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名古屋から車で約1時間。岐阜県不破郡垂井町にある、木工房・カフェ「結(むすび)」。思わず深呼吸したくなる田園風景の中に、お店は突然現れます。自然素材にこだわった家具・木工製品を製作する木工房に、カフェと展示室が併設されています。
実は、木工房やカフェの建物はすべて代表の黒川さんが一人で建てられたものなんです。今回は代表の黒川大輔さんにお話を伺ってきました。
「結」があるのは、岐阜県不破郡垂井町。濃尾平野が一望できる少し小高な場所に位置します。
カフェ「結」。入った瞬間、木の香りがふわっと広がります。
木工との出会い
「木工房・カフェ 結」の代表である黒川大輔さん
本業は定時制高校の教員である黒川さん。どうして木工房をやりはじめたのか。きっかけからお伺いしました。
黒川さん:「もともとの趣味は、木工ではなくトライアスロンだったんです。ですが、30歳の頃に限界を感じてやめてしまいました……。やることがないなと思っていたそんなとき、新築した自宅用にテーブルを自分でつくったんです。それがきっかけで、木工の楽しさに目覚めました。そこからはどんどんのめり込んで、小さな物置小屋を借りて、小遣いで道具や材料を買いながら10年ほど趣味で木工をやっていました。40歳のとき、「趣味で木工製品や家具をつくるのには限界がある。もっと深い技術を学ぼう!」と家具職人の工房に弟子入りをして、本格的に技術を学びました。」
家具の練習でつくったというミニチュアの椅子。実寸大をつくるよりも、難しいのだとか。
黒川さん:「本格的に学んでいく中で、「木工を一生の仕事にしたい。そのためには材料や工具が置ける広い作業場が必要だ。」と思うようになりました。そこで土地を探したり、建設費用を見積もりをしましたが、費用が高く諦めかけていました……。
そんなとき、あるクラフト展で一人の大工さんに出会いました。私の木工製品を買ってくださって、会話の中で工房をつくりたいという話をしたところ、「それなら自分で工房をつくったらいいやん」と。その瞬間、「これだ!」と思いましたね。それから約半年間、日中は滋賀に通い、大工仕事を学ばせてもらいました。」
こうして家を建てる技術を一通り習得した黒川さん。物置小屋の貸主の方から現在の土地を譲ってもらい、約半年かけて木工房をつくりあげました。
黒川さんがセルフビルドで建てた木工房。
中にはたくさんの工作機械や材料が。ここで黒川さんの家具や木工製品はつくられています。