【スウェーデンの暮らし】レトロなデザイン 1910年頃のスウェーデンの小売店

2018.11.20
レトロな看板

緑豊かな大自然、おしゃれなインテリア、ゆったりと流れる時間。北欧の暮らしって憧れますよね。特集「スウェーデンの暮らし」では、現地からリアルな北欧の暮らしをお届けします。紹介してくれるのは、スウェーデン在住のライター新谷 友海さんです。今回は、1910年頃のスウェーデンの小売店をご紹介します。


肌寒いながらもとても晴れた秋の日、貴重なものを展示してある市内の野外博物館へと足を運びました。LANTHANDELN UTSTÄLLNINGでは、1910年頃のスウェーデンの小売店で実際に使われていたもの、売られていたものが展示してあります。

 

エントランス

 

こちらがエントランス。Välkommen in(どうぞ中へ)と書いてあります。では中に入ってみましょう。

 

古いレジ

 

入ってすぐが、こちら。とても古いレジが置いてあります。

 

奥にはポストカードが並びます。スウェーデンでは誕生日やクリスマス、イベントごとに親子や恋人、友人間でポストカードを送り合う事をよくします。そのため、今でもレジ周りに様々なシチュエーションに合わせたポストカードがたくさん置いてあるのですが、昔から変わっていないんですね。

 

古いレジ


レジを近くで見てみましょう。

 

こちらはアメリカのオハイオ州デイトンのカンパニーで製造されていたレジのようです。この会社は1884年に設立され、当時はこのようなレジを製造していましたが、現在はハードウェア・ソフトウェア開発をしているNCRという企業となっています。

 

こちらのレジ、本体右手側にはレバーがついていたりアルファベットがついていたり……どうやって使用していたのか想像をするとなんだかワクワクしてきますね。右上、値段は64クローネ6オーレと表示されています。現在のレートで1,000円弱程でしょうか。ちなみに、オーレという位はクローネの端数として数年前まで使われていたのですが、現在では無くなっています。

 

レトロな電話

 

そしてレジの奥にあるのがこちらの電話。とてもレトロです!使っているところを見たことがあるのは映画の中くらいでしょうか。

 

こちらの電話は、ここの店主がメインで良く使用していたそう。電話機の詳細はわかりませんが、STOCKHOLMと書いてあるので当時はストックホルムの交換手が電話を取り次いでくれていたのでしょう。

 

看板


そして壁には看板が沢山飾ってあります。パキッとした原色を使ったものが多いのでどれも目を惹きますね。ポストカードなんかにしたら、大変レトロでオシャレなデザインになります。

 

こちらも詳細がわからないのでそれぞれ何の看板か正確には不明なのですが、読んでわかるものですと……右中央の赤いものは「TVÄTT BJÖRN (アライグマで洗う)」とありますので恐らく洗剤か石鹸。そして中央右上、女性の絵が描かれているものは「TVÅLFLINGOR(石鹸のフレーク)」とあるので洗剤ですね。その下の青いものは「CHOKLAD&CACAO(チョコレートとカカオ)」とあるのでチョコレート屋さんでしょうか?中央左黄色いものは靴の絵があるので靴屋さん、その上は「MARGARIN」とあるのでマーガリン屋さんでしょう。

 

レトロな看板


他には、こんなものも。

 

こちらも詳細はわからないのですが、左側はコーヒーを持った女性の絵ですのでコーヒーの看板(スウェーデン人はコーヒーが大好きで、本当によく飲みます!)、右側は絵からは想像がつかないのですが、UTROTA FLUGOR MYGG OCH MAL MED......とあるので、恐らく虫やカビに使用する清掃剤や除虫剤の看板かなと思います。商品名は「FLIT」。

 

こちらもデザインがとても素敵ですね。

 

棚

 

さて、こちらはとても趣のある棚です。スパイスなどパウダー状の品物を入れていた棚でしょう。お客さんから注文が入ると、ここから出して販売していたんでしょうね。

 

棚の引き出しにはKorinter(すぐり)、Saffra(サフラン)、Kardemumma(カルダモン)、Kanel(シナモン)、Nejlikor(ナデシコ)、Lakrits (リコリス)、Kandisocker(キャンディーシュガー)、Pomerans(ダイダイ(柑橘系、ミカンの一種))、Muskot(ナツメグ)、Fenkol(フェンネル)、Kummin(クミン)などなど。

 

ナデシコは何に使用していたのか、気になるところです!

 

リコリスといえば、欧米で人気のフレーバーの1つですが日本人には苦手な味として有名です。見た目は真っ黒、リコリスの根とアニスオイルで味付けされたなかなかインパクトのあるフレーバーです。スウェーデンには様々なリコリスフレーバーのお菓子が食べられているので、また別の機会にご紹介したいと思います。

 


最後にこちらは当時の店内の様子。現在もスウェーデン中にある大手スーパーチェーン店のICAだそうです。ICAはどこの街にもあるので、スウェーデンへ来た際は是非入ってみてください。

 

当時の店主はThorgren(トーグレン)といい、当時お店と併設してオフィス・キッチン・ラウンジがあったそうです。

 

 

こちらは当時のお店の入り口の様子です。

 

100年も前のスウェーデンのお店で使用されていたものやお店の様子、いかがでしたでしょうか?100年といえば、日本ですとかなりガラッと変わっていて面影も無いくらいの所や物がほとんどですが、スウェーデンは日本ほどの大きな変化はありません。建物も、自然災害が無いせいもありますが、100年前築の建物は珍しくありません。

 

最後のお店の外観の写真も、人とお店は変われど建物は今も全くこのまま残っています。建物は面影を残したままゆっくりと歴史を刻み、人々だけが変っていきます。

 

スウェーデンでは、きっともうあと100年経っても、今とあまり違わない景色が見れるのだろうなと思います。

 

【profile】新谷 友海
愛知県一宮出身。2007年1月よりスウェーデン在住。日本でプロボーカリストとして音楽活動に励んだのち、現在はフリーランスデザイナー、ライターとして活動中。スウェーデンから、リアルな北欧の暮らしを季節の写真とともにお届けします。