昔ながらのお店からオシャレなバーやセレクトショップなど、新旧が混じり合う岐阜市「柳ヶ瀬商店街」。
今回はそんな商店街の中にあるカフェ『Honky Tonk(以下:ホンキートンク)』をご紹介します。おいしいコーヒーや絶品ランチが、心地良い音楽と共に楽しめるお店です。
目次
まるで秘密基地な空間に癒されて
しっとりと流れるJAZZが心地よい店内
JR岐阜駅より柳ヶ瀬商店街へ歩くこと約10分、昭和の香りがほのかに漂うビルが見えてきます。お店は2階、さっそく行ってみましょう!
階段を上がると、ライトに照らされたお店の看板が見えました。入り口の扉はガラスになっているので外から店内の様子を伺うことができます。
香ばしくほろ苦いコーヒー豆のいい香りがお出迎え。商店街のメイン通りに面しているというのに、ひとたびお店に入るとまるで秘密基地のような隠れ家的空間が広がります。
開放感のある大きな窓。その日の天候によって変化する商店街の雰囲気を楽しむのも、一興です。取材当日はあいにくの雨でしたが、雨しずくが揺れる街路樹の葉を眺めていると、なんとも心安らぐ気分になりました。晴れた日は自然な光が心地よく差し込みます。
テーブル席のほかには、おひとりさまに嬉しいカウンター席もありました。壁向きカウンターなので、他のお客さんの視線も気にせずゆっくりリラックスできますね。ペンダントライトがほどよく手元を照らします。
ホンキートンクのこと
-お店をはじめたきっかけを教えてください。
オーナー:「学生のころから、いつか自分のお店を持ちたいなと思っていました。そのためにまず、飲食について勉強しようと思い、大学卒業後は飲食関連の企業に就職しました。その頃は店長としてお店を任せてもらえることもあり、料理のことだけではなく経営についてもしっかりと学ぶことができました。」
-岐阜県のご出身ですか?
オーナー:「いいえ、一宮市出身です。実は、前職で岐阜県に来ることが多かったため、気づくと私にとって親しみを感じる、なじみ深い地となっていました。そこで、お店を開くなら岐阜にしようと思い、この場所に決めました。」
オーナー:「ここはもともと和菓子屋さんが所有されていたビルで、1階で販売・2階では和菓子が楽しめる茶房になっていたそうです。しかし私がこの物件を見つけたときはそんな形跡もなくすっからかん状態でした(笑)なので、トイレなど必要設備も一から作りましたよ。」
-お店の名前の由来を教えてください。
オーナー:「お店の名前にもなっている『ホンキートンク』とは、音楽に関連する単語なんです。意味自体は説明をすると長くなりすぎてしまうので割愛をさせていただきますが……(笑)音楽が好きな人に、この店名が刺さってくれるといいなという想いも込めています。」
-音楽がお好きなんですね!
オーナー:「はい。ずっと音楽が好きで、今でもジャンル問わず色々なアーティストの曲を聞きます。お店に置いてあるレコードもすべて私物です。今もコツコツと集めていますよ。休日にはよくレコード店巡りに夫婦で出かけることもあります。気になるレコードがありましたら、店内で流すこともできますので気軽にお声がけください。」
-店内でライブを開催されているそうですね。
オーナー:「お店の一角をステージにしてライブを開催しています。ある日、"ライブをさせてもらえないか"と知り合いに相談をされたことがきっかけで始まったイベントです。定期的に開催をしているライブもありますが基本的には不定期開催。生演奏を間近で聞けて、アーティストさんと会話もできる魅力的なイベントです。おかげさまでお客さまからも毎回ご好評をいただいています。」
-今後の展望をお聞かせください。
オーナー:「常連のお客さまはもちろん、初めてご来店してくださるお客さまにとっても、ゆったりと休息を取ることができる、居心地のいい、そんな空間をこれからも提供していけたらなと思っています。ここ柳ヶ瀬商店街で愛されるお店のひとつになっていけたら嬉しいですね。」
取材日当日、お2人とも素敵なエプロンを着用されていました。なんと奥さまの手づくりなんだそうです!縫製のお仕事経験のある奥さまが、エプロンをはじめワークウェアを製作し、"アトリエ・ホンキートンク"として販売をしています。
一つひとつ丁寧に仕上げたウェアはどれもデザイン性、機能性に長けており、大切に長く着たくなるものばかり。オンラインショップ、インスタグラムから購入ができるので是非ご覧になってみてください。
一杯ずつ丁寧にドリップ
味わうひとときを楽しむ
いろいろな香りと風味が楽しめる「本日のコーヒー(税込500円)」。オーナーご夫妻がその日の気温や湿度など、豆の状態を確認をして厳選したものだけを提供をしています。
東ティモールやルワンダ、ネパールなど……他ではあまり聞き馴染みの少ない、ちょっと珍しい生産国のコーヒーを週替わりで味わえると人気です。
レジ横ではホンキートンクオリジナルブレンドのコーヒーバックを販売しています。
オーナーのご出身地、一宮市にあるコーヒー専門店"BASE COFFEE"さんに依頼をして、ホンキートンク限定のオリジナルブレンドを作っていただいているそうです。
ドリップタイプではなく、コーヒーバックタイプなので、マグカップに入れたらバッグの上からお湯を注いであとは数分待つだけ。本格的なコーヒーを手軽にお家で楽しむことができます。ギフトボックスでの販売もしているので、贈り物や手土産としてもおすすめですよ。
こだわりたっぷり!ランチメニューをご紹介
今年2月からスタートしたランチメニューは、すでにリピーター続出!
すべてのランチにはスープ・食後のドリンク・デザートがセットで付きます。
20品目以上のデリサラダランチ(税込1,300円)
彩り鮮やかなデリがお皿いっぱいに楽しめるデリサラダランチ。ほとんどがお野菜なのに食べ終わった後の満足度は☆5!
自家製ハーブチキンやキャロットラぺなど6種類以上のデリがたっぷりと味わえます。ヘルシーかつ食べ応えのあるランチメニュー。メインのデリとは別に、小鉢に盛られたデリは定期的にメニューが変わります。
オリーブオイルと白ワインビネガー、リンゴ酢で作る自家製ドレッシングはシンプルなのにこれがまたウマイ。サッパリとしていてほんのり甘い、それでいて、ひとつひとつの食材の味をより引き立てる名わき役ドレッシングです。
キーマカレーのランチと、月替わりのパスタランチにはデリプレート(ミニサイズ)がセットで付いてきます。ミニといってもこんなにボリューム満点です!
セットのポタージュは季節によって内容が変わります。取材にお邪魔した日はとうもろこしのポタージュでした。
茹でたとうもろこしは丁寧にこしてペースト状に。芯だってもちろん捨てません。煮出すと優しい甘みとコクのある出汁が取れるんです。野菜のうまみを余すことなく活かしたポタージュは、砂糖不使用、とうもろこし本来の甘さが心地よく、さらにトッピングされたあらびきコショウによってグッと味が引きしまり、見た目も味もとても美しいポタージュです。
キーマカレーのランチ(税込1,600円)
ランチメニュー人気ナンバーワンのキーマカレー。精肉屋さんで購入しているミンチ肉や、たまねぎ・トマトなどの具材を自家製ブロード(出汁)でじっくり丁寧に煮込んでつくるお店自慢のひと皿です。
仕上げにハードタイプのチーズ、"グラナ・パダーノ"を、ひらひらと花びらのように削れば出来上がり。チーズのうま味と甘い香りがほどよいアクセントに。キーマカレーの味わいを一切邪魔することなく、味がぴたりと整います。
玄米の食感も楽しく、食べるほどにやみつきになるコク深い味わいのカレーです。ひと口食べると、スパイシーな香りに脳が刺激されてスプーンが止まりません!
キーマカレーはテイクアウト(税込み850円)も可能!+150円で、チーズトッピングを追加できます。※テイクアウトには、スープ・サラダは付きません。
月替わりのパスタランチ(税込み1,500円)
月替わりでいろいろなパスタが楽しめるランチメニュー。こだわりの食材でつくる自家製ソースがポイントです。王道から創作まで、どれも魅力的なパスタばかりなので食べ逃しにご注意ください。
レモンクリームのパスタやトマトソース、カルボナーラなど……パスタメニューはインスタグラムで随時更新しています。
別腹のすゝめ
コーヒーをより愉しむためのお供に、あま〜いおやつは欠かせませんよね。ホンキートンクのデザートなら、お腹いっぱいでもぺろりと食べてしまえること、うけあいです。
ガトーショコラ(税込み450円)
まるで濃厚なチョコレートのようにとろける味わいが美味しいデザート。トッピングされたピスタチオの歯ごたえが、しっとりとした口当たりのガトーショコラによく合います。
苦みの効いた深煎りコーヒーとの相性抜群です。
ニューヨークチーズケーキ(税込み500円)
滑らかな舌触りと、もったりこっくりとした食感がたまりません。爽やかな甘さがふわっと口の中にいっぱいに広がります。
チーズケーキと白ワイン……なんて、最高な組み合わせはいかがですか?
番外編
オーナー厳選!おすすめレコード3選
お店のラックにはオーナーが学生時代から集めているレコードがぎっしり!枚数はなんと1,000枚以上!ジャズをはじめソウルやヒップホップなど、いろいろなジャンルのレコードが並びます。
「もしよければ、オススメのレコードを教えていただけませんか?」と、急なむちゃぶりにも快く対応してくださいました。
それでは、音楽を愛するオーナーが選ぶおススメレコード3選をご紹介。
waltz for debby:BILL EVANS
ジャズピアノの詩人と称えられるビルエヴァンスの永遠の名盤。トリオ時代のライブ音源が収録されているこちらのアルバムはファンも多く、ライブならではの雰囲気、美しく繊細な旋律は聴く人を魅了します。ジャズピアノの巨匠が奏でるピアノをたっぷりと堪能できる1枚です。
SELL OUR SOUL:THE BLUE HERB
1997年に結成された北海道は札幌を拠点に活動する3人組ヒップホップグループ。「リスナーにだけ魂を売る」という意味が込められたタイトルがとても印象的な一枚です。オリンピック選手の平野歩夢選手も大会前夜に聞いていたんですって。ずっしりと重く、心につき刺さるリリックやビートは繰り返して何度も聴きたくなる中毒性あり。
佐藤 奈々子:ファニーウォーキン
透き通るような歌声は聴く人を虜にします。ウィスパリングヴォイスの元祖ともいわれている佐藤奈々子さんのデビュー作。後の〝渋谷系″をはじめJポップシーンに影響を与えたシティポップの名盤中の名盤です。
BEST OF EARTH WIND & FIRE:Earth wind and fire
また他にも、筆者が以前CMで聞いてかっこいいなと思い調べた曲、"セプテンバー"を歌っているアーティストのレコードも発見しました!なんと2020年に結成50年を迎えたのだそう!どの曲もノリノリ、グルーヴ感が気持ちいいベストアルバムです。レコード棚を眺めているだけであっという間に時間が経ってしまいそう!
オーナー:「欲しいレコードを事前に決めてから購入するのもいいけれど、中古レコードショップに行き、まるで宝さがしをしているかのようなあの時間がとても好き。お店に行ってみないとどんなレコードがあるか分からない、掘り出し物に巡り合えた時の喜びは何回味わっても良いものです。」
楽しい食事も、ゆっくりと過ごしたい時間も、ホンキートンクでなら過ごせます。
街なかに見つけた素敵な隠れ家で、音楽とともに『いい時間』を……。