300年の歴史。三重県菰野町の萬古焼を食卓に。「かもしか道具店」
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「萬古焼」の産地を守っていくために
山口陶器の山口典宏社長
山口陶器は、1973年に創業。高度経済成長期に萬古焼は飛ぶように売れ、最盛期には270社ほどの窯元があったのだそう。しかし、その後安価な輸入食器に押され、産地は衰退していきます。山口さんがサラリーマンを辞め、山口陶器へ入社したのは今から15年前の2003年のことでした。
山口さん:「28歳のときに父親に「継ぎたい」と伝えると、「焼き物は衰退していく産業だから継ぐな。」と反対されてしまったんです。だけど、この商売で食べさせてもらって生かしてもらった中で、誇りを持って焼き物をやりたい。誰かに継ぎたいと言われたときに、NOとは言いたくない。「自分がこの産地を良くしてやる!」そんな反骨心で家業を継ぐことを決心しました。
そして山口陶器に入社し、萬古焼の産地の現状を目の当たりにしました。当時はOEM(他社ブランドの製品を製造すること)や下請けの仕事がほとんど。需要があるときはいいけど、注文がないときはどうしようもない。発注元の景気に左右される、すごく不安定な状態でしたね。自分たちで直接販売しているわけではないので、消費者がほしいものがつくれているのかも正直わかりませんでした……。
「これじゃあかん」と、少しずつ下請けの仕事や問屋との取引を縮小し、自分たちでものづくりができる体制に切り替えていきました。商品の製造から販売まで全部を担うことで、自分たちが主導のものづくりができます。萬古焼の産地を守っていくためには、この方法しかありませんでした。」