目次
みなさんは「トリイソース」という名前を聞いたことはありますか?名古屋では、「コーミソース」が主流のため、あまり聞き馴染みがないかもしれません。全国では「ブルドッグ」「オタフク」など各地でさまざまなソースが存在します。その中でも根強いファンを持つのが浜松の「トリイソース」です。大正13年に浜松で誕生した「トリイソース」は昔ながらの製法を守り、手づくりにこだわったソースをつくり続けています。
今回は、浜松の本社工場に伺い、トリイソースの魅力に迫ってきました。
トリイソースの本社工場兼直売所があるのは、JR浜松駅から徒歩20分ほどの場所です。
直売所では、ここでしか買えない商品を含め、常時20種以上のソースが並びます。
トリイソースの誕生
今回お話を伺った3代目・鳥居大資代表
−最初に、トリイソースの歴史からお聞きしました。
鳥居代表:「創業は大正13年です。曽祖父と祖父がソースづくりをはじめたことでトリイソースがスタートしました。西洋醤油と言われていたソースは、洋食文化が全国各地へ広がったことで、ソースの需要が増えるようになっていきました。弊社もそんな時代の流れの中で誕生したんです。
当時のソースといえば、シャビシャビのウスターソースが主流でした。中濃ソースやとんかつソースといった濃度のあるソースは戦後に誕生したんですね。2代目の時代(高度成長期)には食の安定供給が何より求められた時代でしたので、弊社でも食品添加物を使用したソースの製造をしていたんです。」
食品添加物を使わないソースを
鳥居代表:「僕の代になったときに、食品添加物を使わない製法をとることにシフトしました。また、もともと業務用のソースが中心だったんですが、15年ほど前からは家庭用のソースをメインに製造をスタートさせました。ソースの種類は現在で7種類あり、他にはお酢も自社で製造・販売をしています。
家庭用ソースにシフトチェンジをして最初に開発したのが、完全無添加の「オムライス用のソース」です。このソースがきっかけとなって、その後も無添加にこだわって商品を開発しています。」
見た目も作業効率もいい箱型のパッケージ
鳥居代表:「家庭用のソースをつくるにあたり、ブランディングを一新しました。順番は逆なんですが、実は最初にパッケージから変えたんです。もともとのソースは、ラベルを手貼りしましたが、それだと手間がかかってしまいます。
時間もかかるし、ラベルの位置がずれやすいといった懸念点もあったので、コストは少しかかりますが箱型にしたんです。箱型のパッケージは、誰がやってもミスなくできますし見た目も目立ちますよね。お客様の評判もいいのでうれしいですね。」
創業当時から変わらないラベルタイプのソース。
箱型のパッケージは店頭に並んでいるととても目を引きます。
ソースへのこだわり
−ソースづくりのこだわりについて教えてください。
鳥居代表:「トリイソースの大きな特徴は、生の野菜を使っているところです。他社さんだと、ピューレや粉末を使っているところが多いですが、うちでは創業時から生野菜からソースを仕込んでいます。
また地産地消を大切にしているので、野菜はできる限り、浜松で採れるものを使用しています。香辛料に関しても、パウダー状の香辛料をソースに混ぜるのが一般的な製法の中、原形のままの香辛料を漬け込み、香辛料からにじみ出た風味でソースに味をつけます。
さらに、熟成は木桶を使用して1カ月は熟成を行います。するとさらにまろやかで味わい深いソースができあがるんです。」
実際に、トリイソースを口に入れると、野菜の風味が口の中に広がることに本当に驚きました。それほど、普段私たちが食べているソースが野菜の味がしなということですよね。もしかすると、ソースが野菜からできてることを知らない方も多いのでは……。