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全国でも有名な焼き物の産地、岐阜県多治見。この街にアトリエを構え、陶磁器のデザイン・生産・販売を行う『3RD CERAMICS(サードセラミックス)』。
「気づきのある暮らしを送る人へ」をコンセプトに、個人作家でもなく、大きなメーカーでもなく、新たなモノづくりのカタチを提案しています。今回は、3RD CERAMICSの誕生秘話、商品のこだわり、今後の展望など、たっぷりとお話を伺ってきました。
それぞれの陶芸との出会い
多治見駅から徒歩10分ほどのところにある、3RD CERAMICSのアトリエ。ここで、陶器の製造から窯焼きまで行われています。
3RD CERAMICSは、制作担当の長屋有さんと土井武史さん、販売・マネージメント担当の花山和也さんの3人が織りなす陶磁器ブランド。今回はつくり手である、長屋さん、土井さんのお2人にお話を伺いました。
制作担当の長屋有さん。大学では、プロダクトデザインを専攻されていたそう。
はじめに3人のこれまでの経歴を教えていただきました。
長屋さん:「大学卒業後、一旦はデザイン事務所に入ったのですが「ものづくりに携わりたい!」という想いが捨てきれず、多治見市意匠研究所で陶芸を2年間学びました。卒業後は、2年ほど個人で作家として活動していました。ほとんどフリーターですけどね(笑)
土井君は、意匠研究所の1年上の先輩なんです。あるグループ展をきっかけに、一緒にやろうかということになりました。」
制作担当の土井武史さん。幼少期から粘土遊びが好きだったのだといいます。
土井さん:「僕は陶芸コースのある京都の銅駝美術工芸高等学校で、15歳から陶芸をはじめました。大学卒業後に、多治見市意匠研究所へ入学しました。
多治見市意匠研究所は、専門学校と職業訓練学校の間のような場所ですね。僕のような経験者も、有くんのような初めて学ぶ人も、陶芸のことを一から十まで学べます。各分野の専門家の先生がいらっしゃるので、例えば釉薬について勉強したいという場合は、釉薬の研究者の方から教えてもらったりもできます。」
長屋さん:「花ちゃん(販売・マネージメント担当の花山さん)は、陶芸作家をしている地元の先輩についてアシスタントをしていたんですよ。共通の知り合いも多かったので、話したことはなくても、うっすらと存在は知っていました。僕の展示会に遊びにきてくれたこときっかけに仲良くなったんです。当時、彼は経理関係の仕事をしていたので、最初は、そういう面をサポートしてもらえたらと声をかけました。」
個人作家でもない、大きなメーカーでもない。
第3の切り口の陶芸
それぞれ別々の道で陶芸と出会った3人が集まり、2014年に3RD CERAMICSが誕生しました。
長屋さん:「僕も土井くんも、お互い作家向きではなかったんですよ。作風というか、好きなもの、やりたいことが、いわゆる作家さんというものを目指している感じではなかったんです。
2人で話したときに、力を合わせたら自分たちあったスタイルができるのではないかと感じて、一緒にやろう!ということになりました。個人作家でもない、大きなメーカーでもない。第3の切り口で陶芸をやりたいなって。そういう想いを込めて、『3RD CERAMICS』という名前にしました。」
長屋さん:「とはいえ、すべて机上の空論だったので、いざやってみるとうまくいかないことばかりでした……。当初はもっと量産する予定だったんです。大きな工場だと、一日何千、何万と製造しています。作家さんだと、一日に数個ほど。その間をとって、100〜200個つくれたら良いねという話だったんですけど、実際は、数十個つくるのが限界でした。今は、自分たちでできる範囲で、とりあえず落ち着いたという感じですね。
3人でできることの幅は、1人よりも確実に多いですし、少人数ならではの小回りなんかも強みかなと思います。」