多くの人にとって、人生で家を買うことは大きな決断です。そんな大きな買い物である家が「実際どのように作られるのか?」「施工は大丈夫?」など、具体的な検討段階の方にとってはとても気になる項目ですよね。
そこで今回は、岐阜県加茂郡の富田製材の現場にお邪魔してきました。富田製材は製材会社から始まり父子三代続く、地域の人に長年愛されてきた工務店。「素足で歩ける現場であることを大切に」を掲げ、現場管理に非常に力を入れて取り組んでいる会社です。
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雨の中でも、一つ一つ丁寧に説明してくれる酒向社長
富田製材の酒向社長に、施工中の現場を案内していただきました。
ー とても綺麗な現場ですね。
酒向社長:「現場を綺麗に保つことは、最低限のことだと思っています。例えば、100円の商品を売っているお店でも、売り場は綺麗にしていて当たり前ですよね。なのに、何千万円というお家の現場が汚れているというのは、あってはならないことです。お施主さんにも、職人さんにも、少しでも安全に気持ちよく家づくりをして欲しいと考えています。」
近隣住民の方たちへの思いやり
看板の一部にはなんと、花が植えられています。周辺にお住まいの方への心遣いを感じます。また、富田製材では、せめてものお礼として、朝・夕の2回、全面道路の清掃活動をされているそうです。その場所に住むお施主さんが、その後暮らしやすい環境であるために、近隣住民の方々にも配慮した施工を心掛けられています。
掃除がしやすい環境づくり
敷地内にはぐるっとブルーシートが敷き詰められています。これには二つの理由があります。一つ目は掃除をしやすくするため。二つ目は、土や砂で建物が汚れるのを防ぐため。この日もあいにくの雨でしたが、玄関のたたき部分も泥汚れなどなく、綺麗な状態でした。これなら、雨の日でも現場に訪れやすいですよね。特に小さなお子様がいらっしゃる方は、汚れる心配がないので、嬉しいのではないでしょうか。
現場の外部には、ゴミ箱と掃除道具が置かれています。掃除道具は、ラベリングして、どこに収納するのかが一目瞭然。綺麗に収納されています。
酒向社長:「ただ綺麗にしろと言うだけじゃダメなんですよね。道具がなければ掃除することも出来ません。掃除がしやすくなる環境をつくることが大切だと考えています。」
そしてLife Designsスタッフが特に驚いたのが、現場トイレ。通常であれば、こうして写真を掲載するのも難しいのではないでしょうか。気になる臭いもありません。
酒向社長:「いつでもお施主様にも使っていただけるように、トイレは特に気をつけて掃除をするようにしています。使用した後には、必ずスプレーもするよう徹底するなど、現場スタッフみんなで綺麗にするよう心掛けています。」
建物の外部だけでも、富田製材の現場環境へのこだわりを非常に感じます。では、建物の内部も見学してみましょう。
玄関前には、手作りの下駄箱を設置。「靴は揃えましょう!」と丁寧にポップが貼られています。
お施主さんと職人さんをつなぐ工夫
玄関を入ったすぐ右側にこのようなコーナーがつくられていました。
「大工・職人の私の宣言」コーナー。大工さんだけでなく、クリーニング業者さん、電気工事屋さんなど、このお家の施工に関わる職人さん達の宣言が掲げられています。数日しか工事期間がない業者さんなどは、タイミングが合わないと、実際に顔を合わせられないこともあります。ですので、こうしてどんな職人さん達が自分たちの家をつくってくれているのか知れるのは安心ですよね。
そして、こんな心温まる仕掛けもありました。職人さんとお施主さんが手紙交換ができるメッセージBOX。この日もちょうどお施主さんからのメッセージが入っていました。気になる点や、気づいたことも、これなら気軽に伝えやすいですよね。
その横には、救急箱と「おひとつどうぞ」とメッセージが添えられたキャンディーボックス。この飴はお施主さんや、職人さんの熱中症対策も兼ねて置かれているそうです。
こちらはお施主さん用の現場スリッパ。なんと、この刺繍は酒向社長の奥様が一つ一つ手作業で付けられているそうです。富田製材のお客様への思いやりが感じられます。(お名前のため、お見せできないのが残念です。)
玄関を入った正面にはこのようなボードが設置されています。今週の工事の予定、入退場記録、納品書、施工納まり図集、などがまとめられています。掃除道具同様ナンバリングがされ、綺麗に収納されています。
酒向社長:「ボードには着工式、地鎮祭などの写真を飾っています。直接お施主様とお会いしたことがない職人さん達にも、”この人たちのために家をつくっているんだ”という意識を持ってもらいたいなと思っています。」
こうした細やかな仕掛けが、お施主さんと職人さんをつなぎ、良い家づくり、良い現場づくりに結びついているんですね。また、現場を綺麗に保つ工夫も随所にされていました。
地面から浮かせて保管
現場へ運び込まれた資材は、このように地面から浮かせて保管されています。お施主さんの大切な資材を丁寧に扱うだけでなく、現場での事故防止にもなっています。
こうした脚立なども、地面から浮かせて保管されています。小さなお子さんが現場に来た際にも、躓いて転んだりしないようにという想いが込められています。
配線コードも、躓いて転んだりしないよう、このように地面から浮かせた状態で作業しています。小さなことですが、なかなかここまで徹底して現場管理をするのは、簡単なことではありません。
思いやりのこもった現場ポップ
今回の現場見学で特に印象に残っているのが、この手作りのポップ。現場の至る場所に貼り付けられています。大きな字やひらがななど、職人さんや、お施主さんへの思いやりを感じました。
こちらは階段の一番下の段に貼られた注意ポップです。こうした心遣いは嬉しいですよね。
ー でも、こんなにも現場を綺麗に保つのは大変ではないですか?
酒向社長:「もちろん簡単なことではありません。富田製材では、一ヶ月に一度ほど業者さんを集めて『勉強会』を開催しています。マナー講座や、近隣の方々への配慮・気配りなどを学んでいます。人は少し気を抜くとすぐに緩んでしまいますからね。コツコツ積み重ねです。」
親子三代、地域の人に愛されながら続いてきた富田製材。だからこそ、お施主さん、近隣住民の方々、職人さんなど、人への思いやりをとても感じる現場でした。現場には、その会社さんの家づくりへのこだわりが詰まっている気がしました。
皆さんも家づくりのパートナーを決められる際には、後悔しない家づくりのためにも、ぜひ一度現場を見学されてみてはいかがでしょうか。