「せんいのまちで、せんいのビル。」尾州織物を通して人と人がつながる。『Re-TAiL』|愛知・一宮

2018.7.17
RRR KIONさん

名古屋駅からJRで10分、尾張一宮駅から徒歩3分ほどの距離にあるレトロな佇まいのビル「Re-TAiL(以下:リテイルビル)」。今、こちらのビルが若手アパレルデザイナーやハンドメイド作家たちの間で注目を集めています。

 

館内には尾州織物を販売する「RRR MATERIAL PROJECT(アール・マテリアル・プロジェクト)」やクリエーターたちのアトリエなどが入居しています。このビルが注目されるようになったのには、一宮市在住でデザイン事務所を経営する稀温(きおん)さんの存在がありました。

 

今回は稀温さんにリテイルビルを案内していただき、ビルの魅力やRRR MATERIAL PROJECTについてなどのお話を伺ってきました。

 

尾州織物(びしゅうおりもの)とは?

 

尾州織物とは


まずは尾州織物について、簡単にご説明をします。尾州織物は愛知県の一宮市、稲沢市、津島市、江南市、 名古屋市と岐阜県羽島市を中心とした国内生産量の8割を占める毛織物産業の一大産地です。

 

イタリアの「ビエラ」、イギリスの「ハダースフィールド」と並び世界三大生地産地として知られており、世界の名だたる海外ブランドから国内ブランドまで魅了しています。

 

ビルの解体危機を救った「RRR MATERIAL PROJECT」

 

 

ビルの解体危機を救った「RRR MATERIAL PROJECT」

リテイルビルの外観。RC造/地下1階地上3階 延床面積:1,021㎡

 

エントランス

リテイルビルのエントランス。白いアーチ窓と茶色のタイル張りの外観が印象的です。

 

エントランス

館内の天井や壁には、アーチ構造や天井の彫刻が美しく細部にまで装飾が施されており、大変意匠性の高い建造物。

エントランス

入り口に施されたタイルもとてもかわいい

 

そんな尾州織物を長年支え続けてきたのが、こちらのリテイルビル。毛織物の最盛期だった1933年に建られてから80年以上、繊維組合の事務所として長く使われてきました。

 

しかし、事務所の移転が決まったことで、2015年末には取り壊されることが決定。地域住民からは、取り壊しを惜しむ声が出ていたそうです。

RRR MATERIAL PROJECTのコーディネーター・稀温さん
RRR MATERIAL PROJECTのコーディネーター・稀温さん

 

そんなビルの危機を救ったのが稀温さんです。稀温さんは「クリエーターズマーケット」の立ち上げや、栄の路地裏で人気を博した個性的なショップの集合体「さくらアパートメント」を開設した実績を持つ敏腕プロデューサーでもあります。

 

稀温さん:「過去に古い建物の再活用やイベントを開催してきたことから、この優美なビルが取り壊される前に、多くの人に見てもらえたら、と思ったんです。一宮が繊維の街ということは知っていましたが、関わっていくうちに想像よりはるかに豊富な素材があることを知りました。

 

もともと、尾州織物は一般消費者向けの販売はしていなかったので、一般の人が素材を購入する場所をつくれば、広く尾州織物のことを認知してもらえるのではないか。それに、繊維の街にある、歴史的な意味も持つこのビルで地元の素材を売るのは自然なことだと思ったんです。そこで、一宮の繊維メーカーを集って、布地を販売する素材のマーケット「RRR MATERIAL PROJECT」を開催することにしました。」

 

コンセプトは3つの「R」そこから新しい価値を創造していく


 コンセプトは3つの「R」

 

稀温さんが立ち上げた「RRR MATERIAL PROJECT」には3つのコンセプトが込められています。

 

・Refindd (リファインド)

モノの見方を変えて新しい価値を見い出す。

・Recreation (リクリエーション)

リ・クリエーションで価値の再生を楽しむ。

・Relation (リレーション)

ひとの交流から価値あるものを集め引き継ぐ。

 

この3つの「R」をテーマに、モノゴトの価値を発見・再生する取り組みです。そして2014年の5月に、捨てられるはずだった布地やデッドストックの布地などを集めて販売する「RRR MATERIAL PROJECT」を初開催したところ、予想の2倍以上の来場があったそうで

す。

 

その後、協力してくれた繊維会社と「Re-TAiL」を設立。2016年1月にはビルを丸ごと一棟借上げて「せんいのまちで、せんいのビル。」をテーマに活用されることになります。

 

ざまざまなクリエーターが集うビルへ

 

一宮

 

2016年にオープンして以来、リテイルビルには注目のデザイナーや若手クリエーターたちが続々と入居しています。「この場所から人と人がつながり、新しい価値が広がっていければいい」と話す稀温さん。実際に、訪れる方も幅広く、地元や名古屋近郊だけでなく全国各地、ときには海外からも、老若男女問わず訪れています。

 

ここからは館内の様子も少しご紹介していきます。

 

1F

 

常設販売が可能になったRRR MATERIAL PROJECT

 

RRR

 

ビルを丸ごと借りたことで、定期開催だった、RRR MATERIAL PROJECTが常設になりました。現在は1階と3階で素材を購入することができます。商品は尾州産地の布地や糸に加え、刺繍、ボタン、リボンなどの副資材のほか、ディスプレイ、工場備品、素材を活用してクリエイトされた作品も置かれています。

 

布地
店内には所狭しと生地が積み上げられています。高級布地が驚くほどお値打ち。ハギレは数百円〜※商品は随時変わります。

 

繊維工場
芯や裏地を収納したドラムは繊維工場で使われていたもの。

 

副資材

ボタン、リボンなどの副資材は衣装家や手芸店のデッドストックからセレクトしたもの。

 

カラフルでかわいいファンシーヤーン。

 

カラフルでかわいいファンシーヤーン。

ハンドメイド

素材を利用してつくられたクリエーターさんたちの作品も販売。

 

地元の刺繍メーカーのオリジナル製品

地元の刺繍メーカーのオリジナル製品。


尾州の高級ファンシーヤーンを使用した商品

尾州の高級ファンシーヤーンを使用した商品も販売しています。こちらの作品は障がいを持った方々が運営する「ひょうたんカフェ」のクラフト班が手作業でつくったもの。色合いがとてもきれいです。

 

尾州の高級ファンシーヤーンを使用した商品
尾州織物のデザインには無数の種類があります。すべて職人さんの手によってタテ糸とヨコ糸の織り方や編み方でデザインを作り出しています。

 

シーズンオフ
3階にはニットとシーズンオフの素材が販売されていました。

 

Oh là là(オーララ)

 

この日は2階にアトリエを構える洋服リフォーム店「Oh là là(オーララ)」によるマンツーマンのお裁縫レッスンも行われていました。RRR MATERIAL PROJECTで販売している型紙や生地を使って、半日で1着を完成することができます。これなら、初心者の方でも洋裁にチャレンジしやすいですよね!他にも、リフォーム・リペア・リサイズなども洋服のお直しに関することはなんでも相談可能です。

 

店内は見ているだけでも、何を作ろうかな?何か作りたいなという創作意欲が湧いてきます。好きな布地を買って自分で作っても◎洋裁教室に通ってチャレンジしてみても◎お子様の洋服やお家のクッションカバーやインテリアアイテムなんかを作ってみてもいいですよね。

 

【Oh là là】
こだわりのヴィンテージリフォーム 
営業日時:完全予約制
定休日 :月曜日
URL  :http://re-tail.jp/tenants/oh-la-la

 

【アール・マテリアル・プロジェクト】
素材のショップ&ショールーム
営業時間:10:00 〜 18:00
定休日 :月曜日
TEL   :0586-59-2105
URL        :http://rrr-material.jp/

 

 

TE/SA(ティサ・ジュエリースタジオ&ギャラリー)

 

TE/SA

 

アールマテリアルプロジェクトの向かいには、ジュエリーデザイナーtetsurrowさんが手がけるジュエリーブランド「TE/SA」が」入っています。オリジナルジュエリーからオーダーメイド、お手持ちのジュエリーのリフォーム、ブライダルジュエリーの相談もできます。

 

TE/SA

 

TE/SA

センスのいいジュエリーが並んでいます。
TE/SA
店内には栄にお店を構える紅茶専門店「機石荘」の茶葉も。

 

TE/SA

2018年は戌年ということで、オーナーのお父様がコレクションした犬の置物が展示されていました。

 

【TE/SA(ティサ・ジュエリースタジオ&ギャラリー)】
営業時間 :11:00 〜18:00
定休日     :月曜日(祝日)
URL         :https://kisekiso.exblog.jp/
Facebook:https://www.facebook.com/TESA-Jewelry-Studio-Gallery-313623918673444/

 

 

印刷とものづくりスペース「HappyPrinters BISHU」

 

HappyPrinters BISHU

原宿に1号店があり、こちらの店舗は2店舗目

 

「HappyPrinters BISHU」はプロ向けのデジタルオンデマンドプリンターを個人の方が使用できる工房です。UVプリンターやレーザーカッター、テキスタイルプリンターなどを使って自由にものづくりが楽しめます。

 

HappyPrinters BISHU

 

尾州織物はタテ糸とヨコ糸でデザインを考えるので、プリントは主流ではありません。グラフィックデータや写真をそのまま布地に印刷できるマシーンを使用すれば、RRR MATERIAL PROJECTで購入した尾州織物の上に好きな柄を転写することも可能です。(※素材によっては印刷に向かない布地もあります。)

 

HappyPrinters BISHU
ものづくりの定番レーザーカッター。/データ読み込み1,000円(1データにつき)、出力調整/(500円 素材ごと)/レーザー加工 (500円/5分)

 

HappyPrinters BISHU

使い方はスタッフさんが丁寧に教えてくれます。

 

HappyPrinters BISHU

店内には、どんなアイテムが作れるかが分かるサンプルも多数展示されています。

 

HappyPrinters BISHU

結婚式のウェルカムボードでこんなのを作って友達にプレゼントしても喜ばれそうです。

 

HappyPrinters BISHU

 

ワークショップも定期的に開催しているそうなので、興味のある方はワークショップから始めてみるのもおすすめです。

 

印刷とものづくりスペース【HappyPrinters BISHU】
営業時間:10:00 〜18:00(場合により延長) 予約をおすすめします。
URL  :http://bishu.happyprinters.jp/

 

2F

 

本格的なバッグ作りが学べる「バッグスクールレプレ&コロロ」

 

ぷれここころ

「バッグスクールレプレ&コロロ」は職業用ミシンの使えるレンタル工房です。職業用ミシンや、各種金具の打ち具、作業台などを使用することができます。

 

火、木は初心者の方向けのかばん教室も開講しています。1からミシンの使い方まで教えてもらえるので、カバン作りのノウハウを丸ごと学ぶことができます。パーツや皮だけを購入することもできますよ。

 

バッグスクールレプレ&コロロ

 

フリースタイルのクラスもあるので、工房利用/教室の料金はHPからお問い合わせを。

バッグスクールレプレ&コロロ

皮の切り売りもできます。

 

【バッグスクールレプレ&コロロ】
営業時間:11:00 〜17:00
定休日 :不定期(授業日以外はお休み)
URL  :http://www.bag-artist.jp/

 

 

メンズシャツのお店「Aquellos Ojos Verdes BISHU」

 

RRR

 

Aquellos Ojos Verdes BISHU

 

「歴史ある街で、世界中の歴史ある物を融合し新しいクラシックを提案する」がコンセプトのシャツメインのアトリエ兼ショップ「Aquellos Ojos Verdes BISHU」。

 

こちらのお店では、世界を旅して実際に目で見てきたものをシャツというアイテムの中で表現しています。ナポリシャツをベースに、尾州で作られる生地や琵琶湖真珠の貝ボタン等厳選した素材を取り揃えています。

 

店内はビルに調和したアンティーク家具やオーナー自らが撮りためたフィルム写真の展示も見どころです。

 

【Aquellos Ojos Verdes BISHU】
営業時間 :土日10:00-20:00(18〜20時および火〜金は予約制)
定休日  :月曜日(祝日営業)
URL         :https://www.aquellosojosverdesbishu.com/

 

 

生地を楽しみながら洋服に仕立てる空間「中外国島CONCEPT TAILOR」

 

中外国島CONCEPT TAILOR

 

尾州の機屋の中でも最古の部類に入る「中外国島」が、コンセプトテイラーをオープンしました。こだわりの生地でスーツがオーダーできます。

 

中外国島CONCEPT TAILOR
マスターの佐藤さん。

 

オーダースーツは初めて、という方もぜひこの機会に相談してみて下さいね。

 

【中外国島CONCEPT TAILOR】
営業時間:10:00-18:00(18-20時は予約制)
定休日 :月・火
TEL         :0586-58-8767
URL        :https://www.ckktex.co.jp/

 

 

3F

 

RRR

3階はアトリエとレンタルスペースになっています。

 

レンタル可能な大ホール

 

大ホール

天井のファンが当時のまま
大ホール

 

大ホール

歴代理事長さんの肖像画が飾られています。

 

リテイルビルの中でも特に設立当時の趣が感じられる場所が大ホールです。レンタルも可能で、展示会、ライブや各種イベント等で利用できます。また、定期的に高級品からジャンク品が集まるRRR MATERIAL PROJECTのガレージSALEも開催されます。掘り出し物が見つかるかもしれないので、チェックしてみてくださいね。

 

Re-TAiL

リテイルビルは、ただ素材を販売する場所、クリエーターが集う場所ではありません。場を提供することで、大切に受け継がれてきたものをつなぎ、新しい価値を提供し続けています。この場所を通してこれからどんな面白いこと、ワクワクすることがはじまるのか楽しみです。また、愛知県が世界に誇る尾州織物に身近に触れられて、購入することができる場所はここだけです。ぜひ訪れてその技術力の高さを感じてみてください。

 

【Re-TAiL(リテイル)】

住所    :愛知県一宮市栄4-5-11
営業時間  :10:00 〜18:00(月曜定休・祝日の場合は営業)
TEL     :0586-59-2105
URL    :http://re-tail.jp/about-this-building
Instagram:https://www.instagram.com/re_tail_jp/

 

 

【office:KION STUDIO キオンステューディオ 】

コーディネーター 稀温
URL:http://www.kionstudio.com