世界中のどこを探しても見つからないような額縁店を。納屋橋に根付く、老舗「高山額縁店」
目次
額縁を選ぶたのしさを知っていただきたい
額縁の選び方やコツってありますか?
高山さん:「額縁は作品によって全部違いますし、お客様の好みもあります。でも、楽しみ方はいくつもあるんですよ。芸術作品の一部として捉えることもできるけど、できれば、家具とかインテリアとしての立ち位置として確立していただきたいなって思っています。
例えば、結婚して新居の家具を選びに行くと、お互いがいろんな意見をだし合っていくと思うんです。長く使うものだからこそ、家具選びだけでも、すごく慎重に選んでいくんですよね。額縁も同じように、なんでもいいではなく、インテリアの一部として一歩入り込んでいただけるとうれしいですね。」
高山さん:「よくお客様から「お任せで」って言われるのですが、「何か嫌いな色とかありますか?」って聞くと、すごくたくさんでてきて、皆さん嫌いなものはハッキリしてるんです。じゃあ徹底的に嫌いなものを並べてくださいっていうと、「こういう風にしてほしい」「ああいうのがいい」という意見がでて、初めて僕らと足並みがそろうんです。それがいいんですよね。僕らも、お客様に納得していただけるものを買っていただきたいし、そういうのを飾っていただきたいんです。
額縁って一回つくると落ちない限りは、50年、60年は普通に持ちます。もしその方にお子さんが生まれて、そのお子さんが結婚されて子どもが生まれても家の中にあるわけです。なので、”なんでもいい”ではなく、ずっとおうちの中に飾るものだからこそ、選ぶ楽しさを知っていただきたいですね。」
カフェバー「TWILLO(トワイロ)」
併設しているカフェバー「TWILLO(トワイロ)」。額縁を選んだあとは、ここでくつろいで行かれる方も多いのだそう。額縁店の中から、この空間に入ると異世界に入ったような感覚になり、想像以上に感動しますよ。
お昼の12時から営業されているので、額縁店と合わせて訪れてみてくださいね。
【納屋橋TWILO カブトビール名古屋支店(ナヤバシトワイロ)】
営業時間:12:00〜23:00(LOフード22:00、ドリンク22:30)
定休日 :日曜、祝日
https://www.facebook.com/納屋橋TWILO-998687143617833/
生まれ育ったこの場所に少しでも恩返しを
最後に、納屋橋のこと今後のことについてお聞きしました。
高山さん:「最近では、納屋橋っておしゃれな街になりましたね。なんて言われることが多いんですが、普通の街になってきたんですよね。この辺りは昔から、風俗街で、ラブホテルも多い、みんなネオンしかみてないので、治安の悪い街という印象をもたれていたんです。すごくハンディのある街でしたね。
僕は高校時代をアメリカで過ごしてきたんですが、額縁屋のせがれとしては、アーティストたちが集まる街として知られているニューヨークのSOHOにも行きました。でも、実際に行ってみるとギャラリーはいっぱいあるけど、街としては何もないんですよね。表向きはビルだし、殺風景。でも、裏通りにはいれば、独特な雰囲気をかもし出していて、当時は覗き小屋なんかもあったんです。」
納屋橋で開催されたイベントの様子
高山さん:「アートってエロチックなものでもあります。だからこそカオスな街・納屋橋にある額縁屋さんもかっこいいんじゃないかって思うようになりました。ハンディがある中でも、ご近所づきあいをしていて、風俗へ呼びかけるお兄さんたちは、街の門番的な役割をしています。あの店なくなればいいのにな、なんて気持ちは誰もないんです。
みんな、高山さんのお店大きくなったね。僕らがバーに行ってもいいの?とか、そういう昔ながらのご近所づきあいも構築されていて、こういう街はとても珍しいんです。
最近ではイベントも多く開催されるようになり、納屋橋が活性化されるようになってきました。僕らはこれからも、納屋橋にある額縁屋として歴史的な背景も大切にしながら、生まれ育ったこの場所に少しでも恩返しをしていきたいと思っています。」
先日も旅行先で購入した絵画の額縁を高山さんにお願いをしたら、とってもすてきに仕上げていただきました。「台紙の色は何色にしますか?」と聞かれ、台紙=白というイメージしか持っていなかったので台紙の色一つでも絵の印象が変わることにとても感動しました。
気づけば、ここ最近は海外旅行に行ったら絵画を一つ思い出に買うのですが、すてきな額縁に納めたいから絵画が欲しいという気持ちに変わっていることに気づきました。それくらい、高山額縁店のつくる額縁もオーナーの高山さんも魅力的です。
ぜひ、世界に一つだけの額縁店へ訪れてみてくださいね。