三重県松阪市にある「工場レストラン 健食 たぬみせ」。奥野食品株式会社の納豆工場であり、身体に優しい素材を使ったバイキング形式のレストランが併設されています。たぬみせ内では無料で工場見学もできるため、納豆三昧の半日を過ごせる施設なのです。
名古屋からは車で約1時間半ほど。電車であればJR・近鉄松阪駅からバスに乗り「駅部田(まえのへた)」で下車し、徒歩5分の場所にあります。
※2022年11月取材時の情報です。
目次
1階が奥野食品の納豆工場で、2階がレストランと工場を見学できるスペースになっています。工場内は10時から無料で見学できて、レストランは11時オープン。納豆を作る工程は13時頃から終盤に向かうようなので、工場見学した後に納豆でお腹を満たすルートがおすすめですよ!
階段は、建物に向かって右手側と左奥にあります。お店の前を通ると大豆を蒸した香ばしい香りがただよっているので、中がどうなっているのか気持ちが昂ります!では階段を上がってお店の中を覗いてみましょう。
工場レストラン 健食 たぬみせってどんなところ?
地元の情報が知れる「まちの駅」
扉を開けてまず目にするのは、「まちの駅」スペースです。地元の人しか知らない情報やおすすめスポットが紹介されています。実際、「ここに来れば何か情報あるかなぁ?」と訪ねてくる方を数名見かけたので、立ち寄りスポットのような位置づけだと判明しました!
納豆の作り方を、子どもでも分かりやすく解説!
奥に進むとかわいいたぬきのキャラクター(通称:たぬぷ~店長)が、納豆の作り方をパネルで分かりやすく解説してくれます。たった数枚のパネルですが、十分に理解できる内容です!どのような工程を経てわたし達の元に届いているのか想像しやすいよう、かわいらしい絵で表現されています。
説明文はほぼひらがななので、小さなお子様が読んでも楽しめる工夫がされています。筆者も初めて知ることばかりでしたが、スーっと情報が頭に入ってきました。納豆の作り方を聞かれれば、すぐに答えられるレベルです。(笑)
工場見学は無料!
さらに奥に進むと、1階にある納豆工場が見学できるスペースです。たぬぷ~店長の解説を読んだあとなので、工場内を見学すると「あれが納豆釜かな?」「今、納豆菌をかけているのかな?」と理解できる仕組みになっています。
身体に必要な栄養素がしっかり摂れるレストラン
たぬみせでは、メインメニューを最初に決めるのがスタンダードです。入り口手前や発券機の上にランチメニューの写真があるので、ゆっくりと選べます。
たぬみせのバイキングメニューの特徴は、メニューが多種多様であること。メインメニュー以外にも、カレーやスイーツ、奥野食品の納豆が食べられる「納豆バー」があります。メニューのほとんどに納豆や納豆菌が入っているので、たぬみせでしか食べられない料理も!
また、たぬみせの健食バイキングをメインディッシュで食べると約350gの野菜が摂れます。さらに納豆も一緒に食べれば、植物性タンパク質も同時に採れるのだとか!身体に優しく、1日分の栄養素をしっかり摂取できる点も魅力的ですよね。
納豆が食べ放題のお店なのかな?という認識でしたが、お店の名前に「健食」とあることから、納得しました。
もちろんメニューが豊富なので、たくさん食べたい方には大人気のレストランです!実際、男性数名のお客さんが「もうお腹いっぱいで食べられないわ〜」と言いながらお店をあとにしている姿を見かけました。お腹をすかせてお店を訪ねたほうが良さそうです。(笑)
納豆はどうやって作っているの?
奥野食品の納豆工場は、約70年の歴史があるのだとか。大粒・小粒・ひきわり納豆・こだわり納豆などの大豆は三重県産90%・他県産10%であり、国内産100%なのです。
では、たぬぷ~店長の解説を理解した上で、納豆ができるまでを簡単にご紹介しましょう。
まずは、使用する大豆を前日からきれいに洗い、一晩水に浸してふやかします。次に、前日からふやかしていた豆を納豆釜へうつし、圧力をかけて蒸し上げていきます。
蒸しあがった大豆に納豆菌をかけて、納豆容器に詰めていきます。ちなみにこの段階では、納豆菌をかけてもネバネバしておらず、納豆菌自体は匂わないのだとか。発酵することで、納豆独特の匂いが生まれるのです。
藁に詰める場合、納豆釜から取り出すときは写真のように人の手で大事そうに抱えて運ばれていました。その後、秤にかけて一つひとつ手作業で藁に大豆を詰めていきます。
容器に詰める場合は、大型の機械を使用して詰められます。このときも最後の仕上げは手作業。丹精を込めながら丁寧に仕上げていく様子が分かります。
出来上がった容器入りや藁入の納豆は、発酵室(はっこうむろ)に一晩入れます。写真の左奥が発酵室です。一晩発酵室に入れておくことで、ネバネバした納豆らしい香りも出てくるのだとか!
室から出した納豆は、1日かけて冷蔵庫で冷まします。理由は発酵し過ぎを防ぐためです。
しっかり冷やされた納豆はその後キレイにラッピングされて、家やスーパーで見たことのある形に仕上がるのです。
納豆作りは、手作業なくしてできないことが工場を見学して理解できました。
どこもかしこも納豆三昧のメニュー
納豆揚げランチ
「納豆揚げ」はたぬみせ名物です。口に入れた瞬間はサクッとしていますが、噛めば噛むほど納豆の味がじゅわり〜と出てきて、もっちりとした食感に変わります。具材は納豆・ニラ・ちくわ・ごまなど栄養がある具材を使用し、米粉の生地に練り込んでいます。海苔を添えて、ビタミンEが豊富な米油でサックリと揚げています。
味のバリエーションはプレーン・カレー・ピリ辛の3種類。揚げているため納豆の香りはしませんが、口に入れたら納豆の味がしてご飯がすすむメインディッシュです!
サラダにかけているドレッシングは「納豆ドレッシング」。納豆の粘り気はなくサラッとしていますが、口の中に入れるとふわっと納豆の味が広がります。添えていたキャベツや、日々蒸しているできたての大豆がいくらでも食べられるので、納豆好きの方ならクセになる味です。もちろん納豆ドレッシング以外にも米油ドレッシング・醤油ドレッシングが選べます。
たぬみせ特製納豆カレー
たぬみせのカレーは、納豆をたっぷり使用したまろやかな口当たり。糸をひくようなネバネバ感はありませんが、味や香りは納豆そのもの!口に入れると、納豆の甘みを感じますが、後味はピリッと辛い絶妙な味です。小学生ぐらいでピリ辛なカレーが好きなお子さまであれば食べられると感じます。
ご飯は松阪産のお米か雑穀米が選べて、健食ならではの発想にこだわりを感じました。
たぬみせ食パン
たぬみせ食パンは、ひきわり納豆の粉末を入れて焼き上げているもの。トースターで1分ほど焼いたあとはほんのり納豆の香りがします。しかし納豆の味はしないため、納豆が苦手な方でも気軽に食べられます。
また、卵を使っていないパンなので、アレルギーがあるお子さまでも安心して食べられますよ。
納豆パウンドケーキ
納豆パウンドケーキは、ひきわり納豆と少しのブランデーが入っていることで、しっとりした味わい。中にはレーズンと枝豆納豆が入っています。
納豆ビール
「納豆ビール」というネーミングに衝撃を受け、ノンアルコールを注文してみました。
納豆のエッセンスは爽やかな柑橘系の香りが特徴的で、見た目では納豆の要素は感じられません。しかし少量のエッセンスにビールを注いで飲むと、のどを通るときに納豆独特の香りと粘り気を感じて鼻から抜けていきました!後味は意外にもスッキリしており、納豆好きであればエッセンスを継ぎ足して飲むことをおすすめします。
幻のお土産「松阪牛納豆」
たぬみせでは、幻のお土産である「松阪牛納豆」の試食もできました。さまざまなメディアで取り上げられている話題の商品ですが、なかなか入手が困難なのだとか。しかし、たぬみせであれば販売されているので、見かけたときはぜひお土産に購入することをおすすめします!
ほんのり醤油やしょうがの香りが漂い、まるで佃煮のような味わい深さがあります。
東京納豆 ロングセラー4号
「東京納豆」は三重県では馴染みのある納豆。創業者の方が、当時東京で納豆屋を営んでいる親戚から作り方を伝授され、感謝の気持ちを忘れないためにつけたネーミングです。
4号とは納豆容器のサイズのことであり、昭和の時代から愛されてきた大家族用の大きさなのだとか。粒が大きく噛みごたえがあり、大豆の旨味をしっかり感じられる納豆です。
伊勢黒豆納豆
大粒の伊勢黒豆を使った納豆。ツルンとした口当たりで、噛むと柔らかい触感。黒豆の香ばしさを感じながら、何回か噛むと溶けていくような納豆です。塩やわさびをつけて食べるのもおすすめなのだとか。
伊勢ひじき納豆
伊勢志摩産ひじきと大豆を一緒に発酵させた納豆。納豆のビタミンK2とひじきのカルシウムが合わさっているので栄養満点の納豆です。小粒なので小さいお子様やお年寄りも手軽に食べられます。
納豆三昧の時間を過ごせる、
納豆のテーマパーク
たぬみせは、行くだけで納豆の作り方や新しい発見が増えるおもしろい施設です。半日あれば見て・食べることで、美味しく学べる体験ができ、納豆三昧の時間が過ごせますよ!
12月20日からはリニューアルにともない一旦レストランは休業しますが、工場見学は引き続きできます。
また無料見学以外に、有料(※)で「納豆づくり体験」も引き続き行っています。このプランは、実際に大豆を藁で包んだり納豆菌をつけたりなどの体験ができます。さらに、後日作った納豆がお家に届くので、世界で一つしかない手づくり納豆が食べれちゃいますよ!
大人も子どもも楽しめる納豆のテーマパークに、ぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか。
※大人800円(中学生以上)・子ども500円(小学生から)