今回は、未来デザインラボが企画・運営した「未来の風景をつくる 学生コンペ」についてご紹介します。
▼未来デザインラボとは
https://life-designs.jp/webmagazine/miraidesignlab/
「あなたにとって豊かな街とはどんなものですか?」
意外と難しい問いかと思います。目先の便利さが実現される街は想像できるかもしれません。ですが、便利さは豊かさを目指すための手段のようなもの。では、“豊かさ”とは一体何なのか?これからを生きる学生たちがこの難題に挑んでいます。
1)街の住人同士が繋がる仕組みを考える
未来の風景をつくる 学生コンペ「令和に向けた街の豊かさを企画せよ!」
豊かさの一つには “人と繋がる” ということも、程度の差はあれ人間が本能的に求める欲求として考えることができます。この繋がる仕組みを考えて、アイデアを募ったのが、今回の学生コンペ。2019年6月の応募を皮切りに、全国の大学生・大学院生・専門学生・高専生より72組の応募を頂きました。
審査員には、原田真宏氏(建築家 /マウントフジアーキテクツスタジオ主宰、芝浦工業大学教授)をはじめ、林厚見氏(不動産プロデューサー /SPEAC共同代表 、東京R不動産ディレクター)、田中元子氏(建築コミュニケーター/グランドレベル代表)、藤村龍至氏(建築家/東京藝術大学准教授、RFA 主宰)、牧野隆広氏(起業支援家/名古屋大学 客員教授、ミライプロジェクト代表)を迎えました。
敷地を見ると建物から考えてしまうのが建築学生の常ですが、今回の必須条件は、街の住人同士が繋がる仕組みを考えること。審査員長の原田さんも仰っておられますが、制約を自ら考えなければならない、非常に難しいテーマでした。
そんな中、最も優秀な未来デザイン賞として選出されたのが、「流動する通り庭」。
一人暮らしから結婚をすると、二人暮らし用のスペースが必要、子供が生まれるとその分追加のスペースが必要、子供が独立すると今度はスペースの縮小が必要……。このようにライフステージによって、必要なスペースは変わってくるもの。
これまでは建物を変えることで、ライフステージに対応していました。つまり建物に暮らしが依存しているのですが、そうではなく建物が可変性になることで、多様な暮らしやニーズに対応するという案です。必要な時に増築し、スペースの空きが出た場合は、一人暮らしの若者や地域の方に貸し出すことができるようなシステム。
一方で、共有スペースには洗濯やアイロンができるような共同家事室や、地域の人たちも集う音楽ホール、地域のママ達が運営するカフェなどを配置し、利用者が利用料を支払い、ディベロッパーが管理する仕組みを提案。所有に対して慎重な世代特有の案であり、すべてを所有するのではなく、貸し出したり、共有したりすることで、永く心地よく暮らすということが提案されていました。
その他にも、母屋と離れをつくり、移動距離が発生することで、人との繋がりをうむ「マチガハウス 工業化住宅街の脱却と未来風景の創造」や、防災をきっかけに自律的な組織を作る「非常 日常」などおもしろい案が出てきました。
詳細はコチラ(https://miraidesign-lab.jp/event/p1347/)。
2019年10月5日に行われた表彰式では、主催者である中電不動産株式会社 塚田常務より、賞状・楯・賞金が送られました。
2)街を豊かにするサービスや仕組みを考える
未来の風景をつくるワークショップ「街の豊かさを作る新しいしくみづくり」
全4回で「街の豊かさをつくる新しい仕組みづくり」を考えるゼミ。8大学4名の大学生、大学院生、全11チームで考えていくワークショップ。毎回、ウンウンと唸りながらも、チームで答えを見つけていきます。宿題もあるので、学生達は学校のゼミと両立しながら、進めています。
最後に、
今回のプロジェクトには、中電不動産株式会社、株式会社デンソー、未来デザインラボ(株式会社ラ・カーサ、間宮晨一千デザインスタジオ、suvaco株式会社)が参加しています。ご縁があり、自治体の方や大学の先生方にも知恵を借りながら、今回のプロジェクトは行っています。価値観の変化が大きい世の中にあって、一つの企業で完結し行えることは限られていると私たちは思っており、さまざまな業種の方が集まることで、他では実現できないことを行っていきたいと思っています。
また、学生さんにも参加いただくことで、アイデアの種が生まれ、新たな価値観として社会に提案したいと思っています。
学生達が本気で悩み考えた “豊かさ” はどんなものなのか?大人が考えるそれとは全く異なるのかそれとも近しいものなのか?ワークショップは11月も続きます。どんな案が出てくるのか、ぜひご期待ください。
イベントページ:https://miraidesign-lab.jp/event/
レポートページ:https://miraidesign-lab.jp/reports/