三重県伊勢志摩市を舞台に、伝説の真珠を巡る家族の大騒動と「成年後見制度」の問題を描いた映画『親のお金は誰のもの 法定相続人』が、2023年10月6日(金)に公開!
成年後見制度とは、家庭裁判所に専任した「成年後見人」が、認知症など判断能力が不十分な人の代わりに法律行為や財産管理を行う制度。今作の軸となる「相続」と「家族」にも、大きく関わってくる制度で、「これ、私たち家族の10数年後の話なのかも・・・」と思わず感情移入してしまうほど、一番身近な社会問題のひとつだったりします。
そんな今作のW主演を務めた、比嘉愛未さん、三浦翔平さんに役作りやお金に抱く価値観、撮影中のエピソードなどインタビュー!物語の舞台となった、三重県伊勢志摩市でのエピソードにも注目を。
■あらすじ■
東京のIT関係の外資に勤めている大亀遥海は、母・満代が亡くなった知らせを受ける。父・仙太郎との確執で故郷へ二度と帰らないつもりであったが、生前・母から届いたはがきが気になり、遥海は母の通夜に出席するため、久しぶりに地元・伊勢志摩に帰省することに。通夜会場の広間で大亀家の長女・珠子、次女の浜子、遥海の三姉妹と父親の仙太郎が話をしていると、弁護士の城島龍之介が現れ、「これからは私どもが、お父様のご健康、そして財産の管理をさせていただきます」と告げるのだった。成年後見人として大亀家の財産を管理するなか、仙太郎が6億円の価値がある伝説の真珠を隠し持っていることを知った龍之介。もしも伝説の真珠を売却できたとしたら巨額の付加報酬を得られることから、龍之介は必死に真珠を探すのだった。一方、父親の遺産を狙う珠子と浜子も真珠の存在を知り、龍之介よりも先に見つけようと探し回る。伝説の真珠をめぐる大騒動の果てに遥海たちがたどり着いた驚きの真実とは……?
目次
田中監督と話し合いを重ねて
つくり上げたそれぞれの人物像
– 田中光敏監督から撮影前に伝えられたことなどはありましたか?
比嘉さん:「全体の明確なテーマなどは伺っていませんでした。でも、一人ひとりの役者に寄り添いながら、シーンごとのテーマを一緒に導いてくださっていたと思います。静かに見守ってくれているような。親のような愛情を感じました」
– 田中監督は“元気な人”というイメージなので、“静かに見守る”という姿が意外です。
三浦さん:「現場に入ると、静かに集中して“監督モード”になるんです。現場以外の場所だと、非常に人当たりも良くて、コミュニケーション能力も高い方です」
– 三浦さんが演じた城島龍之介は、今作のテーマのひとつでもある「成年後見制度」にて、財産管理の弁護士・成年後見人を担う役どころ。演じる上で準備したことなどはありますか?
三浦さん:「序盤の龍之介は、かなり性格に難ありな見せ方をしています。でも、彼の心の変化を辿っていくなかで、比嘉さん演じる遥海の言葉によって、心の奥底に蓋をしていた想いと向き合うシーンがあるんです。このシーンに至るまでのプロセスを、監督とかなり話し合いました。
彼はなぜ、難ありの性格になるほどひねくれてしまったのか?“家族”という存在に感情が高ぶってしまう理由は?お金に関して執着している意味は?など、龍之介の人物像を構築していく話し合いに時間をかけました。」
比嘉さん:「私も監督とセッションを重ねながら、役作りをしていきました。撮影中も、監督が「遥海として、今この瞬間どう思う?」と常に聞いてくれて、私の準備ができるまで待ってくださいました。撮影の始め方も「はい!じゃあ、スタート!」という形ではなく、「準備できた?じゃあ、いこっか」と、背中を押してくださるような始め方で。
私自身、遥海に共感する部分も多かったので、彼女の感情をつくるときは、自分の過去の経験や苦い経験を掘り返す作業から始めました。なので正直、演じているときは、ずっと苦しくて、辛かったです。遥海自身も一切笑わないですし、台詞も少ない。心のなかで、ずっと辛さや苦しさがうねっているような感覚でした。劇中でそのうねりを爆発させるシーンがあるのですが、そのときも監督は常に妥協せずに向き合ってくださいました。お芝居を通じて、自分自身を見つめる時間に苦しさを感じたこともありましたが、学んだことも多かったです。」
お金の価値観は人それぞれ
幸せだと思える分があれば充分
– 「相続」や「親の死」など誰もが向き合う出来事が描かれた本作。撮影するなかで、心に響いたことなどはありましたか?
比嘉さん:「三浦友和さん演じる、父親・仙太郎とのシーンが心に残っています。仙太郎と遥海が対峙する“あるシーン”を撮影したとき、私の感情が高ぶってしまって、手が震えてしまったことがあったんです。そのとき、友和さん(三浦友和さん)が何も言わずに私の手をギュッと包んでくださって・・・。言葉はなかったけれど、役者の大先輩である友和さんが、“よく頑張った”と褒めてくださったような感覚がありました。私もいつか、後輩がそのような状況になったときは寄り添い、友和さんのように言葉はなくとも想いを伝えられる人になりたいと思いました」
三浦さん:「僕は、撮影にご協力いただいたミキモトさんが教えてくださった真珠の話です。撮影中、真珠について話を伺える機会があって、時価6億円相当の真珠は“今後日本で出来ない”ということを知りました。すべての条件が揃わないと良い真珠はつくれないけれど、それ以前に真珠の貝のエサとなるプランクトンが海洋汚染の影響で無くなってきてしまっていると。今作では、真珠の美しさはもちろんですが、真珠をつくるために、さまざまな人々の努力と尽力があることも描かれています。そんな真珠が今、人間が海を汚している影響でつくれなくなってきている。今作を通して、海洋問題も発信していかなければいけないなという気付きが、自分の中でありました」
-「お金」も今作のキーワード。お二人にとって、“お金”とはどんな存在ですか?
比嘉さん:「“6億円を手にしたら、どうしますか?”と聞かれたとき、想像が難しすぎて“いりません”と答えてしまったんです(笑)想像以上のものを手にしてしまったとき、自分自身をコントロールできるか分からなくて、怖いんです。そのくらいお金って、使い方によっては色んな影響を及ぼしかねないものだと思います。だからこそ、遺産相続問題も起こるし、親子関係が切れてしまうような恐ろしさもある。でも、生活に必要なものでもあるから、切っても切れない存在。なので私は、お金に対しては、自分が “これくらいで十分だ” と感じられる分があれば、幸せだと思います。そういう気持ちをブレずに持ち続けられる自分でいられるかどうかが、私のお金に対する価値観ですね。」
三浦さん:「色々考えるんですけど、正直答えがありません。“お芝居とは何ですか?”と聞かれたときくらい、正解のない話だと思っています(笑)お金の価値を決めたのは人間なのに、お金を一概に表現することは難しい。人によって、お金に対する価値は本当に変わってくると思います。」
バディ感溢れる息の合った
掛け合いにも注目!
– 劇中での比嘉さん×浅利さん、三浦さん×小手さんの息の合った“バディ感”も印象的でした。
比嘉さん:「私と浅利さんは、もう10年以上の付き合いで(笑)20歳くらいのときから、2年に1回は何かしらの作品で共演してきた戦友なので、本当に助かりました。彼がいるだけで、場が和みますし、撮影現場に“幼なじみ”がいるというだけで、リアルな地元感を出すことができたと思います」
三浦さん:「実は、小手さんとは初共演なんです。でも、小手さんの作品はよく拝見させていただいていて、何をやっても絶対に返してくれる芸達者な役者さんだなと思っていました。初共演でしたが、すごく一緒にお芝居がしやすかったです!小手さんのまとう空気が何でも受け入れてくれる体制だったので、自由にやらせていただきました(笑)」
英虞(あご)湾の美しい海景や
伊勢志摩グルメも堪能!
-伊勢志摩でロケが行われた今作。また食べたい“伊勢志摩グルメ”はありますか?
三浦さん:「“脱皮した瞬間の伊勢海老”ですね。地元の方しか食べられないと言われているグルメで、すごく美味しかったです」
比嘉さん:「新鮮なうちにしか食べられないので、地元の漁師さんなどしか食べられないグルメらしいんですよね。撮影中に味わえる機会を特別にいただいたのですが、最高でした!でも伊勢志摩は伊勢海老だけでなく、牛も美味しかったです」
三浦さん:「あと、野菜も美味しかったです!」
比嘉さん:「また食べたいものは、いっぱいありますね(笑)」
– リアス式海岸や英虞(あご)湾の夕日など、劇中に登場する美しい海景も魅力的でした。
三浦さん:「英虞湾を一周クルージングする撮影があったんですが、本当に綺麗な海でした!当日は天気も良かったし、すごく穏やかで、のんびりとした時間が流れていました」
比嘉さん:「沖縄出身なので、海はずっと見てきた方なのですが、沖縄とは違う海の良さがありました。綺麗で、穏やかで、他の土地では観たことが無いような“唯一無二”の良さがギュッと詰まっていました」
– 東海エリアの人々にとって、伊勢志摩の海は身近な存在です。
比嘉さん:「皆さんにとって馴染みのある海だからこそ、今作では違った角度で“身近な海”を楽しんでいただけたら嬉しいです!あと田中監督って、美的センスが本当に素晴らしいんです!ただ切り取るだけでなくて、より良く撮ろうとする愛情がすごい方。今作でも、英虞湾の海景だけでも、何十回も撮りに行ったと言う話を聞きました。そんな田中監督が“これだ!”と選んだ一瞬の景色がたくさん物語のなかに組み込まれていたので、そういう部分にも感動しました。この海景色を、世界中に知ってほしいと思いました」
三浦さん:「そうですね!僕も今作を通して、海というものを大事にしたいと思いました。物語はもちろんですが、海を綺麗にしていこうという想いにも繋がっていただけたら嬉しいです」
三重県伊勢志摩を舞台に、伝説の真珠を巡る家族の大騒動と「成年後見制度」の問題を描いた今作。「成年後見制度」を起点に描かれる家族との関わり方やお金の話は、“映画の世界の話”とは思えないほど、自分自身の生活や将来に通じるものが多く、改めて家族や将来、お金について考えるキッカケになりました。
映画『親のお金は誰のもの 法定相続人』は10月6日(金)より公開!