松坂屋史料室 企画展「松坂屋・屋上遊園の歴史」へ行ってきました。
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全国的にも激減しているといわれている屋上遊園。名古屋市内では現在、「松坂屋名古屋店」だけしか営業していないんです。そんな、松坂屋名古屋店では、2020年2月28日〜5月25日の期間中、松坂屋史料室にて企画展「松坂屋・屋上遊園の歴史」が開催されています。
本展では、明治時代からはじまったとされる屋上遊園の歴史を貴重な史料とともに、初公開画像を含む約30点のパネル展示で紹介しています。後半には、現在の屋上遊園の様子もご紹介していきますよ。
松坂屋と屋上遊園の歴史
まずはじめに、松坂屋と屋上遊園の歴史についてご紹介します。
松坂屋は、1611年(慶長16年)に「いとう呉服店」として創業したのがはじまり。創業400周年を越える名古屋を代表する老舗の百貨店です。屋上遊園の歴史は、1910 年(明治43年)栄町に開店したデパート「いとう呉服店」の屋上庭園に設置された子供用ブランコからはじまります。
そもそも、屋内だけでなく屋上にまで人を呼び込もうという発想がはじまったのは、1907年(明治40)三越呉服店が、「空中庭園」を開園したのが最初と言われています。噴水・池・藤棚・盆栽・廻転パノラマ・望遠鏡などを備え、当時の上流階級でお金持ちのためのものだったようです。
1925年(大正14)に、いとう呉服店から商号を「松坂屋」へ統一されると、屋上遊園が大々的にスタートします。
名古屋店の屋上には、展望台・動物園・水族館・こども遊園が設置されていたのだとか。当時の写真を見ると、大人から子どもまで多くの人で賑わっているのがよくわかります。
遊具や乗り物が設置されたのは、昭和に入ってからのこと。デパートは贅沢品を買う場から、家族ぐるみで楽しむ場になっていったことで、全国に屋上遊園が広がっていきました。
中でも驚いたのが、こちらのパネルです。戦前の大阪店の屋上では夏になるとプールとして営業されていたのだそう。ちなみに冬はスケートリンクとして営業されていました。今ではデパートの屋上にプールがあるなんて、想像もできませんが、あったらそれはそれで楽しいだろうな〜と思いました。
ほかにも、動く象の乗り物があったり、屋上ヘリポートの設置、全手動式野球速報版など。各店がさまざまな取り組みをされていたことがわかります。当時のイラストからも、いかに屋上遊園が夢のような場所だったのか伝わってきました。
戦争が終わると、屋上遊園はますます活気が増していきます。終戦から、3年経った頃には見事復旧し、戦前と変わらない賑わいを取り戻していったそうです。当時人気があったのが、子ども電気バス。4回巡り、料金は20円でした。
ほかにも筆者が気になったのが、1966年(昭和41)に銀座店の屋上で開催された「生きた動物バーゲン」。ネーミングからしてなかなか、ダイレクトですごいですよね(笑)
集客の目玉として開催された同企画では、大きいものはインド象から小さいものはザリガニまで、約300種、総数約1万点が勢揃い。会場にはお客さんが殺到し、ガマガエルは2日間で完売、蛇は会期中に180匹売り尽くしたそう。
すごすぎます……。
今回紹介した以外にも、魅力的な写真や史料が多く展示されているのでぜひじっくりとご覧いただきたいです。個人的にも、知られざる当時の時代背景や歴史がわかり、とても興味深かったです。