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健康志向や環境汚染への懸念、倫理観の高まりなど、価値観やライフスタイルの転換期を迎えている近年。美容の分野からサステナビリティに挑む、スキン&マインドケアブランド「BAUM(バウム)」が誕生しました。
東京に続き、東海エリアでは「BAUM タカシマヤ ゲートタワーモール店」が6月にオープン。すでに多くのファンから注目を集めています。
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今回は、BAUMのグローバルブランドマネージャー西脇文美さんにインタビュー。BAUMが構想された背景や、これからの展望についてお話を伺いました。
さらに後半では、美容ライターの筆者が実際にBAUMのアイテムを使った感想をご紹介します。
BAUMのはじまりは、「新しい豊かさ」から
2020年6月に資生堂から新たに発売された、新発想のスキン&マインドケアブランド「BAUM」。洗顔料やローション、オイル、エマルジョンなどのスキンケアアイテムに加え、ルームスプレーやアロマキャンドルなどのリラクゼーションアイテムが揃います。BAUMはどのような背景から誕生したのでしょうか。
西脇さん:「近年『豊かさ』という言葉は、自分の存在意義や社会とのつながりといった、精神面が満たされる意味合いを持つようになったと感じています。『単に消費して終わりではなく、自分の選択が、より良い未来を創るものあってほしい』……そんな新たな価値観を持つ方たちに賛同していただきたいという想いから立ち上げたブランドです。」
ユーザーと共有したい、BAUMの理念
BAUMがコンセプトに掲げるのは「樹木との共生」。樹木の恵みを余すところなく受けとり、その資源を未来へとまたつないでいくことを柱としています。樹木をブランドの中核に据えた理由を、西脇さんはこう語ります。
西脇さん:「樹木は昔から私たち日本人の生活になじみ深く、その恩恵を受けながら今日まで大切につないできた資源です。『循環する資源』を象徴する樹木は、消費者に分かりやすく『サステナビリティ』という概念を伝えられるモチーフになると考えました。」
西脇さん:「加えて、樹木は何百年、物によっては何千年と生きる生命力を持ちます。この生命力を、肌をすこやかに保つことに応用できるのではないか、という発想に至りました。
樹木の恵みにより、美しい肌や豊かな生活を手に入れる。これを実感することで感謝が生まれ、自らが樹木資源を未来へつなぐことに参加する。樹木を森へと還すところまでがBAUMの提供する活動です。」
肌と心を満たす、樹木のちから
BAUMの製品はパラベン・シリコーン・合成着色料を使用せず、90%以上を自然由来の素材から製造。樹皮だけでなく葉や果実由来の成分も含まれ、まさに樹木の恵みが詰まったスキンケアに仕上がっています。
西脇さん:「樹木が持つ『貯水』『成長』『環境防御』という3つのはたらきは、まさにスキンケアに求められる条件を満たしています。さらに樹木が傷ついたときに発生する揮発性物質「フィトンチッド」には殺菌効果や防腐効果があるとされ、心身を深いリラクゼーションへとみちびく効果も期待されています。」
「プレステージ」と「サステナブル」を兼ね揃えるパッケージ
プロダクトデザイナーの熊野亘さんが手掛けた、ユニークなパッケージもBAUMの特徴。
「ハイドロ エッセンスローション」、「モイスチャライジング オイル」、「モイスチャライジング エマルジョン」のボトルは、木製のパーツを取り外してレフィルをつけ替えることができます。さらにレフィルボトルには環境に配慮した「バイオペット」を一部に使用し、サステナビリティを徹底。
西脇さん:「BAUMの思想をプロダクトで体現するために、当初から容器に樹木を使いたいという気持ちがありました。問題は、どのような樹木を使うのか?ということ。サステナブルな方法で調達できなければ意味がないと思う一方で、品質にもこだわりたいという想いもありました。」
いろいろと模索するなかで、愛知県の高級家具メーカー「カリモク家具」の端材に着目。家具に使われるほど良質なオーク(ナラ)の無垢材を使うことにより、これまで家具には活用しきれなかった小さな木材に新たな付加価値を与えるサステナビリティ性と、プレステージ製品としてのクオリティの両立が叶いました。」
樹木から恩恵を受けたあとは、森へ還す活動を
そして、BAUMの最もシンボリックな活動が「植樹」です。BAUMのパッケージには、東北地方で育った木目の柔らかいオーク材が使用されています。この恵みに感謝し、BAUM全店舗ではナラの苗木を育成。植樹の準備ができたものから、岩手県にある「BAUMの森」に植えていくのだとか。
西脇さん:「BAUMのアイテムを使うことが、結果として樹木資源の還元につながっている。そのことをお客さまにより実感していただくために、店頭で苗木を育てています。」
1回目の植樹は、2020年の秋口に行われる予定。約10年という歳月をかけて、2ヘクタールの森をナラの原生林に育てていくそうです。
年輪のように広がる、サステナビリティの輪
BAUMでは紙ゴミの排出を懸念し、リーフレットや紙のショッパーバッグ廃止。持ち帰り用の袋が必要な方に向けて、エコバッグを販売しています。またギフト資材に関しても、パソコンケースとしてリユースができるギフトバッグを採用。
西脇さん:「長く使って貰うためには、お客さまに『買いたい』『使いたい』と思ってもらえるようなデザインでなくてはいけません。メーカー側の自己満足になってしまわないよう、アイテムのデザインにもこだわりました。」
BAUMの概念を日本から世界へと発信
最後に、西脇さんにBAUMのこれからについて伺いました。
西脇さん:「BAUMが行っている活動は、世界のユーザーにも共感していただける充分なポテンシャルがあると思っています。日本が発信地となり、BAUMの理念が世界中に広がっていくことを期待しています。商品に関しても、新しい香りやアイテムなどを考案中です。カテゴリにこだわらず柔軟に展開していきたいですね。」
インタビューを通して見えてきた、新しい化粧品の在り方。わたしたちは、肌をすこやかに保つと同時に、生活を豊かにするスキンケアを選べる時代になりました。
BAUMは、まるで樹木のように長く人々に寄り添ってくれることでしょう。