【名古屋】古書・古本屋さん巡りレポート。一期一会な本との出会い、ワクワクする一冊を探しに行ってきました。

掲載日:2023.07.25
【名古屋】古書・古本屋さん巡りレポート。一期一会な本との出会い、ワクワクする一冊を探しに行ってきました。

今回は名古屋で古書・古本を取り扱っている本屋さんをご紹介します。

ちょっと珍しい本が読みたいな、見たこと・読んだことのない本を見つけたいな……。そんな時は、古本屋さんに足を運んでみてください。絶版になってしまった書籍や貴重な初版品など、一般的な本屋さんではなかなかお目にかかれない希少性の高い本を見つけたり、ワクワクする本に出会えますよ。

江戸時代から残る古書や和装本、
古地図や絵葉書など幅広く取り扱い
「キヨ書店」

地下鉄鶴舞線大須観音駅から若宮大通沿いを西へ7分ほど歩いた場所にある、2015年創業の「キヨ書店」さん。

店主の齋藤さんは、世界一の古物商店街とも言われている東京・神保町、老舗古書店「秦川堂書店」にて約10年ほど修行され、古書物についての知識や取り扱い方などを学ばれました。

古書とは、すでに絶版となってから年数が経過し、希少価値が高い書物のこと。歴史的価値も高く、一般書店ではなかなかお目にかかれません。

店舗正面は全面ガラス戸になっているため、店内の雰囲気が外からわかりやすく、初めて来店されるという方も入りやすいデザイン。木のフレームが景観に馴染みとっても素敵でした。太陽の光が優しく店内に差し込みます。

キヨ書店では、名古屋の郷土資料や交通・産業系書籍、美術系や建築関連などを中心とした古書を多く取り扱っています。時は遡りなんと江戸時代や明治時代の古書から紙もの・浮世絵といった貴重な資料がずらりと並びます。今回は特別に商品を見せていただきましたので、早速ご紹介していきます。

和字絵入 往生要集

比叡山延暦寺のお坊さん、恵信僧都源信(えしんそうずげんしん)が平安時代に書いたと言われている仏教書。そこに書かれている内容を抜粋し、ふり仮名や挿絵が入ったものがこの「和字絵入往生要集」です。

内容は、極楽往生するためには、どうすればいいのかを説いたものなんだそう。地獄物語(上)・六道物語(中)・極楽物語(下)の3巻からなる江戸時代後期に出版されたとても貴重な本です。題箋(タイトル部分)の状態が良いものは希少価値が高いそうですよ。

地獄物語(上)

生前の罪を裁く地獄の神様、閻魔大王が裁判をしている様子でしょうか。鬼がいたり、観音菩薩さまのような首が祀られていたり……、地獄の恐ろしさが描かれています。

鉄瓶でしょうか、熱湯を注がれて苦しんでいる様子。左の鬼の表情は少し穏やかにも見えて、逆に恐ろしさを感じます。

余談ですが、地獄には熱地獄と寒地獄の2種類が存在し、それぞれに大地獄と小地獄があるといわれています。大地獄は8個、その大地獄にはそれぞれに16個もの小地獄があるそうですよ。大地獄8個と小地獄各8×16を合わせると136個。さらに熱と寒をあわせて、なんと地獄の種類は272個も存在するそうです……。

地獄に落ちたら、これはもう、逃げ道なし。ちなみに一番苦しいといわれているのが阿鼻地獄。四字熟語の阿鼻叫喚の語源はこの阿鼻地獄と叫喚地獄から来ているといわれています。

地獄の種類が表記されていますね。火末虫と書いてあります。ここは阿鼻地獄にある小地獄のひとつで、ありとあらゆる病気にかかる地獄だそうです。全身から無数の虫が湧き出し肉や骨を食い尽くしてしまうそう……。

8大地獄のひとつ、大焦熱地獄。

「地獄」という世界・概念を鮮明に表現した往生要集。当時読んだ人たちには、かなりの衝撃や影響を与えたのではないでしょうか。非常に興味深い古書でした。現代語訳版も発売されているので一度読んでみようと思います。

和装本

和紙をひもで綴じ、日本の伝統的な製本法によって制作された本です。下段にある「青楼美人合姿鏡」を見てみましょう。

浮世絵師・北尾重政と勝川春章による競作、吉原の遊女たちの艶姿を描いた錦絵本。明和(江戸時代)以降に広まった多色で刷られた精巧な木版画のことを、錦絵といいます。

多いときには10色以上の色を重ね刷る版画は、まるで錦織のように美しいことから錦絵と呼ばれるようになったそうです。中身を見せていただいて本当に驚きました!数百年前のものとは思えないほどの色鮮やかさと美しさ。つい見惚れてしまいました。

当時の書物や浮世絵には和紙が用いられているため、数百年と経過した現在でも美しく色あせることがないそうです。洋紙の寿命が100年といわれている中、和紙はなんと1000年持つともいわれています。

豆本

お次はこちら。とっても可愛い手のひらサイズの本、「豆本」です!海外では16世紀ごろに流行し、日本でも江戸時代の後期から娯楽用として盛んに作られたそうです。なんとなんと、本の中身もしっかりと印刷されているんですよ。

手のひらより小さい。

さらに小さい!

聖書や学校の教科書や日記など、種類もさまざま。豆本をコレクションしている方も多いそうです。ミニチュアってなんでこんなに心ときめくのでしょうか……。

他にも古地図や浮世絵などをたくさんご紹介いただきました。教科書や写真でしか見たことがないような商品を実際に見せていただき興奮しました。
キヨ書店では、店頭・ネット販売のほか、「百本百般・誠実買取」をモットーに、丁寧な査定・買取りも行っています。ISBNコードのない古い本をはじめ、さまざまな分野に対応。古書だけではなく骨董や美術、生活に関わる印刷物(絵葉書や浮世絵、掛軸など)もOK。もう捨ててしまおうかな……と検討中の商品をお持ちの方、手放してしまう前にぜひ一度キヨ書店にご相談してみてくださいね。

齋藤さん、ご協力いただきありがとうございました!

【キヨ書店】
住所:名古屋市中区大須1丁目5-38
電話番号:052-231-0994
営業時間:12:00~18:00
定休日:火曜日、不定休(詳しくはお問い合わせ下さい。)
HP:http://www.kiyo-books.jp
Twitter:@kiyobooks

建築・デザインなどアートブックを取り扱い
東区「LIEB BOOKS(リープブックス)」

次にやってきたのは東区葵にある「LIEB BOOKS(リープブックス)」さんです。

地下鉄桜通線車道駅を下車、桜通沿い徒歩5分ほど。お店の近くには大塚屋本店があったり、街路樹が並ぶ通りがあったりと、緑も多くとても気持ちの良いエリアです。

店舗は三光ビルの2階。階段を上がるとすぐにお店の入り口が見えてきます。

白い壁とガラス窓がとってもおしゃれでシックな雰囲気。どんな本と出会えるのか、期待が徐々に高まります。

お店に一歩足を踏み入れると、日常からかけ離れた特別な空間に引き込まれます。どこを撮っても絵になる店内は、スタイリッシュ、そして優雅さを感じます。



LIEB BOOKSでは写真集や美術書、建築・ファッション・デザイン関連の書籍を和洋問わず取り扱っています。店主の牛田さんが、一冊一冊丁寧に書籍を管理しています。全国から買取り依頼多数、宅配・出張買取りも行っていますよ。

おしゃれなだけではなく見やすさも考慮されたレイアウト。

和・洋問わず気になるアートブックや書籍がたくさん。

所々に置かれたインテリアがとっても素敵でした。また、お店の隣にあるアートギャラリースペース「NAO MASAKI」さんでは、さまざまなアーティストの方たちによる作品の展示会が随時開催されています。おすすめ書籍や定休日情報は公式インスタグラムでお知らせしているので、是非チェックしてみてくださいね。

【LIEB BOOKS (リープブックス)】
住所:名古屋市東区葵2-3-4 三光ビル2F
電話番号:050-5328-7197
営業時間:13:00~19:00(月曜日は17時まで)
定休日:火曜日、不定休
HP:https://www.liebbooks.com
Instagram:liebbooksで検索

愛知県名古屋市出身、岐阜在住。広告代理店で営業編集を経験。現在は仕事の傍ら、ライターとして執筆活動中。趣味は漫画・アニメ・映画をみること。音楽を聞くことも大好きで、レコードやCDをこつこつ収集中。

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