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今回は愛知県一宮にある少し変わったお米屋さん「CASA」をご紹介します。
CASAは、三重県鈴鹿市にある「中山農園」がつくる無農薬・無肥料の農作物を取扱うアンテナショップ兼イートインタイプのお米屋さんです。米・麦・大豆をはじめ、こだわり職人のつくる食材や調味料などを販売しています。
CASAのおむすびを一口食べると、「お米ってこんなにおいしかったんだ」「日本に生まれてよかった」と思わずにはいられません。それくらい、お米の知られざるおいしさに出会えるCASAの魅力をたっぷりとご紹介していきます。
場所は尾張一宮駅から車で10〜15分ほど。川沿いにある青い外観の小屋が目印です。
鉄工所を店主自らリノベーションしたという店内は、お米屋さんとは思えないほど、スタイリッシュな空間です。
無農薬・無肥料のお米を届けたい
CASAオーナーの上條嘉久さん、みのりさんご夫婦
はじめに、お店の誕生について、通称「JOさん」ことオーナーの上條嘉久さんにお話を聞きました。
JOさん:「13年前に友人である中山君が営む、三重県鈴鹿の「中山農園」のお手伝いをはじめたことにさかのぼります。今では、無農薬・無肥料のお米を販売していますが、もともと彼は慣行農法で栽培する一般的な農家だったんです。しかし、お子さんが生まれたことをきっかけに、もっとこだわったお米をつくりたいという気持ちが芽生えました。有機農法など、さまざまなものにチャレンジしていたのですが、なかなか決めかねていました……。
そんなとき、映画『奇跡のリンゴ』としても描かれている、無農薬リンゴの栽培に成功した青森のリンゴ農家・木村秋則さんが、ご縁があり中山農園に来てくださったんです。そのことがきっかけとなり、肥料も薬も使わないお米づくりがスタートしました。すると、想像以上に良いものが採れたんです。」
三重県鈴鹿市にある「中山農園」
JOさん:「ですが、ある葛藤がありました。どんなに良いものが採れてもJA(農業協同組合)に納めてしまうと、すべて一緒に混ぜられてしまうんです。どれだけ想いをもってつくっても、混ぜられてしまうのは悲しいですよね……。しかし、農家さんはどう売ってよいのかがわからない。そこで、僕がものづくりの仕事をしていたこともあって、中山くんのお米をパッケージして販売するお手伝いをすることに至りました。
はじめて知った日本の農業の現状
こうして中山農園のお手伝いをすることになったJOさんは、日本の農業の問題を目の当たりにします。
JOさん:「まず、日本の消費者の多くが食べるものに対しての関心が薄いんです。例えば、カフェに行ってコーヒーやパンを頼む。それがどうやってつくられて、何からできているか意識することってほとんどないですよね。それってすごく怖いなと思ったんです……。そして、本当に怖いものでできているものがあることも知りました。
僕も4人の子どもがいるんですが、1番上と2番目の子がアトピーと喘息持ちだったので、食べるものには、人一倍気をつけていました。学生時代に分子栄養学を学ぶくらい食に興味があったこともあり、さまざまなことを調べ、そして日本の農業がたくさんの問題に直面していることを目の当たりにしました。
このままいくと、中山農園のような中規模、小規模の農家さんの未来が見えない。そういう農家の方が圧倒的に多いのに、消費者側はそうしたことに関心を持たない。そういう状態が続くと、日本の農業はなくなってしまう……。国産ではなくなってしまう……。これではまずいと思い、農業に関わって生きたいという想いが強くなっていきました。」
売切れ続出!お米の通信販売をスタート
通信販売で、中山農園のお米の販売をスタートします。
JOさん:「本当にありがたいことに、5年、6年、7年と売り切れが続きました。もともと数量は少なかったのですが、そうやってこだわってつくったものを、探してでも求めている人たちが大勢いらっしゃるということを知りました。
農園では、コシヒカリとササニシキの2種類のお米をつくっています。ササニシキという品種は、食物アレルギーを持っている人でも比較的食べやすい品種なんです。そしてお米の栄養の8割は外側にあると言われています。無農薬なら、外側も一緒に食べられます。」