愛知県日進市のある「五色園」は、20万坪もの敷地をもつ、日本で唯一の宗教ワンダーランドです。何が珍スポットなのかと言うと、園内には名古屋出身のコンクリート造形家・ 浅野祥雲（あさのしょううん）が手掛けたコンクリート像が100体以上置かれているんです。

五色園へのアクセス

五色園があるのは、愛知県日進市。名古屋中心地から車で30分ほどの場所です。20万坪という広大なお寺の敷地の中に、親鸞聖人の生涯を再現する等身大の像が配置されています。

珍スポットとして名高いですが、「五色園」とは松・竹・梅・桜・紅葉の5種類の樹木にちなんでつけられたもの。桜の名所でもあり、一年を通して四季折々の自然を楽しむことができる場所でもあるんです。

浅野祥雲とは？

園内では、親鸞聖人の生涯や教えにまつわるさまざまなエピソードを塑像によって再現しています。

浅野祥雲氏（1891年-1978年）は岐阜県中津川市の出身。土人形を製作する職人であった父親の影響を受け、土人形製作をはじめますが、土では大きな作品がつくれないことから、コンクリートで制作するように。

33歳のときにつくりはじめたコンクリート塑像は生涯で1,000体以上とも言われ、そのうち800体近くが東海地方に残されています。

代表的なスポットは、ここ「五色園（愛知県日進市）」のほかに「関ヶ原ウォーランド（岐阜県関ヶ原町）」「桃太郎神社（愛知県犬山市）」の3箇所。ファンの間では“浅野祥雲三大聖地”と呼ばれています。

数ある施設の中でも、はじめてテーマ性をもとに大量の人形を手がけた金字塔的施設が「五色園」。なんとも言えない絶妙な表情の塑像たちは一度見たら忘れられない強烈さから、見る人を虜にしています。

それではさっそく行ってみましょう！

五色園は1934年（昭和9年)に、森夢幻（大安寺初代管主）が「視聴覚伝導」をめざして大安寺の敷地内に創設したもの。当時の敷地は今よりもさらに大きく、本堂や寺務所、宿望といった宗教施設の他、温泉や動物園、弓道場なども備えた一大テーマパークでした。

その目玉として制作を依頼されたのが、浅野祥雲氏です。制作は開園の4年前からはじめ、当初は名古屋市熱田区の自宅でつくった作品を牛車に積み、およそ20km離れた現地まで運んでいたのだそう。およそ、10年をかけて制作された塑像の数は100体以上。

園内では、親鸞聖人（浄土真宗の開祖）の名場面を塑像によってあちらこちらで再現されています。

園内は非常に広いので、車移動でもOKです。サファリーパーク感覚で作品を観賞できます。

こちらは親鸞の弟子たちが難しいお題を与えら、仏の教えについて議論しているシーンです。春には桜が満開に咲くので、人形と肩を並べてお花見するのもおすすめですよ。

遅刻でもしたのでしょうか？すごい血相で走っています。焦りすぎて、下駄も脱げてしまってますね。

一体ずつどれも人間味溢れる顔をしているので、表情をよくみてみてくださいね。

月を見ながら宴をしているの様子です。みんなで楽しそうに宴をしているのが伝わってきます。像たちも華やかな衣装に身を包んでいますね。

一際大きい像を発見！

親鸞が、比叡山で不思議な貴婦人と出会い白絹に包んだ玉を授かる場面です。

こちらのは、鈴虫と松虫と呼ばれる女性たちの像。

たまたま通りかかった際に、親鸞の説法を聞いていたところ不審者と間違われて刀を向けられてしまいます。

怖い顔をしていますね。

その後、説法に感動した2人は、頭を丸めて尼になりなす。
この一連の流れが、園内では再現されています。

石を枕にして眠る親鸞。二人の弟子が、笠で日除けをしています。

こちらは「川越の名号」の場面。手前の女性と奥の男性は夫婦です。

名号とは「南無阿弥陀仏」の六字のことであり、親鸞が南無阿弥陀仏と空中に筆をふるうと、川の対岸にいる女性が持っている紙に文字が移るというお話を再現しています。

このほかにも極彩色で彩られた「弁財天」や山を登る「親鸞」など、園内を通じて親鸞の一生を知ることができます。

像はどれも表情が豊かで見ていて飽きません。今にも走り出しそうな僧侶、カマをふりあげる般若など、どれも迫力満点です。

今回ご紹介した五色園以外にも、桃太郎神社、関ヶ原ウォーランドでも浅野祥雲の作品がみられるので、合わせて訪れてみてくださいね。