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名古屋市北区の主要ターミナル駅『大曽根駅』から徒歩7分の場所にある「山田天満宮」。
名古屋三大天神のひとつで、合格祈願で訪れる人も多いですが、金運や良縁祈願としても人気の高い神社です。
1カ所で、祈願別に参拝できる神社が多くあるのも魅力。今回は山田天満宮、金(こがね)神社、御嶽(おんたけ)神社を中心に、神社にゆかりのあるモノやことなど、さまざまな魅力をご紹介します。
山田天満宮の歴史
神社の成り立ちは、寛文12年(西暦1672年)に尾張の二代目藩主・徳川光友公が、当時の四代将軍家綱公の文教政治にならい、地域の学問の奨励のために創建したのがはじまりとされています。
山田天満宮は名古屋城からみて「鬼門(北東)」にあたる位置とされ、鬼門封じの意味合いもあったようです。そのため、一切の災いを取り除く「八方除守護神」としても崇敬されています。
※鬼門・・災い(鬼)が出入りする場所として、古来より忌むとされる方角
天満宮といえば、ご祭神は学問の神様として知られる、通称”天神様”の「菅原道真公」をお祀りする神社。そのため、受験シーズンは合格祈願で参拝する学生の心強い存在です。
そんな道真公と深い関わりのある3つのアイテムを、その理由と共にご紹介します。天満宮を訪れる際にはぜひチェックしてみてくださいね!
菅原道真公と深く関わりのある3つのモノ
その1「牛」
天満宮で必ずみかけるのが「牛」です。山田天満宮の境内にもいくつか祀られていますが、参道の両サイドにある「撫で牛」では、願いを込めてなでて祈願するとよいということで、参拝者が熱心に触る姿も多く見られます。
ではなぜ道真公と牛が関係あるのでしょうか?
理由はいくつかありますが、道真公が丑年生まれだったこと、幼少の頃に可愛がっていたこと、太宰府へ左遷される際、牛に乗って無事に移動したこと……などがあります。これらのことから、牛は天神様のお使いとされています。
その2「梅」
道真公はこよなく梅を愛しており、太宰府に左遷される際に詠んだ下記の歌は有名ですね。(※神社によって末尾の表現が違うようですが、下記は山田天満宮談)
「東風(こち)吹かば 匂ひおこせよ梅の花 主人(あるじ)なしとて 春を忘るな」
要約すると、「主(あるじ)の自分が都を離れても変わらず咲いて、遠く太宰府の地までかぐわしい梅の香りを届けておくれ……」というような、切ない心情を表した歌です。
境内にも多くの梅の木が植えられており、訪問した2月も少しずつ咲きはじめていました。
その3「鷽(うそ)」
鷽(うそ)という鳥をご存じでしょうか。実はこの鷽も道真公と深い関わりがあります。かつて道真公が悪魔払いをしていた際、ハチが襲ってきました。そのときに鷽がそのハチを食べて守ったことから、道真公の守護鳥になったという伝説があります。
また、毎年1月25日には「うそ替え神事」というご神事も催行されます。もともと江戸時代から続くとされるこの神事は、1年の災いや凶ごとを幸せに替え、幸運を招くといわれる神事です。
ここ山田天満宮でも、オリジナルでつくる約10㎝ほどの鷽の木彫りの置物(写真)を封筒に入れたものを、参列者が境内の中で輪になり、太鼓の音を合図に「替えましょう~、替えましょう~」と言いながら、隣の人に渡して替え合う神事が行われます。(2022年度は、三密を避けた別の形態で催行されました。今後の形態は未定)
また、この日は地元名古屋の老舗酒造メーカー「金虎酒造」さんによる、特別な梅酒の限定販売や、御神梅酒が振る舞われます。実はその梅酒、山田天満宮の梅の実を金虎酒造の日本酒でつけ込んだものだそう!数に限りがあるので気になる方はぜひチェックを。
※2022年は御神梅酒のふるまいは中止
金運の御利益が半端ない!
金(こがね)神社
山田天満宮の境内には、そのほか、特に人気を集める神社があります。そのひとつが「金(こがね)神社」です。その名の通り、「金運」の御利益が高いことで知られています。
かつて街道だった19号線を行き来する行商や商売人たちの、交通安全と商売繁盛祈願のために、延亭3年(西暦1746年)に創建されたといわれています。
金神社で参拝したあと、さらに金運の御利益を高めてくれるとっておきのスポットが、となりの建物のこちら。
入口には小槌を持ったねずみがお出迎え。ねずみは、ご祭神の大国主命(おおくにぬしのみこと)、通称だいこく様のお使いです。中に入ってみると……
だいこく様とえびす様が祀られており、そこからは水が流れています。そう、ここは、お金や財布、はたまた宝くじなどを洗って(清めて)祈願する、「銭洗い(黄金洗い)」の場所となります。
ざるにお金や財布をおいて(濡れて困るものはビニールに入れておきます。※ビニールは各自持参)、だいこく様とえびす様にそれぞれ3回ずつお水をかけて、そこから流れるお水で洗い清めます。
実際洗っている人に効果のほどを聞いてみると、含み笑いを浮かべ、「効果がなかったら来ません」と言われていたのが印象的でした。
その効果は、壁一面に貼られた数々のお礼の手紙や、実際に当たったロト6や明細などの証拠の品々など、一目瞭然!金神社の御利益を目の当たりにするだけで、幸せな気分になります(笑)。
さらに金神社では、毎年1月3日と8日に行われる「初金祭(はつこがねまつり)」も人気です。この2日だけ特別に授与される「福み(写真)」は、熊手などでかき集めた財宝などをすくいとってくれるという縁起もの。※当日は数に限りがあるので、なくなり次第終了。
大きさは1,000円から50,000円まで6種類あります。3日と8日の当日に来ることが難しい方は、前年の9月末までに直接授与所にて申し込みをすると、翌年の「福み」を1月末までは取り置き可能です。例)2023年の「福み」を希望する場合は、2022年の9月末までに要予約。
熊手とセットでそろえると最強かもしれませんね!
縁結びの神様として信仰されている「御嶽神社」
境内には縁結びの神様もお祀りされています。さきほどの金神社のとなりにお祀りされているのが「御嶽神社(おんたけじんじゃ)」。古くから縁結びの御利益があることで信仰されています。
すぐそばには、男女が仲睦まじく寄り添った石碑の「よりそい石」が……。この石碑を優しくなでると良いそうです。
あと珍しいのが足下のこちらの定位盤(じょういばん)。
毎年位置(方位)が変わるとのことで、自分の本命星の位置に立って参拝します。そうすることで、悪い縁を断ち切り、よい縁に導くとされています。
そのほかの境内の見どころ
方向祈願牛での祈願作法
冒頭でも少し触れましたが、ここ山田天満宮は鬼門に位置することもあり、特に方位除けの八方除守護神としてのご神徳もあります。
こちらは方向祈願牛といって、牛に乗った道真公の像を祈願したい方向に向けて、「願掛け鈴」を首にかけてお参りするというもの。たとえば東京での就職を希望する場合は、東京の方角に牛の頭を向けて祈願するといいそうですよ。
クスノキから出てきた釈迦如来座像!
こちらは立派な切り株!当時、境内整備のため社務所そばにあった大きなクスノキを伐採するため建築会社に依頼し、チェーンソーで切ったところ、中から仏像が出てきたのだそう。
なぜ木の中にあったのか不明ですが、クスノキはいろんなものを巻き込んで成長する特性もあるため、もしかしたら何らかの理由で仏像を巻き込んだ可能性もあるとのことで、まさにロマンあふれる現代の竹取物語ですね。
ヘビ供養で建てられた八大龍神社
境内の一番奥にお祀りされている「八大龍神社」。以前このあたり一帯が湿地帯で、埋め立てをする際にたくさんのヘビを埋めたそう。その供養の意味合いも込めて、鎮まっていただくために龍神様をお祀りしたという経緯があるようです。
限定の絵馬や、かわいい干支のおみくじも
三大天神参りでいただける特別な絵馬
合格祈願をさらに強めたい方は、「名古屋三大天神参り」はいかがですか。山田天満宮のほか、上野天満宮・桜天神社の三社をお参りすると、写真の絵馬にそれぞれ御朱印をいただけて、ご神徳アップも期待できそう。
三社目を参拝すると、特別な「天神像守り」もいただけますよ!
こちらは「恋の三社めぐり」。縁結びを祈願する方向けに、御嶽神社のほか、高牟(たかむ)神社、城山八幡宮の三社をめぐってスタンプを集めると、最後の神社で記念品もいただけます。※各朱印料 100円。
おみくじも「招き猫みくじ」や金神社の神様の使いのネズミの「金ねずみみくじ」、そして「だるまみくじ」など、思わず手にとってしまいそうな可愛らしいおみくじがズラリ。
今年は寅年なので、やはりトラのおみくじが多いですね! ※干支みくじは基本持ち帰り。
さまざまな神様をお祀りする山田天満宮。学問のみならず、縁結びや金運など、それぞれのご神徳による神様がたくさんいらっしゃるのも嬉しいですよね。春には紅白の梅に彩られた境内を散策しながら、道真公が愛した梅に想いを重ねてみてくださいね。