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三重県三重郡菰野町にあるプライベート型貸切サウナ施設「AOU no MORI~ CO-CREATION SPACE ~(以下:AOU no MORI)」。リラックスした非日常の空間で過ごし、サウナで語り、共に学ぶ場として、ベンチャーやスタートアップの企業からも注目されています。
今回は、起業家やコミュニティーづくりを支援する株式会社LEOの代表を務める粟生万琴さんに、「AOU no MORI」誕生のきっかけや目的など、たっぷりと伺ってきました。
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「AOU no MORI」があるのは、自然豊かな三重県三重郡菰野町。名古屋方面からは車で1時間ほど。新名神高速道路「菰野IC」から車で10分ほどの場所にあります。
完全貸切のプライベート施設となっており、2種類のサウナ、13度の水風呂、ロウリュ、外気浴が大自然の中で楽しめます。
サウナはフィンランド発のテントサウナ「SAVOTTA(サヴォッタ)」とロシア発のテントサウナ「MORZH(モルジュ)」の2種類。
水風呂は、鈴鹿山脈から流れ出る天然水を使用。常に新鮮な天然水をかけ流しで楽しめます。
バスタオル、フェイスタオル、シャンプーやトリートメント、サウナハットやサウナスリッパなども貸し出しされているので、水着と着替えさえ持参すれば、あとは手ぶらでOKです!
サウナを楽しむだけでなく、AOU no MORIはスタートアップ、ベンチャーなど新産業創出を加速する社会実証の場でもあります。そのため、サウナと併設してワークスペースも完備されています。
こちらがワークスペースとして活用しているLIFULLと名古屋工業大学が共同開発した「インスタントハウス」。ミーティングやサウナの後の休憩場所として利用できます。その名の通り、1日で(実際には数時間で)できる「家」です。
AOU no MORIでは、このインスタントハウスをいち早く導入しており、モニターやプロジェクター、さらにはWiFiも完備。必要な機材がそろっているので、サウナを楽しみながら、仕事もできちゃうんです。
「仕事の生産性が上がった」
「クリエイティブなアイデアが生まれた」
「自然環境の中でリラックスしながら仕事ができた」
など、最近ではミーティングやプレゼンテーションの練習の場、ワーケーションとしての利用も多いのだとか。
サウナが好きならつくればいい!
三重県出⾝。起業家やコミュニティーづくりを支援する株式会社LEOの代表を務める粟生万琴さん。
株式会社LEO 代表取締役CEO
粟生 万琴氏プロフィール大学卒業後、エンジニアとしてソフトウエア開発に従事、2003年にパソナテックに転職し、12年同社初の女性執行役員に就任。パソナテックの役員の傍ら、16年に関⻄発AIベンチャー、株式会社エクサインテリジェンスを創業。20年に起業家やコミュニティーづくりを支援するLEOを創業し、代表取締役CEOに就任。
現在は、インキュベーション施設 「なごのキャンパス」プロデューサー、ZIP-FM「Startup[N]」のナビゲーター、武蔵野大学でアントレプレナーシップ学部の客員教授、名古屋大学産学官連携推進本部の客員准教授を務めるなど、多岐にわたって活躍中。
– はじめに、AOU no MORIをつくられたきっかけを教えてください。
粟生さん:「AOU no MORIをつくったきっかけは、単純にサウナが好きだったからなんです。もともと東京で働いていたころから、時間を見つけてはさまざまなサウナに行っていました。
そんな中、2020年に新型コロナウィルスが拡大したことがきっかけで、サウナに全然行けなくなってしまって……。じゃあ、自分でつくるか!ってことで、AOU no MORIをつくることにしました。
当初は実家の敷地に小さくつくるつもりでいたんですが、たまたま縁があって菰野町のこの場所がみつかりました。
実は起業家たちはサウナ好きがとても多いんですよ。せっかくなら、サウナに入りながらスタートアップ企業のコミュニティづくりや、ワーケーションを兼ねられる場所にできればいいなと思い、サウナでありながら、これから起業する人たちのサポートする場にしました。
思いついてから、オープンまでの時間はわずか3カ月でしたね(笑)」
−粟生さんの行動力たるや恐るべし……。
消費者のフィードバックがもらえる「社会実証の場」として
こうして誕生したAOU no MORIは、サウナを楽しむだけでなく、社会実証の場としての役割も担っています。もちろん、数々のビジネスコンテストで審査員を務めてきた粟生さんからアドバイスも受けられます。
粟生さん:「例えば、ワークスペースのインスタントハウス。名古屋工業大学大学院工学研究科教授である北川啓介氏が開発したインスタントハウスをいち早く導入しAOU no MORIで社会実証かねて活用してます。
インスタントハウスは、東日本大震災の仮説住宅がきっかけで開発された住居なのですが、1日あれば簡単に建てられます。形状や大きさも必要に応じて自由に選べるのも魅力です。断熱性や遮音性が高く、季節を問わず使えるので、AOU no MORIで活用することで
インスタントハウスの活用の仕方も含めて提案しています。」
粟生さん:「サウナではハーブロウリュウを楽しめるのですが、このハーブは、AOU no MORIで栽培しているものです。
名古屋大学農学部出身の宇宙で農業を目指すスタートアップ「TOWING社」の循環型栽培のシステムの実証を行っています。
起業家がアイデアを形にするためには、いち早く世に出して実際に使ってもらうことが大切です。そのためにも、この場所が社会実証の場になっていければいいなという想いがあります。」
サウナに入っていると不思議なことに、いつも以上に深い話ができます。実際にこの日は別のライターさんも取材に来ていましたが、サウナをともにすることで、アイスブレイクも不要でした。
サウナでミーティングをして、水風呂で頭をスッキリさせて、外気浴で整理する。外気浴では誰も喋らないので、自身の思考をまとめたり深めたりできます。
実際に体験してみることで、サウナが想像以上にミーティングに適しているのを感じました。
粟生さん:「自分にとっての幸せやこれからの生き方、仕事についてなどを考える時間って案外ないんですよね。1日10分だけでもいいので、自分のことを考える時間が大切だと思っています。そのための場所がAOU no MORIです。
人をよりクリエイティブにしてくれるサウナは、いつもよりも素直な自分に出会えます。この場所を通じて、自分と向き合うことで、さまざまな人が出会い、そこから新しい何かが生まれていく。そんな場所にしたいと思っています。」
粟生さんのまわりには、いつも魅力的な人が集まっています。筆者自身も粟生さんに会うといつも元気がもらえ、なんだかやる気が湧いてきます。それは、粟生さん自身から放たれる空気に、はっとさせられるからなのかもしれません。
サウナはゆっくり語り合い、自分自身と向き合える場所です。
AOU no MORIで特別な時間を過ごしてみてくださいね。