個人作家でもない。大きなメーカーでもない。“第3の陶芸”のあり方。「3RD CERAMICS(サードセラミックス)」
目次
新たな第三の切り口
長屋さん:「基本的に3RD CERAMICSの商品は、ろくろでつくっています。ろくろでひいているので、どうしても個体差が出てきてしまいます。出てきてしまうというよりは、一個ずつ違うことがむしろ長所になるものづくりをしていきたいなと考えています。」
素焼きの状態のマグカップ
アトリエにある窯で焼き上げます。
長屋さん:「そうした中で、最近新しいつくり方をはじめました。それがこの「MPマグ」です。このマグカップは、素焼きの状態まで、地元のメーカーさんに制作を依頼しています。これに自分たちで調合した釉薬をかけて、自分たちの窯で焼くというスタイルのもの。今後はこのスタイルも伸ばしていきたいなと思っています。第3の切り口というのは、こういうところにあるんじゃないかなって。
制作できる個数もすごく増えますし、コストも下がるので、比較的お手頃な価格で提供ができます。より身近に、日常の中で、僕らの陶芸を楽しんでもらえたらうれしいですね。」
長屋さん:「そしてこのマグカップでは、「炭化」という技法を使ったシリーズも制作しています。「サヤ」という容器に、炭やもみ殻と一緒に入れて窯で焼きます。そうすると、炭素が陶器に吸着して、ランダムに色がつきます。ちょっとした温度差で、炭素が吸着したり、色が飛んだりするので、一つ一つ表情が違うんです。
こうした技法は、手間もかかりますし、個体差が出るので、大きなメーカーさんではほとんど取り扱われていません。僕らの第3の切り口としては、こうした技法なども、取り入れていけたらと思っています。」