岡本太郎といえば、まもなく開幕する万博を思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。岡本大浪の代表作である「太陽の塔」は、1970年の大阪万博のシンボルとして今もなお多くの人々を魅了し続けています。
実は、東海エリアにも岡本太郎の作品を鑑賞できるスポットがいくつかあるんです。岡本太郎の独創的な造形美やエネルギッシュな表現を間近で感じられる貴重なスポットを今回はご紹介します。
目次
「太陽の塔」の前身「若い太陽の塔」
|愛知県犬山市【犬山モンキーパーク】
愛知県犬山市にある「日本モンキーパーク」には、岡本太郎が手がけた「若い太陽の塔」がそびえ立っています。この作品は1970年の大阪万博で発表された「太陽の塔」と同じく、力強く生命のエネルギーを感じさせるデザインが特徴です。
「若い太陽の塔」は、1969年に開催された「日本万国博覧会・中部日本博覧会」のシンボルとして制作され、その後モンキーパークに移設されました。高さは約18メートルで、「太陽の塔」に比べると小ぶりですが、鮮やかな色彩と独特のフォルムが印象的で、訪れる人々の目を引きます。
モンキーパークの遊園地エリアにあるため、家族連れや観光客が気軽に立ち寄れるスポットです。岡本太郎の芸術を身近に感じながら、遊園地でのひとときを楽しむのもおすすめです。
【日本モンキーパーク】
住所 :愛知県犬山市官林26
営業時間 :10:00~17:00(季節・曜日により変動)
定休日 :不定休(公式サイトでご確認ください)
駐車場 :あり(1,200台)
https://www.japan-monkeypark.jp/
森羅万象を表現した「歓喜の鐘」|名古屋市北区【久国寺】
名古屋市北区大杉三丁目にある「久国寺(きゅうこくじ)」では、岡本太郎作の梵鐘「歓喜の鐘」を見られます。
この作品は1965年に制作され、太陽の塔より5年前に生み出されました。この作品はマンダラをイメージした独創的な形状をしており、上部には無数の角のように突き出た人間の腕が特徴的です。下部には瞑想する仏や動物、魚、妖怪などが刻まれ、森羅万象を表現しています。
鐘をつくと、突起が共鳴し、複雑な余韻が長く響くのが魅力です。普段は鳴らすことができませんが、除夜の鐘の際には一般の人も鐘をつくことが可能です。
久国寺は曹洞宗の寺院で、慶長年間(1596年〜1615年)頃に創建され、1662年に現在の地へ移転しました。また、名古屋城の鬼門除けとしての役割も果たしており、歴史的にも重要な存在です。
【九国寺】
住所: 愛知県名古屋市北区大杉3丁目2-28
http://www.city.nagoya.jp/kita/page/0000000853.html
岡本太郎自身の自画像!?「午後の日」
|愛知県岡崎市【おかざき世界子ども美術博物館】
「午後の日」は、岡本太郎の代表的な作品のひとつです。1967年に制作され、ブロンズを素材にした彫刻作品です。そのデザインは、まるで太陽のように輝き、子供の笑顔を思わせる愛嬌のある表情が特徴的です。また、ほおづえをついたような独特のポーズをとり、左右の眼と口が空洞になっているユニークな造形が印象に残ります。
この作品は、岡本太郎自身の自画像とも言われており、彼の芸術哲学である「対極主義」を体現していると考えられています。可愛らしさと神秘的な雰囲気を兼ね備えた佇まいは、見る人に強いインパクトを与え、岡本ならではの独創的な世界観を感じさせます。
現在、「午後の日」は愛知県岡崎市にある「おかざき世界子ども美術博物館」で展示されています。同館は、子どもたちが芸術に親しみ、創造力を育むことを目的とした美術館で、岡本太郎の作品を間近で鑑賞できる貴重なスポットです。
【おかざき世界子ども美術博物館】
住所 :愛知県岡崎市岡町字鳥居戸1-1
電話 :0564-53-3511
入館料 :無料
駐車場 :あり
https://www.city.okazaki.lg.jp/1200/1251/1242/p010841.html
エネルギーと情熱を象徴する作品「未来を拓く塔」
|岐阜県岐阜市【岐阜メモリアルセンター】
岐阜県岐阜市にある岐阜メモリアルセンター内の未来の丘(長良川競技場の南側)には「未来を拓く塔」が設置されています。この作品は、1988年に開催された「ぎふ中部未来博覧会」のシンボルモニュメントとして制作されました。
デザインには岡本太郎らしいダイナミックな表現が施されています。頭部はヒマワリをイメージした冠のような形状をしており、明るく力強い未来を象徴しています。首の部分はたなびく旗を表現し、黄・青・赤・緑といった青春を象徴する色彩が使われています。さらに、脚部はランナーの躍動感をモチーフにしており、未来へ向かって進む力強い意志を感じさせます。
この作品には、岡本太郎が「未来を拓く」というテーマを込め、次の言葉を添えています。
「未来は時の流れの遠いかなたにあるものではない
いま この瞬間にナマ身でひらくのだ
若い情熱 力強く日日 躍動する」
この言葉の通り、「未来を拓く塔」は、ただのモニュメントではなく、未来を切り拓くためのエネルギーと情熱を象徴する作品です。現在も運動公園のシンボルとして、訪れるアスリートや観客に力強いメッセージを送り続けています。
【岐阜メモリアルセンター】
住所 :岐阜県岐阜市長良福光大野2675-28
駐車場 :あり
https://gifu-sports.org/gmc/
岡本太郎晩年の作品「であい」|三重県伊勢市【三重県営サンアリーナ】
岡本太郎の作品「であい」は、1994年に三重県で開催された「三重県世界祝祭博覧会」のシンボルモニュメントとして制作されました。岡本太郎が84歳の時に手がけたこの作品は、晩年における重要な公共芸術のひとつとされています。
当初は「出会いの泉」と名付けられ、池の中に設置された噴水モニュメントでした。口から水を噴き出す仕様になっていましたが、その後、周辺施設の再整備に伴い、現在のような静的なモニュメントへと変更されました。作品は金色と銀色の2つの像で構成されており、そのうちの銀色の像は、もともと「女」という題名だったとされています。現在は三重県営サンアリーナに設置されています。
この作品には、岡本が生涯を通じて追求してきた「人間同士の真の出会い」や「自己との出会い」というテーマが込められており、彼の芸術哲学を色濃く反映しています。
【三重県営サンアリーナ】
住所 :三重県伊勢市朝熊町3477-2
駐車場 :あり
https://sun-arena.or.jp/