名古屋市美術館開館30周年記念 『アルヴァ・アアルト もうひとつの自然』展に行ってきました。

2018.12.26
アアルト展

2018年12月8日(土)~2019年2月3日(日)まで名古屋市美術館で開催されている「開館30周年記念 アルヴァ・アアルト もうひとつの自然」展。今回、一足先に見学をさせていただきましたので、見どころを交えながらご紹介していきます!

 

Alvar Aalto
アトリエのアアルト 1945 年©Alvar Aalto Museum photo: Eino Mäkinen

 

まずは、アルヴァ・アアルトがどんな人物なのかを簡単にご説明いたします。

 

アルヴァ・アアルト(1898年2月3日 - 1976年5月11日)は、フィンランドで最も愛される建築家・デザイナーです。母国フィンランドの伝統的な素材である木材を取り入れることで、モダニズム建築に自然の要素を取り入れ、人々の暮らしをより良くする建築や家具デザインなどを追求しました。

 

パイミオのサナトリウムやマイレア邸は建築における有機的な形態と素材の優れた相互作用を体現し、《アームチェア 41 パイミオ》や《スツール 60》は近代家具の展開に画期的な役割を果たしました。そして、ガラス器《サヴォイ・ベース》は、フィンランド・デザインのシンボルになっています。

 

生誕から120年、多くの展示作品は50年以上前にデザインされたにも関わらずまったく古びれることなく、現在まで私たちを魅了し続けています。本展では、そんなアアルトの魅力を改めて再発見することができます。


それでは早速見ていきましょう。

教会 椅子


本展では、アアルトの初期の作品も多く見ることができます。ユバスキュラ時代(1923-27)のアアルトは、多くの教会の設計および修復を手がけています。現在のアアルトのイメージとはかけ離れた、新古典主義といわれるイタリア・ルネッサンス調の装飾的モチーフが繰り返し用いられています。

 

上記の写真にある椅子は、ムーメラ教会の聖具室のためにデザインした椅子。曲げた鉄のフレームを用いたデザインは、後の曲げ木の技術にも通ずるものがあります。

 

バウハウス

 

舞台美術


バウハウスのモホリ=ナジ・ラースローの影響を受けていたアアルトは、グラフィックデザイン・写真・映画・現代劇にも関心を持っていました。このことから、この時代には舞台装置やポスターも手がけています。ポスターは作品に登場するアフリカの彫刻をモチーフにアアルトが描いたもの。本展では、当時の映像を一部見ることができます。

 

アルミンリンケ

 

 

 

アルミンリンケ


今回の展示会で特に気に入ったのが、ドイツ人写真家アルミン・リンケ氏が本展のために特別に撮影したアアルトの建築写真です。アルミン・リンケ氏のフィルターを通すことで、作品がより一層素晴らしく、美しくなるのを感じました。

 

パイミオのサナトリウム

パイミオサナトリウムの設計において、照明器具・洗面器・ベッド・扉の取っ手などもアアルトによるデザインです。

 

本展の最大の見どころは、「パイミオのサナトリウム」の病室の一室が再現されていることです。アアルトの出世作ともいえるパイミオのサナトリウムは、北欧におけるモダニズム建築が注目されるきっかけにもなりました。

 

1933年、当時流行していた結核で患った人のための療養所として建設。結核で患った患者の心を少しでも癒せればとの想いから、患者のことを第一に考えられた設計が随所に施されています。

椅子アアルト

 

有名なパイミオチェアをはじめ、アルテック初期の作品はこのパイミオサナトリウムのためにデザインされたと言われています。この椅子が誕生した背景には、アアルト自身が設計中に入院生活を経験したことにあります。

 

当時、病室やベッドなどの設備はすべて横たわる患者のために設計されておらず、立った人の立場で設計されていました。その経験から、パイミオチェアでは、背もたれに角度をつけることで、患者が座ったときに呼吸が楽になるよう設計されています。

 

曲げ木

 

木の曲げ木


アアルトは、1929年から曲げ木家具の技術を学び、1933年からは作品として、曲げ木のレリーフも制作しています。

 

アルテック

 

1935年には妻でありデザイナーでもあるアイノ・アアルトら4人で「Artek(アルテック)」を設立。アルテックとは、「アート」と「テクノロジー」を掛け合わせた造語です。「より良いものを毎日の生活に」をコンセプトに、アートとテクノロジーを融合さることで、工業製品化された作品を日常生活へ提供することを目指しました。大量に生産できるようにしたアルテックの技術は創業から80年以上経った今でも世界中で愛されています。

アルテック 椅子
2階のギャラリーでは、アアルトがデザインしたさまざまなオリジナル家具を見ることができます。

 

スツール60

 

こちらは、1933年に発表されてから現在に至るまで、800万脚以上も生産された「stool 60(スツール60)」。北欧家具を象徴する名作椅子です。

 

その特徴は、「アアルトレッグ」と呼ばれる柔らかな曲線を描く脚部。余計な金具を使わない特殊な加工技術で成形しています。この技術は無垢材の脚部の上部に切り込みを入れて、薄い板を挟み加圧することで誕生しました。今から80年前にデザインされたとは思えないほど、洗練されています。スタッキングをしても美しいので、普段はお部屋の隅に重ねておいてもいいですよね。

 

アアルト照明

 

アアルトは照明器具もいくつもデザインしたことで知られています。日照時間が短く、冬の長いフィンランドだからこそ、照明器具は暮らしの中で重要な役割を担っています。

 

部材
本展では、脚部やドアハンドルやレンガなど部材だけの展示もされていました。

 

模型
こちらのエリアでは数々の建築模型が並びます。

 

設計図

模型台は引き出しになっています。中を引き出すとドローイングがでてきますよ。それぞれの台が引き出しになっているのでチェックしてみてくださいね。

 

座れるアアルト

 

椅子

 

アアルトは、サナトリウムだけでな、さまざまな建築物も手がけています。本展では、模型や設計図、スケッチといったものまで見ることができます。スケッチの段階ですでに完成形ができ上がっている点もとても驚きました。


館内には、アアルトの家具を体感できるコーナーも設けられています。実際に座ったり触れたりすることで、家具の良さを体感できます。

 

アアルト グッズ
本展限定のアイテムも販売しているので、この機会にチェックしてみてくださいね。


20世紀の北欧を代表する建築家・デザイナーであり、アルテック創始者の一人でもあるアルヴァ・アアルト。2014年9月にドイツのヴァイルアムラインにあるヴィトラ・デザイン・ミュージアムでスタートした本展。日本では約20年ぶりとなる本格的なアアルトの回顧展です。滅多に見ることができない初期の作品から家具、照明器具、模型といった約300点の展示で構成されており、今回ご紹介した以外にもガラス食器や映像作品など、幅広くアアルトについて知ることができます。

 

アアルトが好きな方はより深く。知らない方でも一度は見かけたことのある作品からアアルトを知るきっかけに。どんな方でも楽しんでいただける展示になっています。

 

ぜひ会期中に足を運んでみてくださいね!

 

 

展覧会名:名古屋市美術館開館30周年記念 アルヴァ・アアルト もうひとつの自然
会期  :2018年12月8日(土)~2019年2月3日(日)
休館日 :月曜日(ただし12月24日[月・休]、1月14日[月・祝]は開館し、12月25日[火]、1月15日[火]は休館)、12月29日[土]から1月3日[木]
開館時間:午前9時30分〜午後5時 金曜日は午後8時まで(入場は閉館の30分前まで)

 


主催:名古屋市美術館、読売新聞社、美術館連絡協議会、中京テレビ放送 協賛:ライオン、大日本印刷、損保ジャパン日本興亜、インターオフィス 協力:ルフトハンザ ドイツ航空、ルフトハンザ カーゴ AG、名古屋市交通局 後援:フィンランド大使館、愛知県・岐阜県各教育委員会、名古屋市立小中学校PTA協議会