ウェディングデザインのプロから学ぶ、自分らしい家づくりのヒント。(中家 拓郎さん)
目次
1日の時間をデザインした
「いつか想い出に変わる今」
最後にご紹介するのは、日本福祉大学美浜キャンパスで行った結婚式。結婚式をデザインするというのはどうい うことなのか、改めて気づいた大切な一日なのだそうです。
中家さん: 「最後にお話するのは、日本福祉大学美浜キャンパスで行った卒業生同士の結婚式です。もちろん大学としても構内で結婚式をやった前例はない状況でした。担当プランナーの強い想いから大学との交渉が始 まったのですが、どこで何をするかも決まってないので実現させるまでにお客様の見えない部分での大変なこと がたくさんありました。
現地調査にはじめて大学に行き構内を案内されたとき、大階段で空が開けて清々しい気持ちになったんです。そのとき、この風景をお2人は4年間見てきたんだと感じました。そして、そこを挙式セレモニーの会場として提案しました。夕日が沈む海が見える、学食からの風景が好きだったという理由から、パーティは学食にしました。
そこで青空の下の挙式セレモニーから、夕日が沈む海が見えるパーティまでの1日をデザインするという考えが生まれました。大講義室をウェルカムスペースに、中庭で障害物競争などのレクリエーション。大学で過ごした1日のように、シーンを゙移しながら、ゲストにお2人が過ごした想い出のキャンパスを体験してもらいました。
お2人は今は広島に住んでいて、この先またこの場所に来ることがあるかどうかわかりません。友人や後輩も卒業し、恩師も少なくなり、キャンパス内も工事が進んで様変わりし始めていました。原点とも言えるここで過ごした日々を心の中に持つこと。結婚式の1日ももまた、いつか想い出になって立ち帰れる原点となり、人生の支えになってほしい。そんな想いを込めてデザインし、最高の1日になりました。
装飾としてはシンプルで、大掛かりなこともしていません。でも、この1日をつくれたのは、担当プランナーの強い想いとそれを受け取った弊社スタッフやパートナーさん、そして僕だからだと自信を持って言えます。本質としてのデザインの役割がわかる事例です。」