建築好き必見!模型の新たな楽しみ方を体感できる「建築倉庫ミュージアム」
目次
展示室A
「建築」への眼差し -現代写真と建築の位相-
エントランス左側の展示室Aで開催されていたのは、『「建築」への眼差し -現代写真と建築の位相-』。建築写真と模型を組み合わせたユニークな展覧会です。
トーマス・ルフ、杉本博司、ホンマタカシなど、作家13人が〈サヴォア邸〉や〈カノアスの邸宅〉など、さまざまな建築物を撮った作品が集められていました。一般的な建築写真ですと建物全体を撮影したものがほとんですが、この展覧会で紹介されているのは、写真家や現代美術家が建物を自由で多彩な手法で捉えた写真ばかりです。「この建物には、こんな表情もあるのか」と、建築の新たな一面を知ることができます。
そして、展示室の壁にはこんな穴がいくつもあいています。さっそく中をのぞいてみましょう。
のぞいてみると、そこには模型が。建物を上からみた形で切り抜かれているのだとか。こちらは、ル・コルビュジエが設計した「サヴォア邸」です。誰もが知っている有名な建築ですが、穴からのぞくことで新鮮な気持ちで模型を楽しめました。
こちらの展覧会の面白さは、写真と模型を組み合わせることで、建物の特徴を知ることができるという点です。例えば、こちらは写真だけですと、どんな建物かわかりません。4枚すべて同じ形が並んでいます。
そして、写真の横にある穴をのぞいてみると、円筒の形の建物に写真の形が。こちらの建物は、ロシアで活躍した建築家、コンスタンチン・メリニコフが設計した自邸です。先ほどの写真は、窓を切り取っていたんですね。写真と模型を組み合わせることで、より建物への興味や理解が深まるような気がしました。
「この写真の建物はどんな全体像なのだろう」「この穴の形はどんな建物なのだろう」と、とてもワクワクした気持ちで展示を楽しめました。建物の全体を知ったあとで、写真をみるとまた違った印象を受けます。中には、展示室を2周以上見学される方もいるのだとか。
そしてこの展覧会の面白さは、模型をきっかけに写真を知り、写真をきっかけに建築を知れるという点もあります。実際に建築好きの方が、こちらの展覧会をきっかけに写真家の他の作品も見てみたいと興味を持たれたこともあるそう。リニューアルをきっかけに、幅広く建築文化を発信していきたいという建築倉庫ミュージアムの想いを感じる展覧会でした。
【「建築」への眼差し -現代写真と建築の位相-】
会期 :2018年8月4日(土)~10月8日(月・祝)
主催 :建築倉庫ミュージアム
企画 :鈴木布美子
会場設計 :Atelier Tsuyoshi Tane Architects(田根剛)
展覧会企画協力:アート&パブリック株式会社