コワーキングスペースから、町のお困りごと解決まで。南伊勢町の地域と人をつなぐ結び目に。「むすび目Co-working」
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南伊勢町の人たちに惹かれて
ご自身も名古屋市から移住された西岡さん。以前は、名古屋市で働きながら大学院に通い、研究の一環で南伊勢町に訪れたことがきっかけで移住されたのだそう。移住についてもお話を伺ってみました。
西岡さん:「移住の決め手は、町の人たちですね。研究で通えば、通うほど、町のために何かしたいなと思うようになりました。
移住を決意したのは、ちょうど前職で昇進するタイミングでした。周りの人には、そんな田舎に行っても情報も入って来ないし、せっかくのタイミングなのにもったいないと言われて。私もさすがに情報は遮断されるかなと思っていたのですが、全然そんなことはありませんでした。情報はどこでも手に入るし、むしろ情報の取捨選択をしやすくなったように感じているんです。」
人口減少率ナンバーワンの町だからこそ
西岡さん:「南伊勢町って、県内で人口減少率と高齢化率ナンバーワンの町なんです。町の半分以上が65歳以上。50代は若手と言われているくらい。私もここに来ると若い女の子のように扱ってくれます(笑)。
日本がこれから直面する問題に、最先端で直面している。だからこそ、南伊勢町で何かが変えられたら、きっと日本全国がもっと良くなると思うんです。
そのために、まずは「関係人口」を増やしていきたいと考えています。完全な移住や定住は難しくても、1カ月の半分だけ住む。一週間だけ住む。働きながら休む。そんな働き方を提案していきたいです。フリーランスの方や、サテライトオフィスとして仕事をされている方に来てみてほしいですね。」
働く=お金じゃない。
西岡さんから移住されて最も衝撃を受けたのは、町の人たちの「仕事」に対する考え方だと言います。
西岡さん:「あるとき、お月見イベントに奈良の大学生の子も参加してくれて、月を見ながら「働くって何?」というテーマで、みんなで話す機会がありました。そのときに、誰も「働く=お金」と言わなかったんですよ。「働くって最高の暇つぶし」と言う人がいたくらい。すごく衝撃的でした。
名古屋で働いていたころは、家賃だけでも10万円近くかかる。生活するだけでもさらに数万円かかる。働く=お金とならざるを得ませんでした。
けど、町の人たちは違うんですよね。仕事=お金という感覚がすごく薄くて、いつかどこかで返ってくるかもしれないし。お金じゃないものかもしれない。だからこそ「町のため」って、みんな助けてくれる。私もそういう風になりたいし、自然とそういう価値観になっているなと思います。」
今回、筆者もはじめて南伊勢町を訪れ「こんなにすてきな場所があったのか」とひしひしと感じました。南伊勢町の良さは、実際に足を運び町の人たちと触れ合うことで、初めて実感できるのだと思います。この記事を読んで、何か少しでも感じてくださったのなら、ぜひ実際に南伊勢町に足を運んでいただきたいです。
「むすび目Co-working」の活動ははじまったばかり。空き家リノベーション・南伊勢町のWEBマガジン・移住定住向けのツアーなど、西岡さんたちの展望はどんどんと広がっています。今後の活躍が楽しみです。
Photography by Kanae Hori(※一部写真を除く)