大須商店街にある昭和28年創業の餃子の老舗「百老亭(ひゃくろうてい)」が、4年の閉店期間を経て2022年7月に復活しました。再オープンしたときは、再開を待ちわびたファンで大賑わいだったといいます。
百老亭を復活させたのは、京都出身の小林利起さん。なぜ小林さんが百老亭を引き継いだのか、前店主との絆など、驚きのエピソードをうかがいました。
お店は地下鉄鶴舞線「大須観音駅」2番出口から徒歩5分、大須観音通りから北へ向かったところにあります。
場所は以前の店舗の向かい。餃子を仕込むスペースとして利用していた場所を改装して再オープンしました。
小さな店内はカウンターとテーブル2席で、基本的に立ち食いスタイルです。
目次
百老亭復活のエピソード
百老亭は昭和28年創業。もとは大須観音の境内でラーメン屋の屋台をしていたことが始まりで、それから3代にわたって続く老舗餃子店です。
しかし、前店主・鈴木さんの体調不良を理由に、惜しまれつつ2018年に閉店。その後体調は回復したものの、年齢的な理由もあり店の再開はできずにいました。
現店主の小林さんは、意外なことに百老亭の常連だったわけではなく鈴木さんの「飲み仲間」だったといいます。
小林さん:「お父さん(鈴木さんのこと)と僕は飲み屋で知り合いました。僕は京都から来たので、名古屋のことを教えてもらったり、悩みを聞いてもらったりして仲良くなったんです。病気から回復した後も関係は続いていましたが、お父さんはどことなく寂しそうでした。店の再開を望む声は多くありましたが、現実的に厳しかった。でもお父さんを元気にしたい。そのためには、お父さんの生きがいだったお店を再開させることが一番だと思ったんです。」
こうして店を復活させるための具体的な話し合いがはじまります。クラウドファンディングで資金を集め、店舗のリノベーションを行い、わずか半年の準備期間を経て2022年7月に復活を果たしました。
百老亭 味のポイントは「皮」
伝統的な百老亭の餃子作りを学んだ小林さん。一番難しかったポイントは「皮」だといいます。
小林さん:「まずは厚さを均等にすること、そして小麦粉の振り加減もすごく重要です。粉の付き具合によって皮の状態が変わり、べちゃっとしていても、乾燥していても包みにくいので、最適な加減を覚えるのが難しかった。皮の状態がよくなければ焼くときもうまくいかないので、皮がすべてを握っていると言っても過言ではないですね。」
こうして、小林さんは前店主の鈴木さんから餃子作りをイチから学び、技術を習得していきました。
開設したTwitterアカウント「100日後に復活する百老亭(現:7/28に復活した百老亭)」も話題となりフォロワーが1万人を超え、再開したときには多くのお客様が訪れました。以前からファンだった人や、昔から通っていた人の子どもや孫の世代も来てくれたといいます。「以前と変わらぬ味」と多くのファンに受け入れられています。
餃子作りのこだわり
百老亭の餃子は野菜と肉が7:3と、野菜多めのヘルシー餃子です。サイズも小ぶりなので、小さなお子様から大人まで幅広い年代の人に楽しんでいただけます。
そして百老亭の餃子、最大の特徴はなんといっても「もちもち食感」。このもちっとした皮にするために、たっぷりの水を入れて茹でてから焼いています。
水をたっぷり注ぎ、一度茹でます。
しばらくして水を捨て、餃子に焼き目をつけていきます。
この独特な製法で、百老亭ならではの「もちっとした食感」が生み出されるのです。
さらに、餃子は一つずつ丁寧に手で包んでいます。おにぎりでも人の手で握るとおいしく感じられるように、餃子も手で包んだ方がおいしいのだそう。
このようにして、こだわりがつまった百老亭の餃子は1日に約1,000個、多いときで約2,000個売れるといいます。
百老亭ではタレもラー油も自家製。ラー油は半年ほど熟成させたものを提供しています。このラー油を直接餃子にかけて食べるファンもいるのだとか。
本当に皮がもちもち!野菜が多いだけではなく、一度茹でているからか油も少なくヘルシーに感じます。さっぱりしているのでついパクパク食べてしまい、気づいたらあっという間に完食してしまいました!
お店では「餃子大食いチャレンジ」も行っています。餃子100個を完食した人にはプレゼントが。餃子が好きな人は、ぜひチャレンジしてみてくださいね。
最後に、小林さんに今後の目標をうかがいました。
小林さん:「ありがたいことに多くのお客様に来ていただいていますが、『大須に来たついで』にうちに来てくれる人も多いと思います。それを『百老亭目当て』で大須に来るようになってもらいたいですね!」
今は餃子だけの販売ですが、リニューアル前に人気メニューの一つだった「バリそば」を近日中に再開する予定です。見事に復活を遂げた百老亭の餃子。ぜひ一度味わいに行ってみてください!