、とても人気が高いのだそう。冬型に分類されており、夏は休眠期間。春頃に脱皮をします。
このようにいろいろな種類が寄せ植えしてあるのもかっこいいですよね。
ウチワサボテンの一種で白いとげを持つ「ハクトウセン」。うさぎの耳に見えることから「バニーカクタス」とも呼ばれています。
愛好家が非常に多いサボテン、アストロフィツム属の「兜丸((かぶとまる)」。おまんじゅうのような形が特徴で、白斑が散在しています。この模様のうつくしさがマニアにはたまらないのだそう。
こんなに大きなサボテンも!「玉サボテン 金鯱」という種類のもので、黄金色に輝く強い刺と濃緑の肌が大きな特徴です。このくらいの大きさになるまでに50年ほどかかります。
ちょうど花の咲いているサボテンもありました。サボテンの花ってとてもかわいいですよね。
インテリアとしてもおすすめなのが、見た目もおしゃれな水耕栽培のサボテンです。専用の器は上部が取り外せるので、水の入れ替えも簡単!気軽にサボテンを育ててみたい方は水栽培からはじめてみてはいかがでしょう。
今回ご紹介したサボテン以外にも園内には、とんでもない数のサボテンや多肉植物があるので、ぜひお気に入りを見つけてみてくださいね!