店主が愛情をこめて作る、手料理と燗酒のマリアージュ「ハチガツヨウカ」

名古屋 中村区 名駅
掲載日:2021.11.01
店主が愛情をこめて作る、手料理と燗酒のマリアージュ「ハチガツヨウカ」

「10人も入れば満員御礼!」という規模の小ぢんまりした酒場が軒を連ね、名古屋の呑んべえたちにはすっかり知られる存在になった「駅前横丁」。

名古屋駅から柳橋の市場を横目に南東方面に進むと、江川線の手前あたりに現れます。地下鉄国際センター駅の利用も便利で、江川線沿いに南へ歩くことおよそ7分です。

2021年8月、このちょっとディープな酒場街に「2階」がオープンしてさらに店舗が増えました。

そのなかでも、特に注目なのが「ハチガツヨウカ」というお店。実はフランスの某有名グルメガイドにも掲載された居酒屋「くいぜ」の姉妹店なのです。

燗酒好きを魅了する「くいぜ」とは?

「ハチガツヨウカ」を紹介する前に、まずは「くいぜ」について少し触れなければなりません。

名古屋市東区に店を構える「くいぜ」は、小澤篤史さんが営む燗酒がメインのお店。小澤さんはとある京都の居酒屋で、鳥取県にある山根酒造場の「日置桜」という銘酒を燗で味わったことがきっかけで燗酒の魅力に気付かされたそう。

「『いい酒=冷酒で頂く』『燗酒=粗悪な酒をお燗して飲む』みたいなイメージがあったんですが、それを機にがらっとイメージが変わりましたね」と話す小澤さん。好きが高じて2017年に「くいぜ」をオープンし、燗酒とそれに合う料理を提案。以来燗酒好きや食通が集まる名居酒屋として、その名を知られています。

駅前横丁の文化に合わせて間口は広く

そんな「くいぜ」の姉妹店として、2021年8月8日にオープンした「ハチガツヨウカ」。燗酒以外にも本店の「くいぜ」にはない冷酒やハイボール、レモンサワーなどのドリンクがそろっているのは少しだけ意外です。

小澤さん:「東区のお店は燗酒が好きなお客さんが狙って来店してくれますが、名駅エリアはいろいろな方がいらっしゃる立地です。駅前横丁内ではしごするような文化もありますし。なので、燗酒推しなのに違いはありませんが、間口を広くしています。でも、『そんなに燗酒推しなら、一度頼んでみようか!』となって、その魅力にいつのまにか気づいてくれる展開も期待しています。」

「くいぜ」のDNAを受け継ぐ店長の真由さん

そんな小澤さんから新店舗を託されたのは、店長の渡部真由さん。

以前は燗酒を意識して飲むことはなかったそうですが、「温度の変化や開栓してからの時間によって、味が変化していく点に燗酒の奥深さを感じています。『教科書』というのはないので、自分でしか答えが出ないのも燗酒のおもしろさですね」と、自分なりの言葉で燗酒の魅力を語る姿はとても素敵です。そこで、真由さん自慢の料理とそれにぴったりなお酒をいくつかペアリングしてもらうことに。

① 八郷+筑前煮

まずセレクトしてくれたのは鳥取県の久米桜酒造の「八郷」(120ml780円)と筑前煮(380円)の組み合わせ。

「八郷」という地域で生産された山田錦を使ってつくられる定番の純米酒で、米の旨味をはっきりと感じられる味わいです。20周年の限定ラベルとして、特別に恐竜のイラストが描かれているそう。

真由さん:「筑前煮は醤油をベースに、しいたけのだしやみりんなど旨みをしっかりと重ねています。こういった料理には、それに負けないほど味がしっかりしたお酒が合うかなと思います」

筑前煮は真由さんのおばあちゃんがつくる味を再現しているそうで、奇をてらわない家庭的な味わい。

と同時に、調味料にとことんこだわっているためか、とても洗練された味付けでもあります。 特に醤油にはこだわっており、小豆島のヤマヒサの醤油を使用。

真由さん:「角が立たず、まろやかな味わいが気に入っています。」

味の決め手となる調味料に一切妥協しないのは、「くいぜ」「ハチガツヨウカ」共通のこだわりです。

② 天穏+きくらげのさっぱり和え

次に提案してくれたのは島根県にある板倉酒造の「天穏 山廃純米」(120ml780円)ときくらげのさっぱり和え(480円)の組み合わせ。

真由さん:「清涼感のある味わいが魅力のお酒でして、やさしいなかに軽快な酸を感じられるのは山廃ならでは。きくらげもごま油に醤油、そして酢で味付けしており、酸に対してお酒のほんのりした酸を足すイメージでセレクトしてみました。」

温度としては60℃くらいまで高めたものを、時間の経過とともに冷ましながら味の変化を楽しむ「燗冷まし」で味わうのがおすすめなのだとか。

③ 日置桜 鍛造にごり+オクラの肉巻き

最後のペアリングは鳥取県山根酒造場の「日置桜 鍛造にごり」(120ml780円)+オクラの肉巻き(480円)。

真由さん:「豚肉の脂の旨味に合うのって、一般的にはビールやハイボールなどの“炭酸系”だと思いますが、麹の強い旨味を感じられるお酒も実はマッチするんです。お互いの相乗効果で立体的な味わいになります。」

それぞれの料理に合う素敵な燗酒との出会いを

「お客さんにはなるべく健康でいてほしい」と話す真由さん。

提供される料理はどれも野菜がたっぷりで、味付けも程よくマイルドです。真由さん自身が朝早くに産直市場に出向き、新鮮な野菜を買い付けているのだそう。ここにもこだわりや心遣いが見られます。

「この地方で燗酒を専門的に扱っているお店はまだ少ないと思うので、気軽に燗酒を楽しみに来ていただける暖かい雰囲気のお店にしたいです」と最後に意気込みを語ってくれました。また、「くいぜ」と同じくナチュールワイン(自然派ワイン)の取り扱いも多く、実はワイン好きにもこっそり教えたい一軒でもあります(グラス880円~、ボトル3,900円~)。

ちなみにこれらの料理やお酒は常時あるとは限らず、日替わりの品も多いとのこと。

「私の食べたいものを作ります。リクエストはお受けします(笑)」と真由さん。その日ごとに料理は異なるようですが、きっとそれぞれの料理の魅力を高めてくれる素敵なお酒との出会いに導いてくれるはず!

スポット詳細

【ハチガツヨウカ】
住所  :愛知県名古屋市中村区名駅4-22-8 駅前横丁ビル202
電話番号:非公開
営業時間:17:00~22:05(土日祝13:00~16:00、17:00~22:05)
定休日 :不定休※Instagramをご確認ください

https://www.instagram.com/hachigatsuyoka/

名古屋市在住の編集・ライター。旅、グルメ、温泉、レジャーを中心に様々なジャンルの記事を執筆している。とくに国内旅行はライフワークであり、全国津々浦々を探訪。地のおいしい食材との出会いを楽しみにしている。旅先ではお酒を嗜みたいため、基本は鉄道移動。「青春18きっぷ」を使った過酷な旅も厭わない。また、「サウナ・スパ健康アドバイザー」の資格も保有し、サウナ施設やスーパー銭湯にも足繁く通っている。

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