まるで色の博物館!天王洲アイルの伝統画材ラボ「PIGMENT(ピグモン)」

2018.10.11
PIGMENT

今回は、東京・天王洲アイルに2015年7月に誕生した伝統画材ラボ「PIGMENT(ピグモン)」をご紹介します。画材ラボと聞くと、作家やアーティストが訪れる場所のように感じますが、PIGMENTはそうではありません。初めて伝統画材に触れる方でも、楽しく、いつのまにか色の世界に引き込まれてしまう場所です。

 

200㎡を超える広々とした店内には、約4,500色もの顔料や200種類以上の古墨、動物の皮を煮出してつくられる天然の接着剤である膠(にかわ)、といった希少かつ良質な伝統画材がずらりと並びます。東海エリアからでもぜひ訪れていたきたいPIGMENTの魅力をたっぷりとお伝えしていきます。

 

 

世界的な建築家・隈研吾氏の設計した内装

 

PIGMENTの内装

 

PIGMENTの内装

 

PIGMENTのポイントの1つは店舗デザインです。

 

担当したのは、世界的な建築家・隈研吾氏。最近では東京オリンピック新国立競技場のニュースでも話題になりましたよね。竹の簾(すだれ)をイメージした有機曲面で構成した現代的なデザインが印象的です。

 

ただの画材ショップではなく、ミュージアムとしても楽しんで欲しい。芸術家や専門家ではない一般の方にも興味を持ってもらいたい。その想いから展示には特にこだわっているのだそう。1つひとつの画材がていねいに陳列されています。

 

PIGMENTの内装


PIGMENTは、日本だけでなく、世界中から注目されているスポットです。取材中も、多くの海外からのお客様が足を運んでいました。それほど、ここでしか出会えない貴重な画材が揃っているんです。PIGMENTが取り扱う商品は、4,500色の顔料をはじめ、10,000点にも及びます。いくつかピックアップしてご紹介していきます。

 

 

約4,500色の顔料

 

顔料

 

顔料

 

PIGMENTでひときわ目を引くのが、4,500色にもおよぶ色とりどりの顔料。顔料は主に3つの種類に分けられます。最も多く取り扱われているのは「岩絵具」と呼ばれる無機顔料で、天然の石や陶磁器で使用する釉薬を焼いたものを砕いてつくられたものです。通常、日本画で用いられる場合は「膠(にかわ)」を使用しますが、この顔料を油で練ると油絵の具になり、アクリルで練るとアクリル絵の具になります。

 

同じ石からできていても、粒子の粗さで分けられています。粒子が大きくなればなるほど色が濃く、細かい粒子になるほど色が薄くなります。粒子の大きさによって実際に絵の具にしたときの質感も変わってきます。

 

顔料

 

顔料

 

エフェクト顔料

 

エフェクト顔料


こちらのキラキラした顔料は「エフェクト顔料」と呼ばれます。アートだけでなく、ネイル・化粧品・車などにも使われています。実際に、ネイルアーティストの方が顔料を探しに来られることもあるそう。顔料は量り売りで購入できます。

 

コチニール

 

ここで問題です。こちらの右側の瓶に入っているのは何でしょうか。

 

答えは、「乾燥したカイガラムシ」。そして、左側にあるのがこのカイガラムシを水に浸して抽出された染料を顔料化した「コチニール」と呼ばれる顔料です。何世紀も前から染料に用いられ、飲食物の着色料や化粧品にも使われています。虫から顔料がつくられているとは知りませんでした。

 

このように顔料1つひとつに、製造方法や歴史があります。現在では製造が中止され使われなくなった色もあるのだそう。PIGMENTでは、このように1つひとつの色についても教えていただけます。

 

エフェクト顔料光の影響を受けさまざまな表情を生み出す「エフェクト顔料」。

 

インミンブルー顔料
「インミンブルー顔料」アメリカで発見された新しい青の顔料。日本では、まだPIGMENTだけの取り扱いです。

 

「ゼッキ(ZECCHI)」の油絵具
フィレンツェに店舗を構える老舗画材店「ゼッキ(ZECCHI)」の油絵具。

 

メノウ棒
金銀箔を磨き、より強い光沢を出す際に使用される「メノウ棒」。

 

 

天然の接着剤「膠(にかわ)」

 

膠

 

続いてご紹介するのは、膠(にかわ)です。

 

膠は動物の皮を煮出してつくられる天然の接着剤。合成接着剤がでる前の主流の接着剤だったそう。画材としては、先ほどご紹介した顔料と混ぜて自分好みの絵の具をつくることが可能。また固形の墨には必ず膠が使われています。接着することも剥がすこともできる。そのふたつの条件を唯一満たしているのが、膠なのだそう。

 

職人が手作りした膠職人が手作りした膠。量り売りで購入することが可能です。ここでしか手に入らないオリジナルの膠も並びます。

 

フリーズドライ膠
フリーズドライ膠(非売品)

 

 

墨を使う上で欠かせない硯(すずり)

 

硯

 

硯は墨を使う上で欠かせない存在。墨がよくても、硯が悪くては本来の色調を引き出せないほど、重要な道具です。

 

PIGMENTでは、中国の古硯(こけん)を中心にコレクションしています。硯が誕生した当時、字を書くことができるのは一部の特権階級の人たちだけ。字を書く道具を持っていること自体がステータスだったのです。そうした背景から、硯は道具としてだけでなく、装飾品としての意味合いもあります。

 

古硯
一番左のものは、水を入れることで池のようなデザインに。このように文字を書くだけでなく、インテリアとしての楽しみ方もあります。

 

古硯
博物館のようにガラスケースで展示されているのが印象的でした。

 

 

海外からの人気の高い「筆、刷毛」

 

筆、刷毛

 

 

海外からのお客様から特に人気なのが、筆と刷毛。

 

PIGMENTでは、京都の老舗メーカー「中里」の筆を中心に、「名村大成堂」や「清晨堂」を含め約600種類を扱い、羊毛、イタチ毛、馬毛、鹿毛、ナイロン毛などさまざまな種類があります。西洋では1種類の毛でつくられるのが一般的ですが、日本と中国は複数の毛を混ぜてつくるのだそう。海外の筆とは違った表現ができると、お土産にされる方も多いのだとか。

 

筆、刷毛

 

筆、刷毛

 

筆、刷毛


描画用筆から、裏打や表具用に用いられる刷毛、孔雀や白鷺の羽で作られた特殊な筆まで、幅広いラインナップです。どういったものを描きたいのか相談すると、専門知識が豊富な画材のエキスパートからおすすめを教えていただけますよ。

 

試し書きスペース

 

試し書きスペース

 

そしてPIGMENTのうれしいポイントが、試し書きができること。筆や刷毛は実際に試してみないと、思った通りの書き味かどうかわかりませんよね。(一部試せないものもあります)

 

 

色の魅力に触れるワークショップ

 

ワークショップ

 

ワークショップ

 

伝統画材ラボという名前の通り、PIGMENTでは、色を主軸としたワークショップやイベントも開催されています。専門の知識・スキルを持ったスタッフに直接教えてもらうことができるんです。日本画、油絵をはじめ、初心者でも取り組みやすい水彩絵の具作りなども。

 

PIGMENT


伝統画材と聞くと少し身構えてしまうかもしれませんが、PIGMENTははじめて伝統画材に触れる人でも、自然と画材や色のことが学べる場所です。画材の研究で博士号を取得した、専門知識が豊富な画材のエキスパートに、それぞれの画材の特性から使い方までていねいにアドバイスしていただけます。

 

PIGMENTを訪れてみて、こんなにも色の種類があること、それぞれの色に歴史や意味合いがあることの面白さを知りました。東京を訪れた際には、ぜひ一度足を運んでみてください。

 

【PIGMENT(ピグモン)】
住所   :東京都品川区東品川2-5-5 TERRADA Harbor Oneビル 1F
アクセス : りんかい線「天王洲アイル」駅から徒歩3分/東京モノレール「天王洲アイル」駅から徒歩5分
電話番号 :03-5781-9550
営業時間 :11:30 - 19:00
定休日  :月曜日・木曜日

web :https://pigment.tokyo/ja/about/
Instagram:https://www.instagram.com/pigment_tokyo/
facebook :https://www.facebook.com/PIGMENTTokyo/

 

東京に行った際には、同じく寺田倉庫が運営している「建築倉庫ミュージアム」も合わせて訪れてみてくださいね。