今、こけしが熱い!知られざるこけしの世界を知ろう。豊田市民芸館で開催中の『愛蔵こけし』展へ行ってきました
目次
産地によって異なる、さまざまなこけしたち
伝統こけしはすべてで6県11系統に分類されており、その伝統は親から子、孫へ。師匠から弟子へと受け継がれています。今回はその中からピックアップして、ご紹介していきます。
土湯系(福島県福島市)
土湯系伝統こけしは、福島県福島市、土湯温泉が発祥の地。遠刈田、鳴子と並ぶ3大こけし発祥地と言われています。
頭頂部に「蛇の目模様」を描き、前髪の両脇にカセと呼ばれる髪飾り、クジラ目にたれ鼻、おちょぼ口、ロクロ線の胴模様が土湯系の特徴です。
中ノ沢温泉つくられる通称「タコ坊主」と呼ばれるこけしは、2018年第64回全国こけしコンクールで初めて「中ノ沢こけし」の名称で審査されたことが話題になりました。
一般的なイメージのこけしとは大きく違い、顔の特徴も独特なため、伝統こけしの中でもひと際目をひく存在です。
作並系(宮城県仙台市)
作並こけしは最古のこけし産地とも言われています。頭が小さく、胴が細いのが特徴。目は一重や二重。胴の模様は、蟹のように見えることから「かに菊」とも呼ばれています。
南部系(岩手県と秋田県の一部)
キナキナと呼ばれる木製のおしゃぶりが原型と言われています。首がはめ込みになっており、頭がくらくらと動きます。無彩色のものが多いですが、明治時代に鳴子や遠刈田系の影響を受けて、彩色されるものもできました。
顔のないこけし。キナキナは、顔や胴の華やかな模様が一切描かれていないとてもシンプルなものなのです。
弥治郎系(宮城県白石市)
宮城県白石市の弥治郎集落を中心として発達した系統です。頭が大きく、さまざまな色の輪が描かれたベレー帽と呼ばれる頭が特徴です。直胴・くびれ・裾広がり・襟巻き付きなど形はさまざま。
模様は太いロクロ線の組み合せや、簡単な衿や裾で着物を表現したもの、花や蝶をあしらったものなど、色彩を主体としています。
最後にご紹介するのは、津軽系です。頭と胴を一本の木でつくる「作り付け」の手法が特徴。おかっぱ頭に、津軽藩の紋花「牡丹」やアイヌ模様やダルマ絵などが胴体には描かれています。
今回は5つの系統をピックアップしてご紹介いたしました。知れば知るほどに奥深いこけしの世界。土地ごとにまったく異なる特徴や模様、形、顔の表情はとってもおもしろく、すっかりと魅了されてしまいました。受け継がれる伝統、工人の個性、表情豊かで愛らしいこけしたちをたっぷりと見ることができる展示会です。
こけしを買ってみよう!
イベント期間中は、伝統こけし工人作品・中古こけし・こけしグッズなどを購入できます。ぜひこの機会に、お気に入りのこけしを見つけてゲットしてみてくださいね!
豊田民芸館は見どころ満載!
豊田市民芸館では、他にもさまざまな魅力的な企画展や常設展がご覧いただけます。また、自然豊かな敷地内では、春は桜、秋は紅葉と、四季を楽しむことができるんです。ぜひ「愛蔵こけし」と合わせて立ち寄ってみてくださいね。
【愛蔵こけし】
時間 :午前9時~午後5時
会場 :第2民芸館
休館日:月曜日(ただし祝日は開館)
観覧料:無料