1964年創業の老舗陶磁器メーカーである光洋陶器から、うつわの複合体験施設「KOYO BASE(コウヨウベース)」が2023年1月にオープンしました。
光洋陶器で生産されたうつわを使用したカフェ、購入できるショップ、体験教室、製造工程が学べる工場の4つのスペースがぎゅっと詰まった複合施設です。
今回は、岐阜県土岐市に新たに誕生した体験スポット「KOYO BASE」をたっぷりとご紹介します。
※情報は取材時のものです。
ご利用の際には、各施設・各店舗の最新情報をご確認ください。
目次
「うつわの産地である土岐で、土から食卓までを、もっと知ってもらいたい」
という想いから始まったプロジェクト
多治見ICから車で約10分ほど走り、大通りから少し脇道に入って坂を登ると、光洋陶器の工場に併設された「KOYO BASE」が見えてきます。
工場の一部を改装した「KOYO BASE」。2階に、カフェ&ダイニング・ショップ・ワークショップの3つのスペースがあります。
1階のエントランスには、1970年に製造された当時のうつわが飾られており、光洋陶器の歴史を感じさせてくれます。
小高い丘の上にある施設のため、窓からは緑豊かな土岐市の街並みが楽しめるのも魅力です。天井は高く開放的で、ベージュ色を基調とした内装と家具。非現実的な空間に思わずうっとりします。
今回は、素敵な笑顔で出迎えてくださった広報担当の吉永さんにお話を伺いました。
– 施設の概要を教えてください。
吉永さん:「うつわを通じて、食べる・買う・楽しむ・学ぶという4つの項目をそれぞれ体験できる施設です。
”食べる”では、併設の工場で生産されたうつわに盛られた料理を、カフェ&ダイニングで楽しんでいただけます。”買う”では、カフェ&ダイニングで実際に使用しているうつわや、季節によって変わる商品などをショップにて購入可能です。”楽しむ”ではワークショップでうつわの絵付けや転写シートを貼ってオリジナル食器作りの体験をしていただけて、”学ぶ”では工場内を見学していただけます。
これらの4つの体験が一度にできる施設であること、土から練られてうつわができるまでの全工程が見られる工場を見学できる点は、弊社ならではの魅力です。」
– 施設をオープンされたきっかけとは?
吉永さん:「2019年に、伝統産業のスマート化を実現した企業に贈られる”スマートファクトリーアワード2019”を受賞したことがきっかけです。これまでは、関係者や取引先にのみ工場を視察していただいていましたが、社内から『一般の多くの方にも工場内を見ていただきたい』と声が上がったことからプロジェクトがはじまりました。
2020年にコロナ禍になってしまい、プロジェクトが練り直しされましたが、そこでさらにカフェやワークショップなどのアイデアが生まれ、複合施設への立ち上げとなったのです。」
岐阜県の地元食材を使用した
料理とうつわが楽しめる
カフェ&ダイニング「CLAY Table」
「KOYO BASE」の”食べる”を体験できるのが、カフェ&ダイニング「CLAY Table(クレイテーブル)」。美しい光洋陶器のうつわに盛られ、岐阜県の地元食材が使用されたこだわりのメニューが楽しめます。
野菜は、岐阜県土岐市にて湧き水と微生物肥料を使用して栽培しているファームレガーロさんの野菜をおもに使用しています。有機微生物肥料を使って育てられた野菜で、甘くて濃い野菜の味が堪能できます。
今回は、吉永さんのおすすめメニューをご紹介します。
鰆のハーブパン粉焼きとお野菜のセット
こちらは春の新メニュー。四季にあわせたメニューも展開されているのが魅力です。うつわも春らしく鮮やかな優しい色で料理を引き立たせてくれています。
主菜の鰆のフレッシュハーブパン粉焼きには、春キャベツソースが敷かれ、食用花が添えられ、目でも楽しめます。
汁物のお出汁には、すべて国産である4種類もの削り節を使用。香り豊かな味わいです。郷土の味ごはんは、小さなうつわに入っている具材を、ごはんと混ぜて食べる東濃地方の郷土料理です。
農園野菜のスパイスカレー
お重になってるうつわの上段には副菜が、下段にはスパイスカレーが盛り付けられているメニューです。うつわを開けるときのワクワク感がたまりません。
副菜のお野菜には、季節野菜のフリットが添えられています。取材の日は、菊芋のフリット。菊芋は、あっさりした味わいで、食感が楽しい野菜です。スパイスカレーは、トマトをベースに数種類のスパイスを配合。飛騨高山豚のお肉がゴロゴロと入った食べ応えのあるカレーです。スパイスカレーには、小麦粉をまったく使用しておらず、ヘルシーに仕上げられているのも嬉しいポイント。
ORIGAMI Cup 飲み比べセット
こちらは3種類の飲み口が異なるORIGAMI Cupで、1つのコーヒーの味の違いを味わうセット。飲み口によって、コーヒーが舌に触れる場所が変わり、その場所によってコーヒーの酸味・甘味・風味がそれぞれ楽しめます。ぜひ陶磁器メーカーならではのカップで、味の違いを楽しんでみてください。
濃厚焦がしチーズケーキ
デザートも店内で毎日焼き上げている手作りのもの。国産の小麦を使用した優しい甘さのチーズケーキです。何個でも食べれそうな飽きのこない美味しさ。
ぜひ「CLAY Table」で、うつわと料理を同時に楽しんでみてくださいね。
「BASE Shop」人気ブランドをご紹介!
ショップ「BASE Shop(ベースショップ)」では、うつわを実際に手にとって”買う”ことが可能です。こちらのショップでは、光洋陶器が展開している6ブランドのなかから、4ブランドが取り扱われており、季節やシーンごとの商品や、カフェ&ダイニング「CLAY Table」で使用されているうつわが販売されています。
吉永さんに、「BASE Shop」での人気ブランドをご紹介いただきました。
ORIGAMI
吉永さん:「こちらはコーヒーのドリンクウェアのブランド”ORIGAMI”です。コーヒーを淹れるためのドリッパーやカップを展開しています。
バリスタの世界チャンピオンが、”ORIGAMI”のドリッパーを使用して優勝した経緯もあり、世界からも愛されている人気ブランドなんです。」
Roots
吉永さん:「“Roots”はさまざまな国のルーツに沿って展開されているブランドです。一般の家庭でも扱いやすいデザインになっています。こちらのショップではカフェ&ダイニング「CLAY Table」で使用されたうつわがとくに人気なんです。そのなかでも、カレー皿として使用している『蓬莱』シリーズの売れ行きが好調ですね」
自宅用としても贈り物としても最適な光洋陶器のうつわ。ショップで実際に手にとって触れられるのも嬉しいポイントですよね。
好きなデザインを施してオリジナルのうつわを楽しむ
「BASE Studio」
”楽しむ”を体験できるのが、ワークショップ「BASE Studio(ベーススタジオ)」。1日に2回ワークショップを開催しています。
素焼きのうつわに、専用の絵の具を用いて好きな絵や文字を描く『絵付け体験』と、20種類以上の転写シートから好きなデザインを自由に選んで貼り付ける『転写体験』が受講できます。
今回は転写体験の手順を見せていただきました。
まずは、お好きな素焼きのうつわと、20種類以上ある転写シートから好みのデザインを選びましょう。デザインを入れたい場所に転写シートを合わせ、水を含ませた筆で、スーッと貼り付けるように転写シートをなぞります。
転写シートをゆっくり剥がすと、うつわに絵や文字が写ります。
絵付けや転写がされたうつわは、工場にて本焼きされてから、約1ヶ月後には自宅に届きます。
とっても簡単なので、お子さんにも気軽に楽しんでいただけるワークショップです。絵柄だけでなく、文字や数字も入れることができます。思い出作りや、メッセージを添えて大切な人への贈り物にもおすすめ。事前予約も可能なので、ホームページをぜひチェックしてみてくださいね。
土を練るところから完成までの全行程を見学できる
「KOYO Factory」
「KOYO Factory(コウヨウファクトリー)」では、製造工場の全行程の見学が可能です。(月)(木)(金)の1日に2回、開催されています。こちらの工場では、職人さんの技術と機械が効率よく融合されており、1日に1万個以上のうつわが生産されています。
まずは機械でうつわのもとになる土を練り、棒状にカットしていきます。
次に、専用の型に練った土を入れ、機械によって成形していきます。機械では難しい形は、職人さんの手によって成形されていきます。
成形されたうつわは人の手で効率よく焼けるように並べられ、800度の温度で素焼きします。
素焼きされたうつわに絵付けや印刷をおこない、釉薬を塗っていきます。。
最後に1320度の窯で焼いて、うつわが完成です。
ガイドさんの案内で練った土や道具に直接触れられたり、検品作業の体験がおこなえたりできるのも、工場見学の魅力の一つです。見て触ってうつわのすべてが学べます。
このように、私たちが毎日のように使っているうつわが仕上がるまでの工程は、新しい発見ばかりで興味深く、見学が終わったときには、うつわをより愛しく思えるようになりますよ。
「KOYO BASE」は、うつわのすべてが体験できる素敵な施設。ランチやカフェタイムを楽しんだり、うつわを購入したりするだけでも気軽に通えます。ぜひ足を運んでみてくださいね。