目次
岡崎にあるインテリアショップ「FILT.」が、2020年春に移転オープン。オリジナル家具から選りすぐりの北欧家具、生活雑貨からアートまで、シンプルでありながらも意匠の美しいアイテムが並ぶお店です。FILT.の魅力は、一人ひとりのお客様にじっくり向き合い、家具だけでなく空間全体を提案してくれる「コーディネート力」。
前回の取材から約3年。改めて、店主の反端祐樹さんに移転のきっかけや、家具への想いを伺いました。
場所は、岡崎市六供町。名鉄「東岡崎」駅から車で7分ほど。駐車場もあるので、遠方からでも訪れやすいです。
店内は、北欧家具を中心にシンプルでありながらも洗練され、どこか温かみを感じるアイテムが並び、とても心地の良い空間です。オリジナル家具からインテリア小物まで、細部にまでFILT.の世界観に包まれています。
以前の店舗よりもかなり面積が広くなり、よりゆったりと家具がご覧いただけるようになりました。
コンセプトはそのままに、
より多くの人に伝えられる場所に
以前は、連尺通のリノベーションされたビルの3階と4階で営業されていたFILT.。はじめに、移転のきっかけからお聞きしました。
反端さん:「FILT.をはじめて、もうすぐ5年。もっと多くの方にFILT.を知っていただきたい、家具の魅力を知っていただきたいと思い、移転を決めました。ガラス張りになっているので、お店の雰囲気を気に入って来店してくださる方が以前よりも増えましたね。
コンセプトはずっと変わっていません。あたたかみがあり、シンプルでありながら意匠の美しいもの。それぞれのデザインが主張しすぎず調和するデザイン。そうしたものに毎日触れて生活することは、すごく豊かさにつながります。FILT.では、そうした暮らしを豊かにしてくれるアイテムをご提案したいと考えています。」
日本の技術の伝え手に
キャビネットやチェアなど、ここ数年でさまざまなオリジナル家具が誕生したFILT.。オリジナル家具に込められた想いについてお聞きしました。
反端さん:「ここ数年、FILT.の役割を考えるようになったんです。大きな家具メーカーでもない、家具工房でもない、FILT.ができることってなんなのだろうって。正直、自分は家具職人ではない、自分の手で家具をつくれないという劣等感もありました。
そんな中、たどり着いたのが、日本の職人さんと一緒に家具をデザインすること。
「作り手」「伝え手」「使い手」の3つにわけたとき、僕は真ん中の”伝え手”です。どちらの立場もわかるからこそ、日本の職人さんたちの技術をもっと伝えていきたいと思ったんです。」
反端さん:「もう一つのきっかけは、海外からの問い合わせがあった際に感じた送料と関税の高さです。例えば、20万のダイニングテーブルを海外にお届けすると、合計で30万円ほどになります。FILT.でも海外のチェアを販売していますが、その逆のことをしているんだなと、そのとき気がつきました。
海外の家具にしかない魅力はたくさんあり、もちろんそれをこれまで通りしっかりとおすすめしたいと思っています。一方で、もし日本で技術力の高い職人と家具がつくれたら、良いものを適正な価格でご提供できる。尚且つ、日本で製造できれば修理がしやすいというメリットもあります。そんなきっかけもあり、日本の技術で良質な椅子がつくりたいと思ったんです。」
反端さん:「そんな想いから誕生したのが、新作のアームチェア「leaf」です。兵庫県の家具工房TENONさんと1年以上かけて開発しました。
きっかけは、京都の飲食店でTENONの椅子「T-chair」に出会ったこと。ST-chairの脚の付け根は、このように「角ホゾ」という技術で接合されています。これは日本の宮大工さんの技術で、体重がかかるとより抜けにくくなるんです。だから、これだけ細く軽く、丈夫な椅子がつくれる。僕はこの技術に深く感動しました。
そして、この「角ホゾ」の技術を使ってオリジナルで開発したのが、アームチェア「leaf」です。「T-chair」をベースに、ゆったりとくつろげるアームをプラスした、FILT.オリジナルのチェアです。」
反端さん:「最近ではこのように職人さんや、その道のプロの方と一緒にデザインさせていただく機会が増えてきました。日本にはまだまだ素晴らしい技術がたくさんあります。職人さんの技術と、FILT.のデザインを掛け合わせることで、日本の技術をもっと伝えていきたいですね。」
現在は、岡崎の石を使ったプロジェクトを進められているのだそう。今後のFILT.にも注目です。