ウェディングデザインのプロから学ぶ、自分らしい家づくりのヒント。(中家 拓郎さん)

愛知
掲載日:2018.03.09

建築も結婚式も、どちらも時間をつくること。

中家 拓郎さん

中家さん: 「建築の仕事から、結婚式の仕事をしてみて感じている共通点が3つあります。1つはコンセプトも プレゼンも、自分のやり方はほとんど変わらないことです。はじめは全く経験のないことでしたし、知識もない ところからスタートしましたが、自分ができることはお客様に寄り添い、コンセプトを紡ぎ、パースやスケッチ でわくわくさせて、実現させることです。2つ目は実現するときは、たくさんの専門家や仲間の力が必要である こと。僕一人でできることは限られていますし、関わってくれた人のおかげで、僕の想像を超えた空間・時間に なることも多いです。

そして3つ目は、どちらも空間と時間のデザインであるということです。前職の設計事務所で携わっていた建築 は100年使うことができる空間で、そのための構造・設えやフレキシブルさが求められます。住宅は家族が30年くらい過ごす空間で、家族がどんな暮らしをするのか、どう成長・変化していくかを考えます。賃貸マンションは数年で入れ替わることを想定しなくてはなりません。結婚式はたった2〜3時間の、空間をつくることです。だから僕にとっては同じことで、すべて空間と、そこで流れる時間をデザインすることなんです。

そしてその短い時間が、誰かの人生にとって一生忘れられない時間かもしれません。その時間が、時に困難に立ち向かう勇気や支えになることだってあるかもしれません。僕自身も、これまでプロデュースした結婚式は一生忘れることのないと思える1日です。この仕事を通して、記憶に残る1日が増えました。この記憶はお客様に頂いたかけがえのない財産です。これからも結婚式に限らず、様々なフィールドで、空間と時間のデザインを提案していきたいです。」

住まいは特に「こんな色にしたい」「日当たりを良くしたい」「ウッドデッキが欲しい」などデザインに目が行きがちですが、そこでどんな時間を過ごしたいのかを考えることが重要。「読書を楽しみたい。でも夜に読むことが多いから、日当たりよりも照明にこだわりたい。」「晴れの日には子供と一緒にピクニック気分を味わいたい。だからウッドデッキをつくろう。それなら景色も重要だな。」など、より具体的な希望に変わるはずです。

最後に中家さんのお話から住まい、インテリアに活かせる考え方をまとめたいと思います。

①その場のもつ力を借りること、今あるものをどう活かすか
②選ぶものは、自分や家族にとってどんな意味があるか意識する
③どうして家を立てたいのか、どんな家庭にしたいのかを考える
④家や部屋それぞれのコンセプトを考える、名前をつけてみる
⑤内装だけでなく、そこでどんな時間を過ごしたいのかも考えてみる

住まいと結婚式。別々に感じる二つですが、とてもたくさんの共通点があることがわかりました。どちらも時間や空間をどうつくるかということ。住まいも結婚式も、どちらも多くの人が一生に一度のことだからこそ、表面上のデザインにはしたくないですよね。自分らしい空間づくりに必要なことは、まず「なぜ住宅を建てたいのか?」「なぜ結婚式をしたいのか?」という本質的な部分と向き合うことが大切と教えていだきました。

スポット詳細

【profile】
中家 拓郎 TAKURO NAKAYA

1985年生まれ。飛騨市、高山市で高校まで過ごし、三重大学・大学院で建築デザインと都 市計画を専攻。 修了後、(株)内藤建築事務所へ入社し、公共建築などの意匠設計に携わ る。京都・名古屋での勤務を経て、2012年よりフリーランスとして活動を開始、2013年に 個人事務所を設立。2014年よりBridal Plusと提携、2016年よりSmile Story(株)取締役に 就任。イベントやウエディングから住宅や店舗の内装デザインまでフィールドを問わず、こ れまで100件以上の空間デザインプロデュースを手がけている。

Instagram:n2_works
mail:[email protected]
HP:bridal-plus.jp / smile-story.jp

Life Designs (ライフデザインズ)は、”東海エリア(愛知・岐阜・三重)の暮らしをもっと楽しく”をテーマに、情報発信するライフスタイルメディアです。

おでかけやランチの参考など、読者のみなさんの日常に寄り添えるメディアでありたいと思っています。運営しているのは、食・おでかけ・趣味に日々全力な編集部員たち。自分たちが東海エリアで生活する中で、出会ったモノや場所、琴線に触れたことをメディアを通してお届けしていきます。

おすすめスポット